なぜ医師の説明はわかりにくいのか?【医療問題】

結論ですが

医師の説明がわかりにくいのは「医療をとりまく背景」にくわえて「医師側」「患者側」それぞれ原因があります

この記事は「健康に関心のある」ひとに向けて書いています。
この記事を読むことで「なぜ医師の説明がわかりにくいのか」について理解することができます。

病院を受診して、医師から病状に関していろいろと説明されるかとおもいます。
その際に、医師の説明ってわかりにくいとおもったことありませんか?

そして、「医師が忙しそう」でわからないと言えない空気ありますよね。
そもそもわからないことが多すぎて、わからないことがわからないことも多いかと思います。
医師の立場からすると耳が痛い話です。

医師の立場からで恐縮ですが、今回「なぜ医師の説明がわかりにくいのか」についてまとめてみました。

この記事のまとめ

  • 医師の説明がわかりにくい理由には、「医師の常識は患者の非常識」「医療の高度化・専門化」「以前は医師の説明を理解する必要はそれほどなかった」「頭脳の差があること」などの背景がある。
  • 医師側の原因として、「説明スキル不足」「説明する時間が足りないこと」「説明しにくい難しい病気があること」などがあります。
  • 患者側の原因として、「体調がすぐれないこと」「知識不足」「不確かな情報を鵜呑みにすること」などがあります。

医師の説明がわかりにくい背景

  • 医師の常識は患者の非常識である
  • 医療の高度化・専門化している
  • 以前は医師の説明を理解する必要はそれほどなかった
  • 頭脳の差がある

医師の常識は患者の非常識

医師は毎日の診療で患者をみることが日常となっております。そして、「医療用語」「専門用語」をあたりまえのように使っています。「医療用語」にはむずかしいものがたくさんあります。
たとえば、「予後」「寛解」「IC」「エビデンス」などの用語わかりますか?
これらの用語をあたりまえのように使っていて、患者への説明でもついそのまま使ってしまうことがあります。

また、病気を理解するための「人間のからだのしくみ」「疾病構造の成り立ち」など基礎となる知識も医師はあたりまえのように頭に入っています。
医師はあたりまえになっているので、病気を理解するために基礎となる部分をぬかして説明しまいがちです。
そうすると、説明を理解できなかったり、あたまに説明が入らない状態となってしまいます。
まさに「医師の常識は患者の非常識」のため医師の説明が伝わりにくくなっています。

医療が高度化し専門性があがりすぎている

近年の医療の発展はめざましいものがあります。
医療に関する研究やデータが豊富にそろってきて、日々あたらしい治療法など開発されています。医療が高度化し専門性があがりすぎています。
そのため難しい疾患概念がつくられたり、治療法も複雑になってきています
医師のなかでも完全に理解しているひとが少なかったり、治療法も賛否両論に意見が分かれるケースも多々あります。
そもそも病気自体が難しいと、説明も大変ですし、それを理解するのも難しくなります。

以前は治療内容は医師に完全に委ねられていた

以前は、医師が完全に治療方針をきめることが普通でした。
極論をいうと、患者は医師のいうことだけ聞いて、いわれた通りの治療に専念をすればよかったです。なので、治療を受けるのに患者さんは医師の説明を理解する必要はなかったのです。

ところが、今は患者が治療法をえらぶ時代です。
医師が病状を説明し治療方針を提示します。患者はその説明を理解しじゅうぶんに納得して同意いただいた上で、実際に治療にうつります。
自分で治療法を選ばなければいけないなったので、以前とくらべて医師の説明を理解する必要がふえました。

頭脳の差がありすぎると話が通じない

ずばり医師はあたまが良いです。
難解な医学部受験に合格して、医学部でしっかりと6年間勉強して、医師国家試験に合格して、医師免許を獲得します。
それら関門を突破したひとが医師になっているので、一般の人よりあたまが良いです。

