生理の量が多いです、なんとかしてほしいです!!【過多月経】

結論ですが

生理の量がおおくて困っている場合は産婦人科を受診して相談しましょう。

この記事は「生理の量がおおくて困っている」女性向けに書いています。
この記事を読むことで「生理の量が多いときにどうするのか」がわかります。

毎回、生理がくるたびに量が多くて心配になることありませんか?

出血量が多すぎると、「たちくらみ」「動悸」「息切れ」などの貧血症状が出てきてこまっているひとがいるかとおもいます。

貧血の状態になれすぎてしまって、「ヘモグロビン」という貧血の値がとんでもなく低い値になっているひともいます。

生理の量がおおいことを「過多月経」といいます。

今回、「過多月経」の場合にどのような治療や検査がおこなわれるのか説明していきたいと思います。

この記事のまとめ

  • 過多月経の治療には「くすり」「子宮内避妊具」「手術」などがあります。家族計画やライフステージなどに応じて治療を選択します。
  • 過多月経にともなう「鉄欠乏性貧血」があれば、「鉄剤」による治療をおこないます。
  • 過多月経の原因には、子宮の病変・がんなどの「婦人科疾患」や「妊娠の異常」「血液のかたまりやすさの異常」などがあります。原因が明らかな場合は、その治療を優先します。

過多月経の治療

生理の量をおさえる方法として、止血剤、ピル、漢方などの「くすり」、「子宮内避妊具」、子宮摘出術などの「手術」などがあります。

まずはからだへの負担が比較的すくない「くすり」を使用することが多いです。

効果がいまいちであれば「子宮内避妊具」を使用して、それでも効果がなければ最終的に子宮を摘出する手術を選択するというながれになります。

また、月経が多すぎて、はやめに止めたい場合は「子宮内膜掻爬術」を緊急でおこなうことがあります。

「ピル」や「子宮内避妊具」を使用すると、一時的に妊娠しない状態となるので、すぐに子供を希望している方は使用しないです。

また、将来的にこどもを産みたいとおもっている方には、もちろん子宮を摘出する手術をおこなうことできないです。

その人の、妊娠出産などの家族計画やライフステージにおうじて治療をえらぶ必要があります。

また、生理の量がおおくなる明らかな原因がある場合には、その治療が基本的に優先されます。

くすり

まずは、比較的副作用のすくないトラネキサム散という出血量をおさえる止血剤を使用することがおおいです。

「エストロゲン」と「プロゲステロン」というホルモンの成分をふくむくすりであるピルをつかうことがあります。

もともとピルは、妊娠をしないためにのむくすり「経口避妊薬(OC)」として使われていました。

じつはピルをのんでいるひとは、生理痛をやわらげたり、生理の量がすくなくなるなどの生理の症状をやわらげる効果もあることがわかってきました。

それを利用して、生理の量をおさえるために使われることがあります。

なお、ピルはのんでいる間は一時的に子供ができない状態になりますが、のむのをやめたらとくに問題なく妊娠することは可能です。

漢方はそのひとにあらわれた症状や兆候である「証」を判断して使い分けられます。

女性の3大漢方とよばれる「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」があります。

「証」をみてこれらを使い分けるとともに、実際に効果があるかどうかによって調整していきます。

ほかにも月経の量をおさえる効果がある「芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)」などがつかわれます。

