妊娠しましたが卵巣が腫れていると言われましたが大丈夫ですか?

結論ですが

妊娠中に卵巣が腫れている場合には、卵巣の腫れの種類・大きさ、症状の程度などによって治療方針が決まります。

この記事は「妊娠中の女性」に向けて書いています。
妊娠中のさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「妊娠中の卵巣腫瘍」についてわかります。

妊娠して産婦人科を受診すると、赤ちゃんを確認するとともに、
「卵巣が腫れている」と言われることがあるかもしれません。

  • 卵巣が腫れているって大丈夫かしら…
  • とくに症状がないのに…
  • 今までも卵巣の腫れがあったのかしら…
  • お腹の中の赤ちゃんへの影響は…

などと思うかもしれません。
卵巣が腫れる病気はさまざまな種類があります。

卵巣に腫瘍が出来て腫れていることを「卵巣腫瘍」と言います。
とくに妊娠をすると一時的に腫れてくる「卵巣腫瘍」もあります。

妊娠をして診察を受けて、実は「卵巣腫瘍」があると判明するということもあります。

今回「妊娠中の卵巣腫瘍」について説明していきます。

この記事のまとめ

  • 卵巣腫瘍は、卵巣に腫瘍が出来て腫れていることを言います。
  • 妊娠中の卵巣腫瘍には「成熟のう胞性奇形腫」「ルテインのう胞」「漿液性のう腫」などがあります。
  • 卵巣腫瘍は基本的に無症状ですが、「急激な腹痛」「腹部圧迫感」「分娩障害」などの症状が起こる場合もあります。
  • 妊娠中に卵巣が腫れている場合には、卵巣の腫れの種類・大きさ、症状の程度などによって治療方針が決まります。

卵巣腫瘍って何ですか?

卵巣腫瘍とは

卵巣に腫瘍が出来て腫れていることを「卵巣腫瘍」と言います。
「卵巣」は最も腫瘍が出来やすい臓器であると言われています。
「卵」は受精すると赤ちゃんが形成されるくらいなので、「卵巣」にはあらゆる体の構造を形成する能力があるので、さまざまな種類の腫瘍ができます。

卵巣腫瘍は大きく2つに分けられる

卵巣腫瘍は大きく「のう胞性腫瘍」(卵巣のう腫)と「充実性腫瘍」の2つに分けられます。
「のう胞性腫瘍」は、液体や内容物が袋みたいな構造の中に貯まって腫れている状態を言います。「充実性腫瘍」は、かたい腫瘍のかたまりが出来て腫れている状態を言います。

妊娠中の卵巣腫瘍にはどんな種類がありますか?

妊娠中の卵巣腫瘍の多くは良性の卵巣腫瘍です。「成熟のう胞性奇形腫」「ルテインのう胞」「漿液性のう腫」などの頻度が多いです。
なお、「ルテインのう胞」や「子宮内膜症性のう胞」では妊娠経過とともに小さくなり消えていくこともあります。

成熟のう胞性奇形腫

「成熟のう胞性奇形腫」は、「脂肪」「髪の毛」「歯」などの組織の成分がたまった卵巣腫瘍です。良性の「卵巣のう腫」の中で最も頻度が多く、卵巣腫瘍全体の「約20-30%」程度を占め、とくに若年女性に多くみとめられます。

ルテインのう胞

「ルテインのう胞」は、「hCG」というホルモンによって卵巣腫瘍ができます。
妊娠・絨毛性疾患・卵巣過剰刺激症候群などで「hCG」というホルモンが上昇すると、卵巣の中に液体がたまって「卵巣のう胞」を形成します。
妊娠16週頃までに徐々に小さくなって、消えてなくなることが多いので、基本的に治療をせず経過観察をしていきます。

漿液性のう腫

漿液性のう腫は、卵巣の中に「漿液」(さらっとした液体)が貯まって、袋状に腫れて、形成されます。10-30代の若い女性によく見られ、頻度が高い腫瘍のひとつです。

子宮内膜症性のう胞

「子宮内膜症性のう胞」は、本来子宮の中にあるはずの「子宮内膜」が卵巣に発生することで起こり、「子宮内膜症」による病変のひとつです。
「子宮内膜症性のう胞」では、卵巣の中には、古い出血がたまっていて「チョコレート」のようになっているところから、「チョコレートのう胞」という名前が付けられています。

卵巣腫瘍はどんな症状がおこりますか?

