生理が来なくなりました!!【女性アスリートの悩み】

結論ですが

3ヶ月以上生理が来ない場合、もしくは15歳になっても「初めての生理」(初潮)が来ない場合には「無月経」であり、婦人科を受診するようにしましょう。

この記事は「女性アスリート」に向けて書いています。
女性アスリートのさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「無月経」についてわかります。

  • 練習が厳しすぎる!
  • 体重が減りすぎてしまった!?
  • 生理が来なくなった!

女性アスリートは、健康上の悩みを抱えていることが実は多いです。
とくに生理に関する悩みは、なかなか人に聞けないかと思います。

競技パフォーマンスを上げるために、日々厳しいトレーニングに励んでいる女性アスリート。
栄養管理や体重管理が厳重な場合もあります。
こうした厳しさに打ち克って、試合で結果を出していく人もいれば、故障してしまう人もいます。
競技パフォーマンスを目指していくことは良いことですが、そこには「健康である」ということが前提だと思います。とくに若い世代のアスリートは、将来の健康状態にも影響あたえる可能性があります。

女性アスリートが陥りやすい健康問題として「エネルギー不足」「無月経」「骨粗しょう症」の3つがあり、「女性アスリートの3主徴」と呼ばれています。
女性アスリートの継続的な厳しいトレーニングなどが原因となって、それぞれの発症が相互に関係し健康問題を引き起こすのです。

では、今回は「女性アスリートの無月経」についてみていきましょう。

この記事のまとめ

  • 3ヶ月以上生理が来ない場合、もしくは15歳になっても「初めての生理」(初潮)が来ない場合には「無月経」であり、婦人科を受診するようにしましょう。
  • 「利用可能エネルギー不足」によって「無月経」がおこります。
  • 「無月経」による「エストロゲン」(女性ホルモン)低下によって「骨粗しょう症」につながります。
  • 「利用可能エネルギー不足」「無月経」「骨粗しょう症」の「女性アスリートの3主徴」はそれぞれが関係し合っています。

そもそも無月経とは?

運動性無月経とは

これまであった月経が3ヶ月以上停止した状態のことを「続発性無月経」とよばれます。
女性アスリートの場合、運動が原因で「無月経」になったものを「運動性無月経」ともよばれます。
なお、18歳になっても「初めての生理」(初潮)がこない状態のことを「原発性無月経」とよばれます。実際には15歳を過ぎても初潮がこない状態のことを「遅発月経」とよばれ、原因を検索する場合が多いです。とくに女性アスリートの場合は、「初めての生理」(初潮)がこない場合、原因として「運動性無月経」が隠れている場合があります。

運動性無月経の原因

「運動性無月経」がおこる原因として、さきほど説明した「利用可能エネルギー不足」「精神的・身体的ストレス」「体重・体脂肪の減少」「ホルモン環境の変化」などがあります。
競技別に無月経の割合をみると、「体操」「新体操」「フィギュアスケート」「陸上競技(長距離)」「トライアスロン」の順に多いです。「見た目が重視される競技」や「持久力が求められる競技種目」において無月経が多くみられる傾向にあります。

無月経の原因と検査

「無月経」の場合にはまずは原因を検索します。とくに「問診」で情報を収集し、「画像検査」で子宮・卵巣の異常がないか評価したり、「血液検査」でホルモン値を評価したりします。また、「身長」と「体重」を測定して「BMI」を算出します。
成人において「BMI17.5未満」の場合や、思春期世代において「標準体重85%未満」の場合には、「利用可能エネルギー不足」による「運動性無月経」が疑われます。また、「運動性無月経」では「LH」「FSH」「エストロゲン」というホルモン値が低くなります。
また、卵巣に小さな袋が多くある場合や、「LH/FSH」や「テストステロン」が高い場合には「多嚢胞性卵巣症候群」が疑われ、「LH」「FSH」が高く「エストロゲン」が低い場合には「卵巣機能低下」が疑われます。また、甲状腺ホルモンなどの「内分泌異常」がみつかる場合もあります。

無月経の治療

運動性無月経

「利用可能エネルギー不足」による「運動性無月経」の場合には、トレーニング量に見合ったエネルギー量を摂取するようにします。場合によっては、トレーニング量を減らして、エネルギー消費量を減らすことも行います。
また、「精神的ストレス」や「摂食障害」などが疑われる場合には、精神科や心療内科など専門医による診察を受けるようにしましょう。

多嚢胞性卵巣症候群

「多嚢胞性卵巣症候群」(PCOS)による無月経の頻度は多いです。女性アスリートにおいても例外ではなく、月経異常を有するオリンピック選手では「利用可能エネルギー不足」よりも「多嚢胞性卵巣症候群」の頻度が高いという報告もあります。
妊娠を希望する場合は、「クロミフェン」や「シクロフェニル」などの排卵誘発剤が使用されますが、「ドーピングの禁止物質」に指定されているので、原則使わないようにします。
「多嚢胞性卵巣症候群」による無月経の場合には、黄体ホルモンの周期的な投与である「ホルムストローム療法」や「ピル」による治療が行われます。

その他

「卵巣機能低下」の場合には、「エストロゲン」や「プロゲステロン」などのホルモンを補充する治療などが行われます。また、妊娠を希望する場合には、「体外受精-胚移植」などの不妊治療などが考慮されます。
甲状腺ホルモン異常などの「内分泌異常」がみつかった場合には、甲状腺や代謝内分泌科など専門医による診察を受けるようにしましょう。
ただし、いずれの治療も「ドーピング禁止物質」に当たらない薬を原則使うようにします。

女性アスリートの3主徴と無月経

「利用可能エネルギー不足」によって「無月経」につながります。
また、「無月経」になることで「エストロゲン」(女性ホルモン)の分泌が低下して「骨粗しょう症」につながります。
「利用可能エネルギー不足」「無月経」「骨粗しょう症」の「女性アスリートの3主徴」は、それぞれが密接に関係しているため、総合的に評価して対応していくことが大切です。

まとめ

  • 3ヶ月以上生理が来ない場合、もしくは15歳になっても「初めての生理」(初潮)が来ない場合には「無月経」であり、婦人科を受診するようにしましょう。
  • 「利用可能エネルギー不足」によって「無月経」がおこります。
  • 「無月経」による「エストロゲン」(女性ホルモン)低下によって「骨粗しょう症」につながります。
  • 「利用可能エネルギー不足」「無月経」「骨粗しょう症」の「女性アスリートの3主徴」はそれぞれが関係し合っています。

女性アスリートの場合、競技パフォーマンスの向上のために「厳しいトレーニング」や「食事管理」などが行われます。

アスリートが、生理が来ないのは当たり前だ!
体重が増えては競技成績が落ちる!!
疲労骨折するくらい練習しなければ!?

などと間違った考えの指導者も多いのも事実です。
女性アスリートの健康があってこその競技です。
若い世代のアスリートが、長く健康的にスポーツを楽しめるように、スポーツを取り巻く環境がより良いものになることを願います。

また、最終的には自分のからだを守ることができるのは自分自身のみです。
しっかりとした知識をもち、スポーツと健康を両立できれば幸いです。

この記事によって、「女性アスリートの無月経」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

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