とりあえず薬だけ欲しい!と思っている「あなた」へ 【医師 5つの視点】

くすり ヘルスケア

結論ですが

医師は、総合的に”必要”と判断したくすりを処方しています。

この記事は「なんでくすりの処方をうけるだけなのに時間がかかるのかと思っている」人向けに書いています。
この記事を読むことで「医師がどのような視点でくすりを処方しているのか」わかります。

「病院の待ち時間がとにかく長い」
「そのわりに医師の説明など診察時間はみじかい」
「それならば、さっさと薬の処方だけ受け取りたい」

くすりをもらいに行くときにはこんなこと思っている人は多いかとおもいます。

結局くすりの処方のみで終わるので、はやく処方してくれれば良いのに…と思う人は多いはずです。
正直、自分自身が受診してくすりをもらうときも「はやくしてほしい」と思います。

医師がくすりを処方するときに考えていることがわかることで、待ち時間がかかることに理解をしていただければ幸いです。

まあ、待ち時間は短いに越したことはないので、病院側は待ち時間を短くする努力は必要だとは思いますが…

今回は「医師がくすりを処方するときに考えていること」を5つにしぼって説明していきたいと思います。

この記事のまとめ

  • ①症状に合った薬をえらぶ
  • ②「対症療法」でなく「根本治療」をめざす
  • ③クスリはリスク
  • ④医療情報(アレルギー・持病など)に注意する
  • ⑤患者背景を考慮する

症状に合った薬をえらぶ

同じ症状でも、その具合によって処方するくすりが違ってきます。

たとえば、同じ腹痛という症状でも、「痛みの部位」「痛みの性状」「痛みの程度」「痛み以外の症状」などによって、えらぶ痛み止めの種類が違ってきます。

たとえば…

腸が動いたときの痛みで波がある痛みでは、「腸の動き(ぜん動)を抑えるくすり」をえらびます。

炎症による痛みが想定される場合、一般的に多く用いられる「抗炎症薬」をえらびます。

症状に合った薬を選ぶのに「十分な情報」が必要であり、診療時間がかかることにつながります。

「対症療法」でなく「根本治療」をめざす

症状をおさえるだけの治療を「対症療法」といいます。

それに対して、根本的な原因を解決する治療を「根本治療」といいます。

「対症療法」では、ただ症状を抑えるだけなので、今後も症状が起こってくる可能性があります。そうすると、症状がつづく限りずっと薬を使わなければならないことになります。それが重なると、必要なくすりは増えていくことになります。

後ほど説明しますが、クスリにはリスクもつきものです。
必要なくすりの数は少なければ少ない方が望ましいです。

ちなみに、最近「多剤内服」というのが問題になっています。
とくにご高齢の患者では、くすりがだんだん増えていって大量にくすりを処方されて飲んでいることがあります。
くすりが増えると、その「相互作用」によって予期せぬ副作用をきたす可能性があります。

また、くすりが多すぎるため「飲み忘れ」が増えてしまったり、医薬品による「医療費」が圧迫されてしまうなど良くないことが起こります。

つまり、対症療法がつづくと必要なくすりの数が増えていき、「副作用」「相互作用」「医療費」問題へとつながります。

一方、症状の原因となっているものを解決すれば基本的に1発で解決します。

「根本治療」を目指すのが治療の原則です。
根本治療するためには、しっかりとした診察や検査が必要になり、診療時間がかかることにつながります。
しかし、症状の原因となっているものを突き詰めて根本的な解決を目指すことが長い視野でみると効率的です。

クスリはリスク

くすりは良いこともあれば、悪いことがおこることもあります。

100%安全なくすりは残念ながらないです。くすりには「期待される効果」もあれば、残念ながら「副作用」もおこすことがあります。

たとえば、「アレルギー反応」があります。
これは、くすりが自分に体内に入ってきた時に、くすりを異物と認識して攻撃してしまう場合があります。それが過剰になると「アレルギー反応」を起こすことがあります。

軽い症状だと、「発熱」「かゆみ」「発疹」などの症状が出ます。

重症化すると、「呼吸が苦しく」なったり、「血圧が低下」する「アナフィラキシーショック」と呼ばれる状態になり、命を落とすこともあります。

くすりを使用した場合は、他にも「肝機能障害」や「腎機能障害」などの副作用が起こる場合があります。

くすりの種類によってはさまざまな副作用を呈する可能性があります。

くすりの「効果」と「リスク」を天秤にかけたうえで、そのくすりを実際に処方するか考えます。
そのさじ加減を見定める必要であり、診療時間がかかることにつながります。

医療情報(アレルギー・持病など)に注意する

くすりを安全につかうために「医療情報」をしっかりと確認する必要があります。

過去にくすりによるアレルギーがあったか確認します。
アレルギーのある薬は基本的に使わないようにします。また、似た成分や種類の薬も基本的には使わないようにします。

また、持病をもっている場合にはくすりを使うときに注意が必要です。

たとえば、「喘息」をもっている場合には、喘息発作をひきおこす可能性のあるくすりは基本的に使わないようにします。

また、「腎臓機能障害」がある場合には、くすりの量を調整する必要があります。また、腎臓にダメージをあたえる可能性が高いくすりはなるべく使わないようにします。

必要な「医療情報」を引き出すために診療時間がかかることにつながります。

患者背景を考慮する

そもそも、患者の年齢によって想定される疾患は異なります。
同じ腹痛でも「若い健康な人の腹痛」と「さまざまな持病のある高齢者の腹痛」では想定する病気が違います。
想定される疾患が異なれば必要なくすりの種類が変わるし、くすりの量も変わってきます。

 また、産婦人科であればとくに「妊娠」しているかどうかは大切です。
くすりの種類によっては赤ちゃんに影響をあたえるものがあります。 

妊娠中に使わないほうがいい薬、使用するにしても注意が必要な薬などがあります。
そういったすべての薬を覚えることは難しいため、くすりを調べる必要があり診療時間がかかることにつながります。

まとめ

  • ①症状に合った薬をえらぶ
  • ②「対症療法」でなく「根本治療」をめざす
  • ③クスリはリスク
  • ④医療情報(アレルギー・持病など)に注意する
  • ⑤患者背景を考慮する

医師がくすりを処方するときには、これら5つの視点を持ちあわせています。
必要な情報を引き出したり、必要な診察や検査をおこなったり、くすりの情報を調べる必要があり、診療時間がかかることにつながります。

とりあえずくすりだけもらいに来たのに、いろいろと話をされて…
結局、くすりの処方だけっていうことはあります。

しかし、その過程には、くすりを安全に処方するために医師はガンバっているんだと感じていただければ幸いです。