基本的に無症状

卵巣腫瘍では、卵巣が腫れているだけであると、基本的に症状はないです。
なので、卵巣の腫れに気づかないで過ごす人が多いです。今回のように、妊娠をきっかけに産婦人科を受診して初めてわかる場合も多いのです。

急激な腹痛

卵巣腫瘍は基本的に無症状です。しかし、卵巣腫瘍が捻じれたり、破裂すると、急激な腹痛を来します。捻じれを解除したり、卵巣のう胞の内容液がお腹の中に広がったりしている可能性があるため、基本的には緊急手術による治療が必要になります。

腹部圧迫感

卵巣腫瘍では、卵巣の腫れが大きくなりすぎると、下腹部全体的に圧迫される感じが生じます。とくに膀胱が圧迫されると、「頻尿」などの症状が起こります。場所によっては腸が圧迫されて「便秘気味」になることもあります。

分娩障害

卵巣腫瘍では、卵巣の腫れが大きくなりすぎると、赤ちゃんが産道を通過するときに妨げられてしまう可能性があります。「分娩停止」から緊急手術が必要となったり、赤ちゃんによる圧迫によって卵巣腫瘍が「破裂」してしまうこともあります。

卵巣腫瘍の検査

内診

両手を使って、「お腹」からの腹診と「腟口」からの内診指の両方から挟み込むようにして「子宮」「卵巣」を診察します。子宮や卵巣の腫れがないか、動きは大丈夫かなど確認します。

画像検査

まずは簡便にできるエコー検査で「卵巣の腫れ」がないか確認します。また「腹水」というお腹の中に水がたまっていないかも確認します。
病変を認めた場合、「CT」「MRI」などの画像検査を検査し精密な評価をしていきます。ただし、妊娠中の「CT」ではお腹の中の赤ちゃんへの「放射線被曝」の影響を考慮して、行うかどうか判断します。また、造影剤の使用も、お腹の中の赤ちゃんへの影響を考慮して、行うかどうか判断します。

血液検査

血液検査で、がんの場合に上昇してくる「腫瘍マーカー」というものを検査します。CA125・CEA・CA19-9・AFPなどの項目があります。
ただし、妊娠中ではCA125・AFPなどは自然に上昇するため、判断は難しいです。また、ごく初期の卵巣がんでは「腫瘍マーカー」が上昇しないこともあったり、「腫瘍マーカー」が高くても卵巣がんではないことがあります。

卵巣腫瘍はどんな治療をおこないますか?

妊娠中に卵巣が腫れている場合には、卵巣の腫れの種類・大きさ、症状の程度などによって治療方針が決まります。

経過観察

明らかな良性の卵巣腫瘍であり、サイズは大きくなく、無症状であれば経過観察をすることが多いです。とくに妊娠中の「ルテインのう胞」や「子宮内膜症性のう胞」では妊娠経過とともに小さくなり消えていくこともあります。
ただし、経過をみて大きくなってきたり、症状が現れてくるようであれば、手術による治療を考慮します。

対症療法

卵巣腫瘍にともなって痛みなどの症状があれば、症状を落ち着かせるための「対症療法」をおこないます。たとえば、下腹部痛など「痛み」があれば、妊娠中にも使用可能な「痛み止め」を使います。
ただし、激しい痛みの場合は、卵巣腫瘍が捻じれたり、破裂している可能性があるため、手術による治療が必要になることもあります。

手術

とくに悪性腫瘍(卵巣がん)が疑われる場合には、原則として手術による治療が行われます。
治療方針は病変の広がりなどにもよりますが、妊娠を継続できる術式にするか、治療に専念するために中絶をおこなってしっかりと卵巣がんの治療を行うか相談することになります。
また、良性腫瘍であっても、激しい痛みがあって卵巣腫瘍が捻じれたり破裂している可能性がある場合、卵巣腫瘍のサイズが大きく「分娩障害」となりそうな場合などでは、基本的には手術が行われます。

まとめ

  • 卵巣腫瘍は、卵巣に腫瘍が出来て腫れていることを言います。
  • 妊娠中の卵巣腫瘍には「成熟のう胞性奇形腫」「ルテインのう胞」「漿液性のう腫」などがあります。
  • 卵巣腫瘍は基本的に無症状ですが、「急激な腹痛」「腹部圧迫感」「分娩障害」などの症状が起こる場合もあります。
  • 妊娠中に卵巣が腫れている場合には、卵巣の腫れの種類・大きさ、症状の程度などによって治療方針が決まります。

「卵巣」は神秘的な臓器です。
卵巣から「卵」が排卵されて受精すると胎児が出来ます。
卵巣にはあらゆる体の構造を形成する能力があります。

それゆえに、卵巣腫瘍が出来やすいとも言えます。
そして、さまざまな種類の卵巣腫瘍が出来ます。

卵巣腫瘍は基本的には無症状です。
今回のように妊娠をきっかけに見つかる場合が多いです。

妊娠中に卵巣腫瘍が見つかった場合、お腹の中の赤ちゃんへの影響など心配になることでしょう。
基本的には治療なしで経過をみていくことが多いです。
しかし、治療が必要になった場合は、お腹の中の赤ちゃんへの影響を考慮します。
たとえば、手術での「麻酔」の影響、手術などで使われる「くすり」の影響、「検査」による影響など様々な注意すべきことがあります。
メリット・デメリットを考慮した上で実際に治療が行われることになります。

妊娠してからの治療では大変な場合もあるので、出来るなら妊娠する前に一度産婦人科を受診して卵巣の腫れが大丈夫か確認しておくことをオススメします。


この記事によって「妊娠中の卵巣腫瘍」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

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