ホルモン補充療法中に注意すべき【5つのポイント】

結論ですが

「ホルモン補充療法」を行っているときに、「注意すべきポイント」があります。

この記事は「更年期障害に悩んでいる」女性に向けて書いています。
更年期障害に関するさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「ホルモン補充療法中に注意すべきポイント」についてわかります。

最近イライラしやすくなった…
ほてりがひどいです!!
これって更年期障害なの!?

このような悩みや疑問にお答えします。

女性ホルモンである「エストロゲン」が低下していくことで「閉経」になっていきます。
「エストロゲンの低下」によって、40代から50代にかけての「更年期」にさまざまな症状や体への影響をきたすことになります。
その症状が日常生活に影響を及ぼすようになると「更年期障害」といわれます。

更年期障害は、不足した「エストロゲン」を補うホルモン補充療法がおこなわれます。

ホルモンによる治療は副作用など心配…

このように考える人は多いです。
実際に、ホルモン補充療法には、いくつか有害事象があり、それにともない注意が必要な症状があります。
今回は「ホルモン補充療法中に注意すべきポイント」について5つに絞って説明したいと思います。

この記事のまとめ

ホルモン補充療法とは?

「ホルモン補充療法」(HRT)とは、不足した「エストロゲン」(女性ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法です。

更年期障害では、「エストロゲン」の低下によって、「自律神経症状」「精神神経症状」「運動器症状」「消化器症状」など様々な症状を呈します。さらに、エストロゲンの低下によって、「骨粗しょう症」になりやすく、「脂質代謝異常症」や「血管の弾力性低下」により「動脈硬化」や「心血管疾患」につながります。

ホルモン補充療法は、「ほてり」「のぼせ」「発汗」などの症状にとくに効果があります。さらに、将来の「骨」や「血管」などの健康管理にも効果を発揮してくれます。
ホルモン補充療法には「効果」もありますが、「有害事象」が起こることもあります。
実際に、ホルモン補充療法には、いくつか有害事象があり、それにともなう注意が必要なポイントがあります。

今回は「ホルモン補充療法中に注意すべきポイント」について順に説明していきます。

ホルモン補充療法中に注意すべきポイント1:症状

ACHES

「ACHES」とは、「Abdominal pain」( 激しい腹痛)、「Chest pain」( 激しい胸痛)、「Headaches 」(激しい頭痛)、「Eye speech problems」( 視野の異常、言語のもつれ)、「Severe leg pain」( ふくらはぎの痛み)の症状の頭文字をとったものです。
ACHESの症状が見られる場合、「血栓症」や「血栓塞栓症」が疑われます。
なお、「血栓症」とは、血液のかたまり(血栓)が作られてしまう状態のことをいいます。
その血栓が血液のながれにのって、血管を詰まらせてしまうことを「血栓塞栓症」といいます。

血管は全身に張り巡らされています。血栓が血管が詰まる場合、その詰まる場所によって疾患の名前が付いています。
そして、血栓が各血管に詰まった場合、それぞれ症状が現れますが、頭文字をとって「ACHES」(エイクス)と呼ばれるのです。

不正性器出血

不正性器出血は、月経以外の性器出血のことをいいます。

閉経後に性器出血が見られる場合にも「不正性器出血」と判断しますが、ホルモン補充療法を行う年代では注意が必要です。
ホルモン補充療法で、エストロゲン単独の投与で「子宮体がん」リスクが上がります。さらに、ホルモン補充療法が行われる年齢では「子宮体がん」に罹患しやすい年代に差しかかかってきます。
不正性器出血を認める場合には、「子宮体がん」の可能性含め診察を受けるようにしましょう。

ホルモン補充療法中に注意すべきポイント2:体重

ホルモン補充療法中には、「体重」を定期的に測定するようにします。

急激に体重が増加した場合は、腎障害によるむくみ、血栓症にともなうむくみなど考えられます。かならず、診察を受けるようにしましょう。
また、ホルモン補充療法中に体重が増えて「BMI25以上」の肥満になった場合には、血栓症のリスクが高くなるため、ホルモン補充療法の「慎重投与」が必要になります。

ホルモン補充療法中に注意すべきポイント3:年齢

ホルモン補充療法中には、「年齢」に注意しましょう。

とくに、「年齢が60歳以上」または「閉経後10年以上」の場合には、「ホルモン補充療法」は慎重におこなう必要があります。
「年齢が60歳以上」では、「エストロゲン」投与によって、「冠動脈疾患」や「静脈血栓塞栓症」のリスクが増加し、「認知機能低下」のリスクが高まります。
新規投与では「慎重投与」となっていますが、ホルモン補充療法を継続する場合にも注意が必要です。

ホルモン補充療法中に注意すべきポイント4:血圧、血糖

血圧

ホルモン補充療法中には、「血圧」を定期的に測定するようにしましょう。

とくに、コントロール不良の高血圧の場合には「ホルモン補充療法」を慎重におこなう必要があります。
なお、高血圧の基準は、「収縮期血圧(上の血圧)140mmHg以上」または「拡張期血圧(下の血圧)90mmHg以上」の場合を言います。(高血圧ガイドライン2019)
コントロールが不良の高血圧の場合は、動脈硬化による脳卒中のリスクが高くなります。
まずは、血圧のコントロールを優先して行う必要があります。

血糖

ホルモン補充療法中には、「糖尿病検査」(血糖・HbA1cなど)を定期的に行うようにしましょう。

とくに、コントロールが不良の糖尿病の患者さんにおいて「ホルモン補充療法」を慎重におこなう必要があります。
エストロゲンと併用される「黄体ホルモン」によって、糖代謝を悪化させる可能性があるため、慎重に投与することが必要です。
「コントロール不良の糖尿病」がある場合は、糖尿病の専門医の診察を受けるようにしましょう。

ホルモン補充療法中に注意すべきポイント5:がん検診

ホルモン補充療法中には、がん検診を受けるようにしましょう。

とくに「子宮頸がん」「子宮体がん」や「乳がん」の検診を受けましょう。
ホルモン補充療法によって「不正性器出血」が起こる場合がありますが、「子宮頸がん」や「子宮体がん」が隠れている場合があるため注意が必要です。
また、ホルモン補充療法を5年以上の継続した場合に「乳がん」リスクが上がる可能性があります。ホルモン補充療法中には、定期的な「乳がん」検診を受けるようにしましょう。

なお、「子宮体がん」や「乳がん」がある場合には、ホルモン補充療法を使用することが出来ない「禁忌」(きんき)になるので注意が必要です。

まとめ

今回は「ホルモン補充療法中に注意すべきポイント」について説明してきました。

ホルモン補充療法を使う時に、くすりの特徴を把握しておくことが重要です。
くすりには「効果」などのメリットもあれば、「副作用」「有害事象」などのデメリットもあります。
効果や有害事象などくすりの特徴を把握することによって、より安全にくすりを使うことが出来るのです。

「クスリはリスク」と昔から言われます。
リスクをマネジメントすることで、クスリを安全に使用することができます。

ホルモン補充療法中に現れる「症状」や「検査異常」に注意して、安全にくすりを使うようにしましょう。
この記事によって「ホルモン補充療法」について理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

1件のコメント

こんなにためになるお話しを数日間隔で載せていることに驚きと感動です✨
年齢的にもホルモン補充療法に大変興味がありました。
自分の女性ホルモンの検査を是非したいなぁと思いました。

思わずコメントしてしまいました。
失礼いたします‍♀️

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