妊娠中ですが子宮筋腫があります!大丈夫ですか?

結論ですが

子宮筋腫によって妊娠経過に影響をあたえることがあります。

この記事は妊娠している女性に向けて書いています。
妊娠中のさまざまな悩み・疑問・不安などが解決できればとおもっています。
今回は「子宮筋腫合併妊娠」ついての記事です。

子宮筋腫は婦人科腫瘍の中でもっとも多いです。
生殖年齢の女性の「20-30%程度」にみられるとされています。
3から4人に一人は子宮筋腫をもっている計算になります。

さらに近年ではエコーの精度があがっており、もっと多いのではないかと考えられています。
そんな子宮筋腫ですが、妊娠したときの影響について説明していきたいと思います。

ちなみに「子宮筋腫」がある人が妊娠した場合、「子宮筋腫合併妊娠」と表現されます。
今回は「子宮筋腫合併妊娠」について説明していきます。

この記事のまとめ

  • 子宮筋腫とは、子宮に出来る筋肉のかたまりのことです。
  • 妊娠経過によって「子宮筋腫の大きさ」「子宮筋腫の痛み」「子宮筋腫の変性」などの影響があります。
  • 子宮筋腫によって「流産・早産」「常位胎盤早期剥離」「産道狭窄」などの妊娠経過へ影響を与えます。
  • 子宮筋腫の痛みに対して「痛み止め」「子宮収縮の抑制」「手術」などの治療が行われます。

そもそも子宮筋腫とはなんですか?

子宮筋腫とは、子宮に出来る筋肉のかたまりのことです。
子宮は、「平滑筋」という筋肉で出来ていますが、その細胞が異常増殖してできる「かたまり」(腫瘍)を「子宮筋腫」といわれます。
子宮筋腫は婦人科腫瘍の中で最も頻度は高く、生殖年齢の女性の20-30%程度にみられるとされています。

「妊娠経過」が「子宮筋腫」に与える影響

子宮筋腫の大きさ

妊娠が経過するにともなって、子宮は大きくなっています。さらにお腹の赤ちゃんのために子宮への血流は増加します。すると、子宮筋腫も大きくなるだろうと予想されます。
しかし、実際には、報告によりますが、約50%が大きさは「不変」であり、約30%が「大きく」なり、約20%が「小さく」なるとされています。

子宮筋腫の痛み

妊娠が経過するにともなって、子宮は大きくなっていきます。
すると、子宮の筋肉が伸ばされて、子宮筋腫への血流が妨げられてしまいます。
子宮筋腫への血流が途絶えると、壊死してしまい、子宮筋腫に痛みが伴うようになります。

子宮筋腫の変性

妊娠が経過すると、子宮筋腫への血流の変化によって、子宮筋腫の性状は変化(変性)します。
血流の障害によって「赤色変性」となったり、「石灰化」「硝子下」「水腫変化」など起こります。また、子宮筋腫の変性によって、炎症物質が分泌され、「発熱」「吐き気」「筋腫の痛み」などの症状が起こります。

子宮筋腫」が「妊娠経過」に与える影響

流産・早産

子宮筋腫によって「流産」「早産」リスクが上がります。
妊娠経過によって子宮筋腫が変性すると炎症物質が分泌されます。すると子宮の収縮につながり、流産や早産になりやすくなります。また、子宮筋腫によって子宮の伸びが悪くなることも流産や早産の原因となります。

常位胎盤早期剥離

常位胎盤早期剥離とは、赤ちゃんが分娩される前に胎盤が剥がれてしまうことをいいます。
胎盤では母体と赤ちゃんの血流を交換しています。子宮筋腫の部分に胎盤が出来ると、血流が比較的不安定であるため、胎盤が比較的はがれやすくなってしまいます。すると常位胎盤早期剥離につながります。

産道狭窄

子宮筋腫の存在する場所が子宮の入り口近くの場合、産道が狭くなってしまいます。産道が狭く、赤ちゃんが産道を通れない場合には、「帝王切開」による分娩が必要になります。

筋腫痛の治療

妊娠経過とともに子宮筋腫への血流が変化して子宮筋腫は変性します。
すると子宮筋腫の部位に痛みを伴います。とくに5cm以上の大きさになると、子宮筋腫の痛みは出やすいとされています。
「子宮筋腫の痛み」に対する治療を紹介します。

痛み止め

基本的には、妊娠中に安全に使える「アセトアミノフェン」という種類の痛み止めを使います。ただし、効果がいまいちの時には「麻薬」や「硬膜外カテーテル留置」「NSAIDs」を使うこともあります。
ただし、NSAIDsは「羊水減少」や「胎児の動脈管閉塞」などの危険性があるため、慎重に投与することが必要であり、原則「妊娠32週未満まで」の使用にとどめるべきです。

子宮収縮の抑制

子宮筋腫の変性などによって子宮の収縮につながり、流産・早産につながる場合があります。
「安静」や「子宮収縮抑制剤」などによって子宮収縮を抑制する治療も行われることがあります。子宮収縮の抑制によって、痛みが落ち着くこともあります。

手術

子宮筋腫の痛みがどうしても落ち着かない場合や、子宮筋腫が捻じれている場合、子宮筋腫が急速に大きくなっている場合などでは、子宮筋腫を摘出する「子宮筋腫核出術」が行われる場合があります。
ただし、妊娠中の手術となるので、お腹の中の赤ちゃんへの影響が少ない麻酔法を選択する必要があったり、手術後の痛みの管理など含め、手術前後の管理も特別な配慮が必要になります。また、子宮筋腫核出術後で子宮破裂リスクがある場合には、基本的には「帝王切開」での分娩となります。

まとめ

  • 子宮筋腫とは、子宮に出来る筋肉のかたまりのことです。
  • 妊娠経過によって「子宮筋腫の大きさ」「子宮筋腫の痛み」「子宮筋腫の変性」などの影響があります。
  • 子宮筋腫によって「流産・早産」「常位胎盤早期剥離」「産道狭窄」などの妊娠経過へ影響を与えます。
  • 子宮筋腫の痛みに対して「痛み止め」「子宮収縮の抑制」「手術」などの治療が行われます。

「子宮筋腫合併妊娠」では、その痛みをどのように対応するか苦慮する場合が多いです。

妊娠中であるため、使える痛み止めの薬が限られていること、手術をするにしてもお腹の中の赤ちゃんのことを考えて対応するなど特別な配慮が必要です。

そして、子宮筋腫による痛みは、「血流変化による痛み」「変性による痛み」「炎症物質による痛み」「子宮収縮による痛み」など様々な要因によって成り立っており、痛みをコントロールするが難しい場合が多いです。

少しでも痛みをやわらげて、妊娠中より快適に過ごせるようにサポート出来ればと思います。

この記事によって「子宮筋腫合併妊娠」の理解が深まり、一人でも多くの人の役に立つことを願っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です