結論ですが
がんに伴い「むくみ」がひどい場合は原因をみつけ症状が和らぐように対応します。
この記事は「がんに伴うむくみで困っている」人に向けて書いています。
がんに伴う症状の悩みが解決できればと思っています
この記事を読むことで「がんに伴うむくみ」についてわかります。
「むくみ」はがん患者だけでなく、誰もが経験するものと思います。
- 夕方になるとあしがむくんでクツがはきにくい
- 靴下のあとがついてしまう
- 朝起きると顔がむくんでいる
など、一時的で軽度の「むくみ」は日常的に経験するかと思います。
がん患者において「むくみ」がひどくなって、全然改善しなかったり、生活に支障をきたす場合があります。
むくみとうまく付き合っていくことが「生活の質」(QOL)向上につながります。
今回「がんに伴うむくみ」について説明していきます。
この記事のまとめ
- 「浮腫」(むくみ)は、皮膚の下にある皮下組織に余分な水分がたまっている状態のことをいいます。
- むくみの原因は、「くすり」や「低栄養」、貧血、心不全、腎不全などの「病状」、「静脈の閉塞」「リンパ流の悪化」などがあります。
- むくみがあったときに「原因の除去」や「くすり」「合併症の管理」、「ポジションの工夫」「圧迫」「マッサージ」「運動」などの対応をします。
そもそも「むくみ」とは?
手・足や顔などが腫れぼったくなることを一般的に「むくみ」といわれます。
医学的に「むくみ」は「浮腫」といわれます。皮膚の下にある皮下組織に余分な水分がたまっている状態のことをいいます。皮下組織に余分な水分がたまるため、腫れぼったい感じになります。
なぜ「むくみ」はおこるのですか?
「むくみ」は皮下組織に余分な水分がたまると起こります。その原因として、血液の流れやリンパの流れが悪くなると「むくみ」がおこります。進行がんの患者で「むくみ」はよくみられる症状であり、さまざまな原因でおこります。
くすり
「NSAIDs」とよばれる「痛み止め」は「むくみ」の原因になります。「NSAIDs」は、がんにともなう痛みに対してよく使われます。また、全身倦怠感などに使われる「ステロイド」や血圧が高いときに使われる「血管拡張薬」などの薬によって「むくみ」が起こる場合があります。
低栄養
低栄養状態になると「低アルブミン血症」などによって「全身のむくみ」の原因になります。がんの進行によって、食事があまりとれないようになると、低栄養からむくんでしまうことが多いです。
病状
「貧血」になると血液がうすくなった状態のため全身に血液を十分に送ろうとするため「むくみ」につながります。また、「心不全」では全身から心臓に戻る血液の流れが悪くなり、また「腎不全」では余分な水分を尿から十分出せなくなってしまい「むくみ」の原因となります。
静脈の閉塞
静脈が圧迫を受けたり、流れが悪くなると、その部分が「むくみ」ます。たとえば、「がんによる静脈の圧迫」や深部静脈の中に血液のかたまりができる「深部静脈血栓」などによって「局所のむくみ」につながります。
リンパ流の悪化
リンパの流れが悪くなると「むくみ」ます。たとえば、体力の低下やマヒなどのよって体を動かすのが困難となると「むくみ」につながります。また、「がんのリンパ節転移」、リンパ節郭清をともなう「手術」などによって、リンパの流れが悪くなり「むくみ」の原因となります。
「むくみ」にはどんな検査をしますか?
血液検査
血液検査で「Hb」(ヘモグロビン)「アルブミン」「Cr」「電解質」などを評価します。
「Hb」(ヘモグロビン)で貧血を評価したり、「アルブミン」で栄養状態を把握したり、「Cr」「電解質」で腎機能などを評価します。
胸部レントゲン
胸のレントゲン写真で「心臓が拡大していないか」「肺に水がたまっていないか」「胸水がたまっていないか」などをみて「心不全」を評価します。
血管エコー
とくに「脚のむくみ」があるときにエコーで、脚の血管の「血液の流れ」や血液のかたまりである「血栓」がないか評価します。
CT・MRIなど
CTやMRIなどの画像検査によって、「リンパ」や「血管」の流れを妨げる病変がないか評価します。たとえば、「がんのリンパ節転移がないか」「静脈を圧迫する病変がないか」などみていきます。
「むくみ」にはどんな対応をしますか?
原因の除去
むくみの原因があれば、それを取り除きます。
たとえば、くすりが原因の場合は「くすりを変更」したり、低栄養によるむくみがあれば「栄養状態の改善」をおこないます。
また、貧血であれば状態にもよりますが「輸血」をおこなったり、改善可能なものであれば「心不全」や「腎不全」などの「病状の治療」をおこないます。
くすり
むくみを和らげるために薬がつかわれます。
余分な水分を尿から出すために「利尿薬」、水のバランスを整える「漢方」などが使われます。また、炎症をおさえてむくみを改善するため「ステロイド」や「鎮痛薬」なども使われます。
合併症の管理
むくみにともなって「感染」をおこしたり、皮膚に「潰瘍」などの合併症が起こることがあります。「感染」に対して抗生剤などによる治療したり、「潰瘍」に対して皮膚のケアなどおこないます。
その他
重力によって下の方に位置している部分がむくみやすいです。局所のむくみの場合は、むくみのある部分を上にするなど「ポジション」を工夫したり、むくんでいる部分を「圧迫」「マッサージ」などおこないます。また、「運動」によって血流が改善してむくみの改善効果を期待できます。
まとめ
「浮腫」(むくみ)は、皮膚の下にある皮下組織に余分な水分がたまっている状態のことをいいます。
むくみの原因は、「くすり」や「低栄養」、貧血、心不全、腎不全などの「病状」、「静脈の閉塞」「リンパ流の悪化」などがあります。
むくみがあったときに「原因の除去」や「くすり」「合併症の管理」、「ポジションの工夫」「圧迫」「マッサージ」「運動」などの対応をします。
「むくみ」がひどくなると、「むくみ」に痛みをともなって体を動かしにくくなってしまったり、むくんだ部分の皮膚に潰瘍ができたり、感染症を起こす場合があります。
そうなると、からだを動かさなくなり、さらに「むくみ」が悪化してしまう悪循環に陥ってしまいます。
むくみとうまく付き合っていきことが「生活の質」(QOL)向上につながります。
我慢せずに、「むくみ」がひどい場合には担当医に相談することが重要です。
この記事によって「がんに伴うむくみ」に対する理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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