どうして「がん」で痩せるのですか?

がんについて がんの症状

結論ですが

がんによって「消費エネルギー」が「摂取エネルギー」を上回るため痩せます。

この記事は「健康に関心のある人」に向けて書いています。
病気に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「がんによる痩せ」についてわかります。

以前であれば「がん」といえば不治の病とされていました。
今は「がん」に関しての研究がさまざま行われ、たくさんの治療法が開発されており、治せる病気になってきています。

しかし、がんの種類や進行期によっては完治が難しい場合もあります。
がんの進行によって、だんだん「痩せて」しまう人も少なくありません。
がんで亡くなる人の3分の2以上は痩せてしまうといわれています。

なぜがんによって痩せてしまうのか?

こうした疑問にお答えします。

今回は「がんによる痩せ」について説明していきたいと思います。

この記事のまとめ

  • 「摂取エネルギー」が減少したり「消費エネルギー」が増えると痩せます。
  • がんによる「食欲低下」と「悪液質」という状態のため、痩せてしまいます。
  • がんが進行して痩せても必要最低限の栄養・水分摂取をこころがける。

なぜ「痩せる」のですか?

人のからだは、何事もバランスを取るように出来ています。
体重や体格もうまくバランスをとっているため、ある一定の体重が維持されているのです。
人の体重は「摂取エネルギー」と「消費エネルギー」のバランスで成り立っています。
たとえば、食事をたくさんとって「摂取エネルギー」が増えると、体重は増えます。
また、運動をたくさん行って「消費エネルギー」が増えると、体重は減ります。
人の体重は「摂取エネルギー」と「消費エネルギー」のバランスで成り立っているのです。

なぜ「がん」で痩せるのですか?

「がん」によってなぜ痩せるのか?
おもな原因は2つあります。
それは、食欲低下によって「摂取エネルギー」が低下すること。
そして、悪液質という状態のため「消費エネルギー」が増加することが挙げられます。

食欲低下

がんが進行してくると、サイトカインとよばれる炎症性物質が分泌されます。
すると、炎症によって食欲が低下することになります。
みなさんも風邪ひいたり、体調が悪いと食欲が低下するかと思いますが、がんが進行すると同じように食欲が低下します。
また、がんが消化管を圧迫すると腸閉塞という状態となったり、がんが脳に転移したり、電解質異常がともなったりすると、「吐き気」が生じて「食欲低下」につながります。
そして「食欲低下」から「摂取エネルギー」が低下することで「体重減少」につながります。

悪液質

悪液質とは「栄養療法で改善することが困難な著しい筋肉量の減少がみられ、進行性に機能障害をもたらす症候群」とされています。
よくわからないので、かみくだいて言うと。
がん細胞はエネルギー消費の激しく、燃費が悪いです。がん細胞は無秩序に細胞分裂をして増殖してくるため、大量のエネルギーが消費されます。
「消費エネルギー」が増加するため「体重減少」につながります。
また、患者さんの筋肉など体を構成している「タンパク」や「脂肪」を分解してエネルギーを得ようとします。そのため、筋肉量は低下し、内臓脂肪や皮下脂肪は少なくなるため、痩せてしまうのです。
がんが進行してしまい、栄養療法で改善できない状態となった場合「悪液質」とよばれます。

食事を多くとればいいのですか?

食事を多くとる必要はない

がんを患っているときに限らず、栄養バランスの良い食事や水分摂取は必要です。
がんの進展に対応して「悪液質」の状態になるまでは、過不足のないエネルギーや栄養の補給が重要です。ただし、がんの燃費が悪く消費エネルギーが増加したからといって、食事の摂取量を増やす必要はないです。

過剰な水分・エネルギーを抑える

がんが進展してくると「悪液質」の状態となり、悪化してきます。
すると、過剰な水分・エネルギーの摂取は、体に負荷がかかるようになります。
たとえば、過剰な水分摂取によって、「からだのむくみ」や「腹水」「胸水」「肺水腫」などにつながります。体を動かしにくくなったり、お腹が張って苦しくなったり、呼吸が苦しくなってしまいます。
がんの進行に応じて、点滴をおこなってる場合には点滴の量なども少なくしていくようにします。最低限の水分・エネルギーの補充のみにします。

痩せていても必要最低限を守る

痩せてかわいそうだからと、強制的に食べさせてようとしたり、点滴の量を上げて欲しいなど求められることがあります。
たくさんのエネルギーや水分を取ってしまうと、体への負担がかかってしまいます。
繰り返しになりますが、過剰な水分摂取によって「からだのむくみ」や「腹水」「胸水」「肺水腫」などにつながります。体を動かしにくくなったり、お腹が張って苦しくなったり、呼吸が苦しくなってしまいます。
逆に症状で苦しむことになって苦痛を助長してしまうことになります。

まとめ

  • 「摂取エネルギー」が減少したり「消費エネルギー」が増えると痩せます。
  • がんによる「食欲低下」と「悪液質」という状態のため、痩せてしまいます。
  • がんが進行して痩せても必要最低限の栄養・水分摂取をこころがける。

がんが進行して痩せてくると、家族がとても心配になる場面が多々あります。

  • 痩せるから、食事をもっと沢山とった方がいいのでないか?
  • 食べれなければ点滴の量を増やして欲しい!

など心配な声を受けます。
残念ながら、悪液質が進行すると、栄養療法では改善しません。

むしろ過剰なエネルギーや水分は、本人の苦痛を助長させることにつながります。
やるせない感情は痛いほどわかりますが、本人の苦痛がより少なくなるように必要最低限の栄養や水分のみでみていく流れとなります。

この記事によって「がんによる痩せ」に対する理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。