ブライダルチェックとは何ですか?【プレコンセプションケア】

結論ですが

ブライダルチェックとは、結婚して妊娠・出産するにあたって、健康状態を確認する検査のことです。

この記事は「妊娠・出産を考えている人」に向けて書いています。
妊娠を考えたときに起こるさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「ブライダルチェック」についてわかります。

  • これから結婚するけどお互いの健康状態を確認したい!
  • 妊娠できる体かしら…
  • とくに症状はないけど健康なのかしら…

こんな悩みにお答えします。

結婚をして、妊娠出産を考えた場合には、通常の健康状態とは違った視点も必要となってきます。
妊娠・出産を考慮した健康状態の確認などのヘルスケアのことを「プレコンセプションケア」とよばれています。その一貫として、「ブライダルチェック」が行われていることが多いです。

今回は、「ブライダルチェック」ではどのような検査が行われるのかについて説明していきます。

この記事のまとめ

  • 妊娠・出産に備えた準備をするにあたって「ブライダルチェック」が行われます。
  • 「ブライダルチェック」には「血液検査」「尿検査」「おりもの検査」「子宮頸がん健診」「エコー検査」「精液検査」などがおこなわれます。
  • 病気が判明した場合には、妊娠に備えて治療をおこなうようにしましょう。

ブライダルチェックって何ですか?

妊娠するにあたって、お腹の中の赤ちゃんに影響を与える病気がないか、赤ちゃんやパートナーへ感染するような病気がないか、妊娠や出産に影響を与えるような病気がないか確認するために「ブライダルチェック」が行われます。
医療機関によって、検査項目はさまざまであり、呼び方もいろいろあって「プレママチェック」「プレママ健診」などと呼ばれているものも同じような検査がおこなわれます。
結婚する前にお互いの健康状態を把握するために「ブライダルチェック」が行われることが多いですが、結婚した後にも検査可能です。女性だけでなく、男性もおこなわれることもあります。
では、「ブライダルチェック」ではどのような検査が行われるかについてみていきましょう。

血液検査

血球算定

血液中の「血球」とよばれる成分を検査します。
「血球」には、免疫に関係する「白血球」、貧血の値に関係する「赤血球」「ヘモグロビン」、血液のかたまり具合に関係する「血小板」などがあります。
とくに、生理が多くて貧血気味になる人が多く、「ヘモグロビン」の値をみて貧血か判断します。

生化学

「生化学」では、「肝機能」や「腎機能」「電解質」などを検査します。
「肝臓」や「腎臓」の機能異常がないか確認します。また、腎臓の機能異常があると、ナトリウム・カリウムなどのミネラル分である「電解質」に異常をきたすことがあります。

血液型、不規則抗体

血液型では、とくに「A型」「B型」「AB型」「O型」の4つの型がある「ABO式血液型」と、「Rh(+)」「Rh(-)」なのか確認します。
妊娠した時に、血液型がお腹の中の赤ちゃんに影響を与える場合があるのか確認します。
具体的にいうと、日本人には「Rh(-)」は少ないですが、母親が「Rh(-)」の血液型の場合で、パートナーが「Rh(+)」の血液型の組み合わせの場合は「血液型不適合」となります。
その場合は、お腹の中の赤ちゃんの赤血球を攻撃してしまう「抗体」というものができる可能性があり、注意が必要になります。
また、「不規則抗体」では、お腹の中の赤ちゃんの赤血球を攻撃してしまう「抗体」である可能性があります。「不規則抗体」にはさまざまな種類があり、危険性が高いものもあれば、低いものもあります。

感染症

感染症検査では、お腹の中の赤ちゃんに母子感染する可能性がある「梅毒」「B型肝炎」「C型肝炎」「HIV」などが検査されます。
なお、母親から赤ちゃんの感染するルートは、胎盤を通じてお腹の中の赤ちゃんに感染する「胎盤感染」、お産のときに感染する「産道感染」、授乳するときに感染する「母乳感染」などがあります。
また、「風疹抗体」を測定します。「風疹抗体」が少ない場合には、風疹への免疫が不十分であり「妊娠したときに風疹にかかるリスクがある」ということになります。「風疹ワクチン」の接種は生ワクチンであるため、基本的には妊娠期間中は行われません。
「風疹抗体」が少ない場合には、妊娠をする前に「風疹ワクチン」を接種するようにしましょう。

