結論ですが
妊娠や出産の経過には様々あり、すべてが安全なお産になるということはありません。
中には「墜落産」で自宅で産まれてしまうこともあります。
この記事は「妊娠中・産後の女性」に向けて書いています。
妊娠や出産に関してさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「墜落産」についてわかります。
おそらく、「墜落産」(ついらくさん)という言葉は初めて聞くかと思います。
みなさんは、お産は安全であり、母子ともに問題なく出産することが当たり前だと考えている人が多いかと思います。
妊娠や出産の経過には様々あります。
とくに問題なく安産する場合や、母子ともに危険にさらされる場合、最悪母子ともに死亡してしまう場合などあります。
そして今回説明するのは、分娩経過がとてもはやく、分娩施設に間に合わずに出産してしまう「墜落産」というものがあります。
今回のテーマを通して、お産は必ずしも安全なものだけではなく、お産には危険がつきものだということをみなさんに知っておいて欲しいと思います。
今回は「墜落産」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 「墜落産」とは、分娩が急速に進んでしまい分娩施設に到達する前に分娩することいいます。
- 「墜落産」を防ぐため、リスクがある場合には「分娩兆候があれば早めの受診」「計画分娩の相談」をするようにしましょう。
- 「墜落産」となってしまった場合は「母体への対応」「赤ちゃんへの対応」「出産場所の住所の確認」などが必要です。
墜落産とはなんですか?
「墜落産」(ついらくさん)とは、分娩が急速に進んでしまい、分娩施設に到達する前に分娩することいいます。「墜落分娩」(ついらくぶんべん)ともいわれます。
分娩してしまう場所は、「自宅」や移動中の「車」の中など多いです。たまにニュースなどでありますが、「公園のトイレ」や移動中の「バス」や「電車」「飛行機」の中で産んでしまうケースなどもあります。
何かしらの原因で分娩施設以外の場所で医師や助産師の立ち合いがなく産んでしまった場合も、分娩進行のはやさはわからないですが「墜落産」と呼ばれる場合があります。
墜落産の危険性
みなさんは、お産は安全であり、母子ともに問題なく分娩することが当たり前だと考えている人が多いかと思います。
じつはお産には危険がつきものです。
日本における周産期の医療水準は優秀で、国際的にみても周産期死亡率は低くなっています。
いっぽう、発展途上国で、医療機関の質が低かったり、そもそも医療機関にアクセスできないような場所では、周産期死亡率はとても高くなっており、「多産多死」の構造になっています。
つまり、分娩施設ではない場所での分娩は、高い医療水準の医療的なサポートが受けられないことになります。最悪、母子ともに死の危険性にさらされてしまう可能性もあるのです。
墜落産になりやすい人は?
分娩の進行が早いと予測される
前回の分娩進行がはやかった人は、今回も分娩の施行もはやい可能性があります。また、円錐切除した手術を受けたことがあったり、頸管無力症などで「子宮の入り口が短い場合」は分娩の進行がはやくなる可能性があります。
医療機関の受診ハードルが高い
自宅から分娩施設までの距離が遠い場合、受診までの移動の最中に分娩してしまう可能性があります。また、望まない妊娠などの事情で一度も病院に受診しておらず飛び込み分娩してくるケースもあれば、間に合わずに墜落産となるケースもあります。
分娩の兆候に気づけない
知的障害や精神障害をもっている妊婦さんの場合、陣痛や破水などの分娩兆候に気づくことができずに、そのまま自宅で産んでしまうこともあります。
また、痛みに強すぎて陣痛に気づかないケースもあります。
墜落産を防ぐためには?
分娩兆候があれば早めの受診を
墜落産のリスクがある場合は、陣痛や破水などの分娩兆候があれば、早めに受診するようにしましょう。本格的な陣痛が来てしまった場合、どうすることもできずにそのまま分娩となってしまうことがあるので、早めに自分の体調の変化に気づくように心がけましょう。
計画分娩の相談を
墜落産のリスクがある場合は、計画分娩の相談をしましょう。
とくに前回の分娩の進行がはやかった場合には、今回の分娩もはやくなる可能性が高いです。
前回の産まれた妊娠週数を参考にして、計画分娩の予定を組むといいでしょう。
また、自宅が遠い場合には、ある程度の妊娠週数になったら分娩施設の近くのホテルに住む人もいます。
墜落産となってしまった場合は?
母体への対応
赤ちゃんを分娩すると、次に胎盤が出てきます。胎盤がまだ出ていないときには、子宮をマッサージして子宮の収縮を促して胎盤を出していきます。
そして、分娩後の出血にはとくに注意が必要です。分娩後は子宮はもとの大きさに戻るため収縮しますが、それがうまく行かないと「弛緩出血」(しかんしゅっけつ)となって大量出血につながることもあります。また急速に分娩が進行した場合、産道が裂けてしまう「産道裂傷」となる場合が多く、そこからの出血にも注意します。
赤ちゃんへの対応
赤ちゃんが分娩されてお腹の外に出てくると、自分で呼吸をして酸素を取り入れなければなりません。濡れた羊水を拭ったり、保温したり、呼吸していなければ刺激をして呼吸を促す必要があります。また、分娩後には母親とつながっていた「へその緒」を切って一人立ちさせます。出血してしまうため、へその緒を切るときにはクランプするのを忘れずに行います。
その他
赤ちゃんが産まれたら「出生届」を出さなければなりませんが、そこには産まれた住所を書かなければなりません。
分娩施設以外の場所で分娩になった場合、赤ちゃんが「どこで」産まれたか住所を確認する必要があるのです。自宅であれば簡単ですが、移動中だったりすると、産まれた住所をどうするかは難しい問題になります。
まとめ
「墜落産」とは、分娩が急速に進んでしまい分娩施設に到達する前に分娩することいいます。
「墜落産」を防ぐため、リスクがある場合には「分娩兆候があれば早めの受診」「計画分娩の相談」をするようにしましょう。
「墜落産」となってしまった場合は「母体への対応」「赤ちゃんへの対応」「出産場所の住所の確認」などが必要です。
自宅で突然、陣痛が来てしまって急速に分娩がすすんでしまいお産してしまうケースは稀ですがあります。
「墜落産」となっても、もちろん特に問題なく分娩する場合はあるのですが、十分な医療的なサポートを受けられない場合には母子ともに様々な危険にさらされていることになります。
日本における充実した周産期医療のサポートを受けるためにも、普段からしっかりと妊婦健診を受けるようにして、医師の指示を守るようにしましょう。
また、「墜落産」になりやすいと判断される場合には、担当医と相談するようにしましょう。
この記事によって「墜落産」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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