結論ですが
風疹抗体価が高いと、今現在風疹に感染している可能性があります。
風疹抗体価が低いと、風疹に感染する可能性が高いです。
この記事は「妊娠中の女性」向けに書いています。
この記事を読むことで「風疹の抗体価検査」についてわかります。
妊婦健診では、血液検査で風疹の抗体価の検査をおこないます。
その検査結果でひっかかってしまった場合について説明します。
「再度の検査が必要です」とか
「産後に風疹ワクチン受けてね」とか
いわれるかと思いますが、なぜそうするのかよくわからないかと思います。
今回は、妊娠中の検査の「風疹抗体価」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 風疹抗体価が高い場合は、再検査をおこない妊娠中の感染か判断します。
- 妊娠中の風疹感染によって「先天風疹症候群」という赤ちゃんの一生にも関わる重大影響がおこりえます。
- 風疹抗体価が低い場合は、産後の風疹ワクチン接種をすすめます。
- 風疹はワクチン接種によって予防できる感染症です。風疹感染を予防することで、大切な赤ちゃんを守ることが大切です。
風疹の抗体価が高い場合
妊娠初期に血液検査で風疹抗体価(HI)測定をおこないます。
そこで風疹の抗体価が高い(HI抗体価が256倍以上)場合は、
- 今現時点で風疹にかかっている可能性
- 以前に風疹にかかったことがある可能性
があります。
それらを判断するために、時間をあけてもう一度風疹の抗体価を検査します。
抗体価が上昇傾向であり、「IgM」という抗体が高いようであれば、今現時点での風疹感染が疑われます。
「発熱」「発疹」「リンパ節腫大」「関節痛」など風疹感染の症状があった場合や風疹患者との明らかな接触があった場合には、とくに風疹感染がつよく疑われます。
再検査で抗体価が横ばいで「IgM」が高くないのであれば、以前に風疹にかかったことがあり、そのときの抗体が残っている「既感染パターン」にあたります。その場合は、妊娠中の風疹感染ではないため心配はいりません。
妊娠中の風疹感染の影響
妊娠中に風疹感染するとお腹の赤ちゃんに重大な影響をあたえます。
風疹ウイルスは胎盤を通じて移行して赤ちゃんにも感染してしまい「先天風疹症候群」という先天異常が生じる可能性があります。
白内障
赤ちゃんは産まれたあと、「見ること」を通して視力を獲得していきます。白内障があると、うまく「見ること」ができず視力を獲得していくことが出来なくなります。すると一生視力が低いままの状態となってしまう可能性があります。
赤ちゃんの視力を守るために、白内障であると早めに気づいて診断すること、白内障の治療をおこなうことがとても重要です。
難聴
視力とおなじように、赤ちゃんは産まれたあと「聞くこと」を通して聴力を獲得していきます。難聴があると、うまく「聞くこと」ができず聴力を獲得していくことが出来なくなります。また、出生後は聴力は問題ない場合も、成長とともに難聴が生じる場合があります。
定期的に聴力を評価して、難聴であることに早めに気づいて聴力リハビリテーションなどにつなげることが大切です。
心臓・血管の形態異常
「動脈管開存症」「肺動脈狭窄症」「心房中隔欠損症」などの心臓や血管の形態異常が認められます。
とくに、心不全兆候・心臓の雑音・チアノーゼなどの症状をみとめる場合には、早めの心臓や血管の評価が必要になります。症状の具合によって、定期的に経過をみていくか、手術ふくめ治療をどうするか考えていきます。
つまり、先天風疹症候群になると、赤ちゃんの「視力」「聴力」がうばわれてしまう可能性があるのと、「心臓」「血管」への影響がでてきます。
妊娠中の風疹感染によって、赤ちゃんの一生にも関わる重大な影響がおこります。
風疹の抗体価が低い場合
抗体価が低い(HI抗体価が16倍以下)場合は、風疹に対する免疫が低い状態であり妊娠中に風疹感染がおこる危険性があります。
- 風疹にかかりやすい小さなこどもとの接触を避ける
- 風疹が流行している場所を避ける
など心がけて、妊娠期間中は出来るだけ風疹患者と接触しないようにしましょう。とはいっても、現実問題だれが風疹にかかっているかわからないので、これはかなり難しいかとおもいます。
しかも、妊娠中は生ワクチンである風疹ワクチンを打つことはできないので、風疹にかからないように願うことくらいしか出来ません。
風疹の抗体価が低い場合は、かならずお産が終わった後は風疹ワクチンを打つようにしましょう。次回の妊娠への備えになりますし、社会全体として抗体をあげることにつながります。
また、母親自身だけでなくパートナーふくめ同じ空間で生活をともにしている人がいれば風疹予防に関する意識が重要となります。
風疹ワクチンを接種したことのない人は、是非とも受けるようにしましょう。
風疹はワクチン接種によって予防できる感染症です。風疹感染を予防することで、大切な赤ちゃんを守ることが大切です。
まとめ
風疹抗体価が高い場合は、再検査をおこない妊娠中の風疹感染か、以前の風疹感染「既感染パターン」かを判断します。
妊娠中の風疹感染によって「先天風疹症候群」という赤ちゃんの一生に関わる重大な影響がおこりえます。
風疹抗体価が低い場合は、産後の風疹ワクチン接種をすすめます。
風疹はワクチン接種によって予防できる感染症です。風疹感染を予防することで、大切な赤ちゃんを守ることが大切です。
風疹の予防接種をより多くの人が受けることで、一人でも多くの人が抗体をもつことになり、社会全体として風疹という感染症に対して強くなります。
すると、これから産まれてくる子供たちを守ることにもつながります。
「先天風疹症候群」で苦しむひとがなくなるような社会になることを願っています。
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