血液のかたまりができているといわれました【妊娠と血栓症】

妊娠の異常

結論ですが

妊娠中は血栓症になりやすく、血栓症になったら「血液をさらさらにするくすり」「血栓を溶かす作用のあるくすり」、「下大静脈フィルター」を留置する治療などおこなわれます。

この記事は「妊娠中の女性」に向けて書いています。
妊娠中のさまざまな疑問、不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「血栓症」についてわかります。

妊娠をすると血液はかたまりやすくなります。
起こってほしくないですが、ふくらはぎの血管に血栓という血液のかたまりができて、あしが腫れてくることがあります。
血液のかたまりができることを「血栓症」とよばれます。
妊娠中はとくに血栓症がおこりやすい状態なので、状況に応じて予防法をとることが大切になります。

今回、血液のかたまりができる「血栓症」について説明していきます。

この記事のまとめ

  • 血栓塞栓症(とくに肺血栓塞栓症)は命を落とす可能性があります。
  • 妊娠中は血栓になりやすいです。他に血栓になりやすい状態があれば、血栓の予防法を考えます。
  • 血栓の予防法には「早期離床」「運動療法」「脱水予防」「弾性ストッキング」「フットポンプ」「血液をさらさらにするくすり」などがあります。
  • 血栓の治療には、「血液をさらさらにするくすり」「血栓を溶かす作用のあるくすり」を使用すること、「下大静脈フィルター」を留置することなどあります。

血栓塞栓症とはどんな病気ですか?

血管の中に「血栓」(けっせん)という血のかたまりをつくってしまうことがあり「血栓症」とよばれます。とくに、ふくらはぎの静脈に血栓ができることが多いです。
この血のかたまりが血流にのって、「肺の血管」や「重要な臓器の血管」に詰まってしまった場合「血栓塞栓症」とよばれます。
とくに「肺の血管」につまった場合を「肺血栓塞栓症」とよび、重症化すると命をおとす可能性があります。

妊婦は血栓症になりやすい

妊娠中は血液がかたまりやすくなっています。
分娩時の出血にそなえて、血液はかたまりやすくなっていると言われています。
つまり、妊娠しているというだけで血栓症になる可能性は上がるため注意が必要になります。

妊娠経過中に血栓症に注意が必要な場面

妊娠経過中にとくに血栓に注意が必要な場面がいくつかあります。

つわり・悪阻

「つわり」や「悪阻」となった場合は、水分摂取することすら厳しくなります。すると、脱水によってどろどろ血液になり血液がかたまりやすくなります。
水分を積極的に摂取するのと、調子がいいときに口にできる食事を少なくてもいいから取ることで脱水を予防することが重要です。
また、重度な悪阻が長く続く場合には点滴による治療や、このあと説明する血栓症の予防法を考える必要があります。

切迫早産

「切迫早産」では運動するとハリにつながるため、安静指示されます。
長期の安静が必要な場合、とくに入院を要する切迫早産では、安静度はより厳しいものになります。充分な運動ができないため、血液の流れは悪くなります。
すると流れが悪くなった血液はかたまりやすい状態となります。

手術(帝王切開など)

手術してる最中は基本的にからだが同じ姿勢に保たれます。すると、からだをうごかさない状態がつづくため、血液のながれは悪くなります。
また、手術後もしばらくは安静がつづいたり、痛みでからだをうごかせなかったりして、血液のながれが悪くなり,血液のかたまりができやすくなります。
さらに、手術自体の体への負担によって、血液がかたまりやすくなります。

もともと血液のかたまりやすい病気をもっている場合

血液の中に「凝固因子」(ぎょうこいんし)という血液のかたまりやすさを調整しているものがあります。その凝固因子に異常があると、血液のかたまりをつくりやすくなってしまいます。
ちなみに、流産をくりかえす人の中には、この凝固因子の異常がある場合があります。
血液のかたまりによって、赤ちゃんへの血流が妨げられて流産へとつながってしまうことがあります。

血栓症にならないために

血栓になりやすい状態だと判断した場合には、血栓症にならないために予防することが大切になります。

実際には状況によって血栓予防法を使い分けることが重要です。

たとえば…
安静指示のある切迫早産では「弾性ストッキング」を利用することが多いです。
つわりの場合は、「脱水予防」のため点滴を入れたり、重度でからだを動かせない場合は「弾性ストッキング」「フットポンプ」を利用することがあります。

ちなみに、血液をさらさらにくすりの中で「ワーファリン」というくすりがありますが、妊娠中は使用できません。
これは妊娠中にワーファリンを使用すると、あかちゃんの「形態異常」や「出血しやすい状態」になることがあります。
妊娠前から「ワーファリン」をつかっていた場合は、はやめに別の妊娠中にも安全につかえる「血液をさらさらにするくすり」に変更する必要があります。

血栓症はどんな治療をおこないますか?

血管の中に血液のかたまりである血栓ができてしまった場合、治療が必要です。
血栓のできた場所や血栓の大きさなどによって治療法はかわります。
「血液をさらさらにするくすり」や「血栓を溶かす作用のあるくすり」を使用します。また、血栓が飛んでしまい肺の血管につまってしまう可能性がある場合は、肺の血管に飛ばないように下大静脈という太い血管にフィルター「下大静脈フィルター」を入れることがあります。
「肺の血管」につまった場合は、重症化すると命をおとす可能性があります。
そうならないためにも、なによりも血栓を予防することが大切です。

まとめ

血栓塞栓症(とくに肺血栓塞栓症)は命を落とす可能性があります。

妊娠中は血栓になりやすいです。他に血栓になりやすい状態があれば、血栓の予防法を考えます。

血栓の予防法には「早期離床」「運動療法」「脱水予防」「弾性ストッキング」「フットポンプ」「血液をさらさらにするくすり」などがあります。

血栓の治療には、「血液をさらさらにするくすり」「血栓を溶かす作用のあるくすり」を使用すること、「下大静脈フィルター」を留置することなどあります。

妊娠経過中は、からだがむくんでくることが多いです。とくに「あしのむくみ」が起こることが多いです。
お産のときの出血に備えて、できるだけ体の中の水分をためておくために、からだがむくみます。

妊娠中のむくみは自然な体の変化ですが、ふくらはぎの血栓によって「あしのむくみ」がおこっていることもあるので注意が必要です。
とくに歩いているときにふくらはぎが痛かったり、腫れて赤く炎症している場合には、担当医に相談するようにしましょう。

他にも、妊娠による体の変化なのか、病気が隠れている状態なのか判断が難しい場面は多々あります。普段とくらべて何か体調がおかしいと感じたら、担当医に相談してみましょう。

この記事によって「血栓症」への理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。