頭脳の差があると(とくにIQが20以上ちがう)と、話が通じにくくなるといわれています。医師と患者の頭脳の差が、話が通じにくい背景になっていると考えられます。

医師の要因

  • 説明スキルがたりない
  • 説明する時間が足りない
  • 説明しにくい難しい病気がある

わかりやすく説明するスキルがたりない

医師は「医療のプロ」ではありますが、残念ながら「わかりやすく話をするプロ」ではないです。
わかりやすく説明するためにもちろん頑張っていますが、なかなか患者を満足させるレベルとなると大変です。

また、医師も人間なのでいろいろなひとがいます。
医師の中にはひとと話をするのが苦手なひとがいます。
昔ながらの考えの医師では、そもそもわかりやすく説明する必要などないと考えているひともいます。
わかりやすく説明する「気持ち」もたりないと、説明がわかりにくくなるのは当たり前です。

わかりやすく説明する時間がたりない

医師は基本的に忙しいです。
とくに地方では医師不足のため、かなり忙しくはたらいています。
病状の説明をするためには、まとまった時間をとらなくてはなりません。そして説明のための準備にも時間がかかります。

患者が急変したり、急患が突然やってきたりと、急に対応しなければならないことは多いです。わかりやすく説明する時間がたりないため、診療時間外に説明することが多くなってしまいます。医師のブラック労働となる原因にもなっています。

むずかしい病気を説明するのはむずかしい

むずかしい病気をわかりやすく説明するのはやはり難しいです。
「わかりやすさ」を追及すると「正確さ」が損なわれてしまうし、逆に「正確さ」を追及すると「わかりにくい」説明になってしまいます。
しかも患者さんの理解の具合におうじて説明していくことは、いくら話のスキルがあっても難しいです。

患者の要因

  • 体調がすぐれない
  • 知識不足である
  • ネットなどの不確かな情報を鵜呑みにする

体調がすぐれないため、説明が頭に入ってきにくい

医療機関を受診している時点で、なにかしら体調不良をおこしていることが多いです。
からだのコンディションが悪い状態だと、そもそも人の話ってスムーズに入ってこないです。

知識が不十分

医療に関する前提となる知識がないと、限られた時間で病状を理解するのはむずかしくなります。
人はなじみのないことが多くなりすぎると、思考が停止してしまいます。
かぎられた時間で説明をうけるので、理解が追いつかないうちに話がすすんでしまっていくと、話を理解するのはむずかしくなります。
ふだんから健康情報や自分の世代でかかりやすい病気に関する知識を勉強し、自分のからだへの健康意識をもつことが重要です。

不確かな情報を鵜呑みにしてしまう

インターネットには医療情報があふれています。
もちろん「正しい信頼のおける情報」もありますが、「もととなるソースがわからない情報」「明らかに間違っている情報」「あやしげな情報」など不確かな情報も多々あります。
インターネットで調べた情報と、医師の説明がちがうと、説明を聞こうとしないことがあります。一度、固定観念ができてしまうと、それとちがう情報はあたまに入りにくくなってしまいます。

まとめ

医師の説明がわかりにくい理由には、「医師の常識は患者の非常識」「医療の高度化・専門化」「以前は医師の説明を理解する必要はそれほどなかった」「頭脳の差があること」などの背景があります。

医師側の原因として、「説明スキル不足」「説明する時間が足りないこと」「説明しにくい難しい病気があること」などがあります。

患者側の原因として、「体調がすぐれないこと」「知識不足」「ネットなどの不確かな情報を鵜呑みにすること」などがあります。

医師側は、わかりやすい説明をこころがけるとともに、話をするスキルをみがいていく必要があります。

患者側は、普段から自分のからだのことを考え、「健康」や「病気」に関する知識を得そうとすることが必要です。

説明がすこしでもわかるようになり、医師と患者の関係がすこしでも良くなることを願っています。
そして、病気という「共通の敵」に対して協力してたたかっていくことが理想だとおもいます。

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