子宮とともに「卵管」や「卵巣」をとるべきか!?【子宮全摘出術】

 結論ですが

子宮とともに「卵管」も摘出することをすすめますが、「卵巣」は年齢など考慮して摘出するか判断しましょう。

この記事は「子宮全摘出術をうけることになった」女性向けに書いています。
この記事を読むことで「子宮とともに卵管や卵巣も一緒に摘出するかどうか」の考えがわかります。

婦人科を受診して、子宮筋腫などで手術が必要となり、子宮摘出をおこなうことになる場合があります。そのときに、子宮と一緒に卵巣・卵管もとるかどうか選択に迫られる場面があります。

初めての手術で、手術の説明を理解するだけでも大変で、どこまで摘出したいかか聞かれてもよくわからないとなる人も多いかと思います。
基本的には必要がなければ正常な臓器はそのままにしておきますが、子宮摘出のときに卵巣・卵管をあわせて摘出するというオプションを考慮する場合もあります。

今回、「子宮とともに卵管や卵巣もとるべきなのか」について説明していきます。

この記事のまとめ

  • 卵管は子宮とともに摘出する場合がほとんどです。
  • 卵巣を摘出するかどうか、「年齢」「女性ホルモンの影響」「卵巣の腫れ具合」「片方もしくは両側とも摘出するか」「卵巣を温存したときのリスク」などを考えて判断します。

卵管摘出に関して

子宮とともに卵管も摘出することが多いです

妊娠するにあたって、「卵管」は「精子」や「卵」や「受精卵」の通り道としての役割があります。子宮を摘出するということは、基本的には自然妊娠は望めないので、必然的に卵管は機能面でいうと必要のない臓器となります。

卵管が存在していると、卵巣がんのリスクが高まることが分かっています。これは卵管から分泌される成分が卵巣がんの発生に関与していると考えられています。また、稀ではありますが卵管から癌が発生してくることもあります。

なので、子宮を摘出するときには卵管も一緒に摘出することが多いです。
なお、基本的には手術の手間はそんなにかからずに卵管も一緒に摘出することができます。しかし、腟式子宮全摘出術という術式では、卵管を摘出することは困難であり卵管を温存することが多いです。

卵巣摘出に関して

卵巣の役割

卵巣のおもな役割は「排卵すること」と「女性ホルモン(エストロゲン)の分泌」の2つです。
子宮を摘出するということは、基本的には自然妊娠は望めないので、卵巣の役割のうち「排卵すること」は不要となります。しかし、「女性ホルモンの分泌」という役割は子宮を摘出したあとも必要な機能になります。
なので、子宮を摘出するときに卵巣も一緒に摘出するかを考える場合に「女性ホルモンの分泌」について考えることになります。

女性ホルモン低下の影響

卵巣から分泌される「女性ホルモン」はさまざまな働きをしています。
加齢とともに女性ホルモンが低下すると、月経は不規則となります。全体として月経の頻度は徐々に少なくなっていって、「閉経」をむかえることになります。
1年以上月経が来ないと「閉経」と判断します。日本における閉経の平均年齢は約50歳です。
また、女性ホルモンの低下によってさまざまな症状が出てきます。たとえば、ほてり・多汗・気分不安定などの「更年期症状」をきたします。
また、症状にはあらわれにくいですが、将来的に「骨粗しょう症」になりやすくなったり、「脂質代謝異常症」や「血管がもろく」なりやすくなります。

卵巣の”両側”摘出は慎重に判断を

「卵巣」は子宮の左右に1つずつ計2つ存在しています。卵巣を片方のみ摘出した場合は、残ったもう1つの卵巣が頑張って働いてくれます。血中の女性ホルモン値はほぼ変わらなく、閉経時期もほとんど変わらないと言われております。
卵巣を2つとも摘出した場合は、摘出した時点で卵巣からの女性ホルモン分泌はなくなってしまうため、急速に女性ホルモンの値は下がってしまいます。
そうすると、さきほど説明した「更年期症状」が出現したり、将来的に「骨粗しょう症」になりやすくなったり、「脂質代謝異常症」や「血管がもろく」なりやすくなります。
なので、卵巣を”両側”とも摘出するかどうかは、慎重に判断する必要があります。

卵巣を摘出するかどうか

では実際に、どのような場合に卵巣を摘出するか考えていきます。
加齢とともに女性ホルモン分泌は下がってきます。とくに閉経を過ぎてしばらく経っている場合は、卵巣からの女性ホルモン分泌はほとんどありません。その場合は、子宮とともに卵巣も一緒に摘出することが多いです。

また、卵巣が腫れている場合には、子宮とともに卵巣も一緒に摘出することが多いです。
ただし、卵巣を片方のみ摘出した場合は、残ったもう1つの卵巣が頑張って働いてくれるので問題ないですが、卵巣が両側とも腫れていた場合、両側とも摘出するべきか迷うことがあります。実際には卵巣の腫れ具合や大きさをみて両側とも摘出するか判断します。
ちなみに両側とも卵巣摘出した場合は、手術後に女性ホルモンを補充する「ホルモン補充療法」という方法もあります。

卵巣温存のリスク 

卵巣を残した場合は、そこから癌化してくる可能性もあるため、定期的な卵巣の検診をすすめます。
ちなみに、「子宮内膜症」や「乳癌」などの疾患では、卵巣から分泌される女性ホルモンによって病態が悪化してくることがあります。それらが併存している場合は卵巣を両方とも摘出した方が良い場合もあります。

まとめ

卵管は子宮とともに摘出する場合がほとんどです。

卵巣を摘出するかどうかは、「年齢」「女性ホルモンの影響」「卵巣の腫れ具合」「片方もしくは両側とも摘出するか」「卵巣を温存したときのリスク」などを考えて判断します。

子宮全摘出術を予定している場合、卵巣や卵管も一緒に摘出するか判断を迫られる場合があります。
ご自身の体のことなので、卵巣・卵管摘出に関する知識を理解した上で、自分自身でよりよい選択ができることを願っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です