妊娠中ですが旅行してもいいですか?【長距離移動の5つのポイント】

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結論ですが

妊娠中の長距離移動はおすすめできません。

この記事は妊婦さん向けに書いています。
妊娠中のさまざまな疑問、不安などが解決できればとおもっています。
今回は「妊娠中に旅行をしたい人」「長距離移動が必要になった人」に向けての記事です。

妊娠中とはいえ、旅行を楽しみたい人がいるかと思います。
こういった気持ちは十分わかるのですが、基本的には妊娠中の長距離移動はおすすめしません。

妊娠中はなにがおこってもおかしくないです。
そしてなにかおこってしまった場合には、妊婦さんご自身だけでなくお腹の赤ちゃんにも影響が出てくることもあります。

とはいえ、また夫の転勤などのやむをえない事情で、どうしても航空機による移動など長距離移動が必要になる状況もあるかと思います。

今回、妊娠中に長距離移動が必要になった時にどうすればいいか、5つにしぼって説明していきたいと思います。

この記事のまとめ

  • 0.本当に必要な長距離移動なのか考える
  • 1.移動前に診察受けておく
  • 2.航空会社に利用可能か確認する
  • 3.移動の際には母子手帳持つ
  • 4.渡航先で受診可能な医療施設を調べておく
  • 5.無理のない計画を

本当に必要な長距離移動なのか考える

まず、妊娠中に長距離移動が本当に必要なのか考えることが大切です。

「先生、安定期に入ったので旅行に行ってきてもいいですか」と言ってくる妊婦さんは多いです。安定期は一般的に妊娠12週から16週以降を指すことが多いようです。
たしかに妊娠12週をこえた場合は、つわりも落ちついてきて、なにかおこる可能性も比較的ひくくなります。
しかし、なにかおこる可能性はゼロではなく妊娠中はいつでも何か起こる可能性はあります。
そして何かおこってしまった場合には、妊婦さんご自身だけでなくお腹の赤ちゃんにも影響が出てくることもあります。

そのことは前提としてしっかりと頭にいれておきましょう。

「何か起こるかもしれないリスク」と「旅行を楽しむというメリット」を天秤にかけた上で、自己責任のうえで旅行にいくか判断して頂くよう説明しています。

地域によるルールもあるかと思いますが、基本的には妊婦さんが何かあった時には、かかりつけの医療機関もしくは提携している医療機関に受診することが原則です。
なので、遠方で何かあっても、ふだん受診しているかかりつけの医療機関に受診することは不可能になります。さまざまな医療情報をもっているかかりつけに受診できないということは、リスクになります。

さらに地域によっては、かかりつけでない妊婦さんの受け入れ体制が十分とられていないところもあります。場合によっては受診ができずに「たらいまわし」になってしまうこともあります。

ということで、基本的には長距離移動は僕ら産婦人科医がすすめることはありません。

とはいえ、夫の転勤の都合などで、どうしても航空機などを利用して長距離移動しなければならない状況もあるかと思います。
長距離移動が必要になった場合やどうしても旅行に行く場合、どうすればいいか5つにしぼって説明していきます。

1.移動前に診察を受けておく

移動する前には、かかりつけの医療機関を受診して診察を受けてください。

これから長距離移動が必要なことを伝え、「経腹エコー」(おなかのエコー検査)で赤ちゃんの状態を確認してもらったり、「経腟エコー」(下からのエコー検査)で子宮の入り口の長さ(頸管長)を測定してもらってください。
もし、検査結果で長距離移動が許可できないような状態であれば、移動する計画を中止する勇気をもちましょう。

2.航空会社に利用可能か確認する

妊娠週数によっては利用ができないもしくは制限のある航空会社があります。
航空会社によりますが、妊娠週数によっては利用ができない場合や、医師の同意書や医師の道場が必要な場合があります。

あらかじめ利用する航空会社に問い合わせしておきましょう。

なお、主要な国内線では、
「妊娠36週以降(分娩予定日の28日以内)は医師の診断書が必要」
「妊娠39週以降(分娩予定日の7日以内)は医師の同伴が必要」
と規定されています。

3.移動の際には母子手帳持つ

移動の際は、なにかあった時にそなえて必ず母子手帳は持参してください。
母子手帳には、たくさんの重要な医療情報が書かれています。

受診する医療機関に情報が伝わるように、出来れば、検査結果の紙や赤ちゃんの推定体重など情報の入ったエコー写真なども母子手帳に一緒にはさんであると、なお良いです。

4.渡航先で受診可能な医療施設を調べておく

万が一、なにかあったときのために、その地域で受診できる医療機関があるか確認しておきましょう。

渡航先の地域によっては、周産期当番など決まっておらず、かかりつけでない妊婦さんの受診は断られてしまう場合があります。場合によっては、たらい回しにされてしまうこともあります。

とくに注意が必要なのが海外です。
海外では医療システムの違いがあります。そもそも医療機関を受診することが難しかったり、高額な医療費を請求される可能性もあります。
事前に確認しておくとともに、海外旅行の保険なども検討しましょう。

5.無理のない計画を

妊娠中は体調不良になりやすいので、無理のない余裕のある計画で移動しましょう。

妊娠にともなう体の変化のため、妊婦さんが長距離歩いたりするのは大変ですし、運動によってお腹が張ったりしまうこともあります。

また、妊娠中は普通の人に比べて血栓という血が固まってしまいやすい状態になっています。とくに、航空機で長距離移動する際に「エコノミークラス症候群」(深部静脈血栓症という血液のかたまりができてしまう疾患)に注意する必要があります。
「エコノミークラス症候群」を予防するために、
・水分補給を適宜おこなって脱水予防をすること
・座席でも出来る簡単な運動をおこなうこと
(航空会社によっては冊子に書いてあります)
が大事です。

妊娠中は体調不良になりやすいので、くれぐれも無理のない計画でいきましょう。
そして体調がすぐれないようであれば、早めに切り上げてくる勇気を持つことも大切です。
渡航先でお腹が張ってしまって、「切迫早産」となってしまい長期入院が必要となって、帰れなくなってしまった妊婦さんもいます。

まとめ

妊娠中の長距離移動はおすすめできません。

まずは、前提として妊娠中の長距離移動は本当に必要なのか考えることが大事です。
渡航先でなにか起こってしまった場合、母親自身だけでなく、お腹の赤ちゃんへも影響がおよんでしまうことがあります。
パートナーふくめ、長距離移動が本当に必要なのかしっかりと検討することが大事です。

とはいえ、どうしても長距離移動が必要な場合には、以下の5つをこころがけましょう。

  • 1.移動前に診察受けておく
  • 2.航空会社に利用可能か確認する
  • 3.移動の際には母子手帳持つ
  • 4.渡航先で受診可能な医療施設を調べておく
  • 5.無理のない計画を

これらのことを意識して、妊娠中の長距離移動によるリスクを少しでも減らすようにしましょう。

妊娠中はさまざまな制約があって大変かとおもいますが、お腹の赤ちゃんのためにもしっかりとした意識が大切です。
すこしでも安全に妊娠生活をおくれることを願っています。