子宮内避妊具

子宮の中に挿入する「子宮内避妊具」があります。避妊用リングとよばれることもあります。

その中で、ノボノルゲストレルとよばれる黄体ホルモンを放出するタイプのものがあります。

子宮の内膜が厚くなるのをおさえ、生理の量をすくなくする効果があります。
また、妊娠をしない状態にする「避妊効果」もあります。

基本的に「子宮内避妊具」を挿入している状態だと妊娠しないです。
「子宮内避妊具」をぬいて抜去すると、妊娠できる状態にもどります。

手術

生理は、厚くなった子宮内膜がはがれ落ちてきて起こります。

生理の量がおおすぎて早めに止めたい場合は、厚くなった子宮内膜を掻爬する「子宮内膜掻把(そうは)術」がおこなわれます。

また、最終手段ですが、生理をおこす根本的原因である子宮をとる方法「子宮を摘出する手術」をえらぶことがあります。

これは、もう子供は十分にいて子宮はいらないから摘出したい場合や、閉経が近くなって生理がみだれてきて早く生理の症状から開放されたい場合などに選ばれます。

また、おこなう施設がすくないですが、今後妊娠を希望しない場合には「子宮内膜焼灼術」が行われることもあります。

ただし、手術にはからだへの負担がかかるのと、手術リスクがつきものなので、しっかりと担当医と相談することが大切です。

過多月経による貧血の確認

生理の量がおおく、重度になると「鉄欠乏性貧血」をきたします。

たちくらみ・動悸・息切れなどの貧血症状をきたします。

生理の量が140ml以上を「過多月経」と定義されていますが、じっさいに正確に量をはかることはほとんどないです。

この「鉄欠乏性貧血」の有無が重症度の指標となります。

血液検査をして、「鉄欠乏性貧血」を評価します。

とくに「ヘモグロビン」という値をみて、基準値より下回っているかどうか確認します。

成人女性の場合、だいたいの目安ですが「ヘモグロビン」が11mg/dl以下の場合を「貧血」と判断します。

鉄欠乏性貧血の場合は、鉄剤のくすりを処方して治療します。

クセがあるくすりで鉄剤を飲むのが難しいひともいます。

その場合は、「シロップ」「カプセル」「粉薬」などあるので、のみやすいものを相談しましょう。

どうしても飲めない場合は「注射」もあります。

過多月経の原因

生理の量がおおくなる原因がないか検査をします。

あきらかに生理の量が多くなる原因がわかれば、その治療を優先します。

エコーで、「子宮の病変」がないか確認します。

また、出血の原因として「がん(悪性腫瘍)」が隠れていることもあります。

うたがわしい場合は、子宮頸癌や子宮体癌などの検査もおこないます。

じつは、妊娠をしていて「妊娠の異常」にともなう出血だとわかることがあります。
うたがわしい場合は、おしっこをとって妊娠検査をおこないます。
とくに、生理がもともと不順であった場合や、生理がズレている場合は妊娠の可能性を念頭に入れます。

また、「血液のかたまりやすさの異常」によって、出血がしやすい状態のことがあります。

血液検査をして、血液のかたまりやすさなどを評価します。

婦人科疾患

エコーで、「子宮の病変」がないか確認します。
「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「子宮内膜ポリープ」「子宮頸管ポリープ」などがあります。

とくに子宮内膜が厚い場合は「子宮内膜増殖症」などの可能性があるため、子宮内膜の組織の検査をおこないます。

また、出血の原因として「がん(悪性腫瘍)」が隠れていることもあります。
うたがわしい場合は、子宮頸がんや子宮体がんの検査などもおこないます。

うたがわしくない場合でも、20歳以上で定期的に子宮頸がん検診をしていないひとには、子宮頸がんの検査をすすめます。

↓↓リンク↓↓
「なぜ産婦人科医師はやたらと子宮頸がん検診をすすめてくるのか?【3つの理由】」

妊娠の異常

生理だとおもっていたら、じつは妊娠をしていて「妊娠の異常」にともなう出血だとわかることがあります。

とくに、生理がもともと不順であった場合や、生理がズレている場合は妊娠の可能性を念頭に入れます。

うたがわしい場合は、おしっこをとって妊娠検査をおこないます。
妊娠の異常の出血原因として「切迫流産」「異所性妊娠」「胞状奇胎」などがあります。

このなかで「切迫流産」の頻度が多いです。

「異所性妊娠」は大量出血から命をおとす可能性があるため、見逃してはいけない疾患です。

「胞状奇胎」は妊娠成立において何かしらエラーによって、子宮内に病変をつくり、そこから出血してくる稀な疾患です。

子宮内容除去術をおこなって、治療するとともに、組織の検査をして診断します。

血液のかたまりやすさの異常

「血液のかたまりやすさの異常」によって、出血がしやすい状態となっていることがあります。

血液検査をして、「血液のかたまりやすさ」「血液をかためる成分の異常」などを評価します。

原因として、「白血病」「先天性血液疾患」「自己免疫疾患」などがわかることが、まれですがあります。

まとめ

過多月経の治療には「くすり」「子宮内避妊具」「手術」などがあります。
妊娠の希望などの家族計画やライフステージに応じて治療を選択します。

過多月経にともなう「鉄欠乏性貧血」があれば、鉄剤による治療をおこないます。
鉄剤には、「シロップ」「カプセル」「粉薬」などあります。どうしても飲めない場合は「注射」もあります。

過多月経の原因には、子宮の病変・がんなどの「婦人科疾患」や「妊娠の異常」「血液のかたまりやすさの異常」などがあります。原因が明らかな場合は、その治療を優先します。

生理の量がおおくて困っている場合、無理せずに産婦人科を受診しましょう。
産婦人科はこまっている人の味方です。

勇気をもって受診して、うまく産婦人科を活用してましょう。
「過多月経」に悩まされず、充実した毎日がおくれることを願っています。

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