結論ですが
安全な手術のためには「医療情報」を確認する必要があります。
この記事は「手術をうけることになった人」に向けて書いています。
この記事を読むことで「医師が手術前にどんな情報を確認しているのか」がわかります。
手術を受けることになった場合は、手術を安全に行うために準備が必要です。
とくに長時間かかる大きな手術の場合は入念な準備が必要になります。
手術のための準備のひとつとして「医療情報」の確認をおこないます。
手術を予定している方は、しっかりと「医療情報」を伝えることが大事です。
今回、「医師は手術前にどんな情報を確認しているのか」について説明していきます。
この記事のまとめ
- ①併存症・既往歴
- ②内服薬
- ③アレルギー情報
- ④喫煙歴
- ⑤妊娠・分娩歴
併存症・既往歴
定期的に通院している疾患のことを「併存症」といいます。
「併存症」のコントロール状況を確認して、手術をおこなっても大丈夫なのかを判断します。
コントロールが悪いのであれば、手術に緊急性がなければ、しっかりと併存症のコントロールをつけてから、あらためて手術の予定を組むことになります。
たとえば、「糖尿病」がコントロール不良の場合、感染しやすくなったり、キズが治りにくくなることがあります。また、手術前後の食事や飲水が禁止の状態において血糖をコントロ-ルすることが難しくなります。
また、過去にかかったことのある疾患を「既往歴」といいます。
とくに入院が必要なくらいの大きな病気をしたことがある場合にはかならず伝えましょう。
たとえば、過去にお腹の手術がおこなわれた場合はお腹の中の癒着が想定されます。術式が変わったり、腸処置などの手術前の準備が必要になったりします。
また、腹腔鏡手術であれば、お腹のキズが今回の手術にも利用できるか、癒着が想定される部位を避けてお腹の中にアプローチする方法などを考えます。
内服薬
つかっている薬がある場合には、すべて伝えましょう。
とくに「血液をサラサラにする薬」や「血栓リスクのある薬」には注意が必要です。
「血液をサラサラにする薬」を飲んでいる場合は手術中の出血を助長してしまう場合があります。手術前から必要な期間休薬する必要があります。病状によって休薬中は他の血液をサラサラにする点滴薬を使う必要があることもあります。
手術前後は血栓という血液のかたまりができるリスクが上がります。「血栓リスクのある薬」をつかっている場合には、手術前から必要な期間休薬する必要があります。
ただし病状によっては休薬できないこともあるかと思います。かならず薬を処方している担当医と相談することが大切です。
アレルギー情報
薬や食べ物などのアレルギー情報の確認をします。
アレルギーのある薬は使わないようにします。また、似た成分や種類の薬も基本的には使わないようにします。
食べ物でアレルギーがある場合は注意が必要です。
たとえば、フルーツアレルギーの患者で種類によってはラテックスアレルギーを起こす場合があります。その場合は、医療者はラテックスが使用されていないラテックスフリーの手袋を用いて手術を行います。
また、病院で提供する食事はアレルギーのある食材をつかわないようにします。
喫煙歴
現在、喫煙している場合はかならず「禁煙」しましょう。
全身麻酔の場合に呼吸が止まるので人工呼吸器による呼吸のサポートが必要になります。
喫煙している場合、空気の通り道の分泌物が増え、痰づまりなど呼吸器リスクが増えます。
また、手術のキズが治るのに十分な血流が必要です。
たばこには血管を収縮する成分が含まれており血流が低下して、キズがなおりにくくなります。
基本的に病院内は禁煙です。入院中には喫煙することはできません。
万が一喫煙していることがわかったら、強制退院になることもあります。
以上より、手術が決まったら、かならず禁煙するようにしましょう。
さらに手術を機会に、健康のため「禁煙」を続けましょう。
妊娠・分娩歴
おもに婦人科の手術ですが、今までに妊娠や分娩をした回数を確認します。
とくに腹腔鏡によって子宮を摘出する手術をおこなう場合に、子宮をどこから回収するか考えます。
妊娠分娩歴が多く腟が広い場合には、摘出した子宮を腟から回収します。
妊娠分娩歴がほとんどなく腟が狭い場合には、摘出した子宮はお腹のキズの部分から回収します。その場合に、細長く切って小さなキズから回収します。子宮が大きい場合には、キズ自体を大きくすることもあります。
また、妊娠分娩歴が多く腟が広い場合には、腟式子宮摘出術を選択することもあります。これは、お腹にまったくキズがつかないので、美容面ですぐれています。
まとめ
- ①併存症・既往歴
- ②内服薬
- ③アレルギー情報
- ④喫煙歴
- ⑤妊娠・分娩歴
といった医療情報を手術前に確認します。
安全な手術を行うために「医療情報」を確認することが重要です。
繰り返しですが、手術前にはかならず自分の「医療情報」を伝えましょう。
ひとりでも多くの人が、安全に手術を受けられるようになることを願っています。
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