甲状腺機能

「甲状腺ホルモン」や「甲状腺ホルモンを分泌させるホルモン」を検査します。
「甲状腺機能異常」があると、「無月経」「月経不順」などの症状につながる場合や、なかなか妊娠しない「不妊症」や、流産を繰り返してしまう「不育症」などにつながる可能性があります。

尿検査

おしっこの中に、「蛋白」や「糖」「潜血」が含まれているか確認します。
「蛋白尿」が陽性の場合は、「腎臓の機能異常」や「高血圧」などの可能性があります。「尿糖」が陽性の場合は、「糖尿病」の可能性があります。
「潜血」が陽性の場合には、「腎臓の病気」や「おしっこの通り道」に出血をきたす病変が隠れている可能性があります。
「尿検査の異常」がある場合には、妊娠する前にしっかりと専門医の診察を受けましょう。

おりもの検査

おりものを採取して「クラミジア」「淋菌」「一般細菌」など感染がないか検査がおこなわれます。
とくに「クラミジア」や「淋菌」では、「子宮の中」から「卵管」「お腹の中」へと感染が広がって腹痛などの症状をきたすことがあります。また、卵管のまわりの炎症によって、卵管の通りやすさが悪くなり「不妊症」につながることもあります。
「クラミジア」「淋菌」だと判明したら、しっかりと治療するとともに、パートナーも検査を受けることをすすめます。

子宮頸がん検診

子宮の入り口の細胞を採取する「子宮頸がん検診」がおこなわれます。
子宮頸がんの前がん病変である「子宮頸部異形成」や「子宮頸がん」の可能性があるか検査します。万が一、検査結果で引っかかった場合には、組織の検査など追加の精密検査を受けることになります。
「子宮頸部異形成」だと判明した場合には、リスクに応じて「蒸散術」や「円錐切除術」などの治療もしくは定期的なフォローアップか相談することになります。
万が一、「子宮頸がん」だと判明した場合には、今後の妊娠希望などによって治療方針を担当医と相談することになります。

エコー検査

子宮や卵巣が腫れていないか検査します。
基本的には、腟口からエコーを挿入する「経腟エコー」で検査がおこなわれます。とくに「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「子宮内膜症」「卵巣腫瘍」などの可能性がないか検査します。

精液検査

男性側への検査です。
精液検査では、精液を顕微鏡でのぞいて、「精子の数」「精子の運動率」「精子の形の異常」などないか確認します。

その他

体格の測定

「身長」「体重」、「腹囲」などが測定されます。
「身長」と「体重」から「BMI」を計算し、「やせ」なのか「肥満」なのか判断します。
「やせ」や「肥満」は状態によっては、不妊症の原因となったり、妊娠・分娩経過に影響を与える可能性があります。
「腹囲」から「メタボリック症候群」の可能性がないか確認します。女性の場合、腹囲が90cm以上だと「内臓脂肪過多」と判定されます。

血圧測定

血圧を測定します。血圧が高い場合には「高血圧」の可能性があります。
「高血圧」の可能性がある場合には、妊娠する前にしっかりと専門医の診察を受けましょう。

まとめ

  • 妊娠・出産に備えた準備をするにあたって「ブライダルチェック」が行われます。
  • 「ブライダルチェック」には「血液検査」「尿検査」「おりもの検査」「子宮頸がん健診」「エコー検査」「精液検査」などがおこなわれます。
  • 病気が判明した場合には、妊娠に備えて治療をおこなうようにしましょう。

まだ妊娠したことのない人にとっては、自分が本当にこどもを産めるのか心配になる気持ちがある人は実は多いです。

今すぐに妊娠するわけではないけど、なんとなく不安な人。
今できることはないかと思う人。
年齢も高くなってしまって焦っている人。

妊娠に対してさまざまな感情を抱くかと思います。
人間も一生物であり、子孫が繁栄することは素晴らしいことだと思います。
産婦人科医として、自分のこどもが欲しいという人をしっかりとサポートしていきたいと思います。

この記事によって「ブライダルチェック」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

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