ARTってなんですか?【生殖補助医療について】

結論ですが

ARTとは生殖補助医療のことです。

この記事は「妊娠を考えている女性」に向けて書いています。
妊娠を希望する女性のさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「ART」についてわかります。

  • 妊娠したいです!!
  • ネットでいろんな情報がある!?
  • 専門用語が多すぎてよくわからない??

そんな疑問にお答えします。

医療界には、いろんなアルファベットの略語にあふれています。

そして、今回のテーマの「不妊治療」においても、たくさんの略語があります。
医療業界であれば常識として伝わりますが、患者さんがはじめて耳にしたときに「?」となり、その後の説明が頭に入ってこないなんてことも…
あらかじめ、予習することは大事だけど、なかなか医療のことが理解するのが難しいかと思います。
この記事では出来るだけわかりやすいように説明していきたいと思います。

不妊治療のながれは、「タイミング法」→「AIH」(人工授精)→「ART」とステップアップしていきます。
今回は「ART」について説明していきます。

この記事のまとめ

  • ARTとは「生殖補助医療」のことであり、体外で「精子」や「卵子」「受精卵」などの操作をおこなう不妊治療のことです。
  • ARTは「採卵」「受精」「胚培養」「胚移植」などの手順でおこなわれます。
  • ARTは「卵管因子」「子宮内膜症」「男性因子」「精子頚管粘液不適合」「難治性不妊」などの場合におこなわれます。
  • ARTは「痛み・感染・出血」「卵巣過剰刺激症候群」「多胎妊娠」「異所性妊娠」などのリスクがあります。

ARTとは何ですか?

「ART」(アート)といっても、現代アートなどの美術的な意味合いではありません。
「ART」とは「Assisted Reproductive Technology」の略であり、「生殖補助医療」のことです。体外で、精子や卵子、受精卵などの操作をおこなう不妊治療のことです。
一般的には、「体外受精-胚移植」(IVF-ET)と関連技術のことを指します。

16人に1人は体外受精で産まれている

2018年に体外受精で産まれた子どもは5万6979人だったことが日本産婦人科学会が発表した。そして、2018年の総出生数は91万8400妊であり、約16人に1人は体外受精で産まれた計算になります。不妊治療が発展普及してきて、不妊治療によって産まれた子どもは、もはや特別ではなくなってきています。
しかも最近では不妊治療を保険適応にするという動きもあります。子どもが欲しいという気持ちをサポートする不妊治療の技術は、少子化の時代とても貴重なものだと思います。

ARTはどのように行われますか?

採卵

胚移植ができるような良好な卵子を育てて排卵誘発剤を使って、複数の卵胞発育を促します。
そして、複数の卵子を採取します。

受精

採取した卵子と精子を受精します。
体外受精(IVF)では、胚培養液中で卵子と精子が自然に受精するの待ちます。
受精障害がある場合には、「顕微授精」(ICSI)といって顕微鏡を使って精子を卵子に注入して受精させます。

胚培養

受精卵は、細胞を分割させて細胞の数を増やします。
そして、「桑実胚」「胚盤胞」など胚が培養されていきます。

胚移植

培養された「胚」を子宮の中に移植します。うまくいくと、「胚」は子宮の中に着床して、徐々に大きくなっていきます。

ARTはどのような時に行われますか?

卵管因子

精子や受精卵などの通り道である卵管が、癒着などで狭くなっていた場合は自然妊娠が困難になります。とくに左右両方の卵管が閉塞していた場合には、ARTの絶対的な適応になります。
原因として、子宮内膜症、性感染症(クラミジア・淋菌感染など)、婦人科手術の既往などがあります。

子宮内膜症

重度な子宮内膜症では、お腹の中の癒着を引き起こします。卵管にも病変が波及すると、卵子が卵管へのピックアップ障害や排卵障害などにつながります。

男性因子

精液の量が少なかったり、精子の数が少なかったり、精子の運動率が低い場合にARTが適応になります。また、「勃起障害」や「射精障害」「性交障害」「精神的な理由」などで性行為をうまく出来ない場合にもARTが適応になります。

精子頚管粘液不適合

子宮の入り口の粘液が少ない場合や、抗精子抗体がある場合などには、精子が子宮の入り口をスムーズに通過することが出来ないため、ARTの適応となります。

難治性不妊

一般不妊検査で異常をみとめない場合や、「タイミング法」「人工授精」などで妊娠に至らない場合にはARTの適応になります。なお、体外受精をおこなって初めて受精障害や分割不良などの原因が判明する場合もあります。

ARTはどのような危険性がありますか?

痛み・感染・出血

各種処置をおこなうときに痛むことがあります。
とくに「採卵」する場合には、卵巣のまわりの組織を損傷する可能性や、感染・痛みや出血をともなう場合があります。

卵巣過剰刺激症候群

排卵誘発剤を使うことで、卵巣の中におおくの卵胞が発育してしまい、卵巣が腫れてしまう「卵巣過剰刺激症候群」(OHSS)が起こります。「腹痛」「血液濃縮」「血栓症」や腹水がたまり「腹部膨満感」などがおこります。

多胎妊娠

2個以上の胚を子宮の中に移植すると、ふたご以上の多胎妊娠する可能性があります。
多胎妊娠はリスクがあがるため、妊娠はするものの不妊治療の失敗と言われています。基本的には、1回の治療に付き、1個の胚移植でおこないます。

異所性妊娠

胚移植した胚が、子宮の中の正常部分以外の部位に着床し妊娠してしまい「異所性妊娠」となってしまうことがあります。とくに卵管に妊娠する場合が多いです。
妊娠成分が破裂すると、大量出血から命を落とすこともあるため、異所性妊娠と診断されたら治療が必要です。

まとめ

  • ARTとは「生殖補助医療」のことであり、体外で「精子」や「卵子」「受精卵」などの操作をおこなう不妊治療のことです。
  • ARTは「採卵」「受精」「胚培養」「胚移植」などの手順でおこなわれます。
  • ARTは「卵管因子」「子宮内膜症」「男性因子」「精子頚管粘液不適合」「難治性不妊」などの場合におこなわれます。
  • ARTは「痛み・感染・出血」「卵巣過剰刺激症候群」「多胎妊娠」「異所性妊娠」などのリスクがあります。


不妊治療のながれは、「タイミング法」→「AIH」(人工授精)→「ART」とステップアップしていきます。それに並行して、不妊原因を検索したり、排卵誘発剤を使います。

不妊治療では、何の検査をおこなっていて、どんな治療がおこなわれているのか理解することが大切です。
とくにアルファベットの略語がたくさん出てきますが、まずは自分に関係のあるところから理解していくと良いでしょう。

さらに不妊治療では、女性だけでなく男性の協力も必要です。
今回説明した、ARTでは治療自体が体の負担になったり、金銭面の負担をおおくかかります。お互いの協力や支え合いがとても大切になってきます。

この記事によって「ART」の理解が深まり、一人でも多くの人が妊娠して子供をさずかり喜ぶことを願っています。

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