がんと言われましたが食欲がありません!【食欲低下】

結論ですが

がんに伴い「食欲がない」場合は原因をみつけ症状が和らぐように対応します。

この記事は「がんに伴う痛みで困っている」人に向けて書いています。
がんに伴う症状の悩みが解決できればと思っています
この記事を読むことで「がんに伴う食欲低下」についてわかります。

がんの進行にともなって、食欲が低下することがあります。
食欲というものは人間が栄養をとるために大事な働きをしております。食欲が低下すると、栄養が十分にとることができず、徐々に体力などが低下していきます。
さらに食事にはただ単純に栄養をとるだけでなく、社会的習慣でもあります。食欲が低下しても食事のときには家族が集まって会話などを楽しむことも大切だと思います。

今回「がんに伴う食欲低下」について説明していきます。

この記事のまとめ

  • 「食欲」は人間が食事から栄養をとるために大事な働きをしています。
  • 食欲低下の原因として「吐き気・おう吐」「全身倦怠感」「不安・抑うつ」、「電解質異常」「手術の影響」「腎機能障害」などがあります。
  • 「食事を工夫する」「薬を使う」ことで食欲低下を改善することができます。どうしても食事がとれない場合は「栄養製剤」や「点滴」「中心静脈栄養」などで最低限の栄養を補います。

そもそも食欲とは?

基本的に人間が生きていくためには、食事をおこない栄養をとることが必要です。お腹がすくと食事をとらなければと「食欲」が出てきます。
そして、食事をおこなうときに、食物を噛んで、飲みこんで、消化器官で食物が消化されて体内に栄養が取り込まれます。
食欲があることで、必要な栄養をとることができ、栄養失調や餓死などを防いでいます。
つまり「食欲」は人間が食事から栄養をとるために大事な働きをしています。

食欲低下する原因は何ですか?

吐き気・おう吐

「吐き気」や「おう吐」のために食欲が低下してしまいます。
がんが進行して、がんのかたまりが消化管を圧迫されるようになると「腸閉塞(イレウス)」とよばれる状態になります。すると食物が消化管をうまく通ることができなくなり、「吐き気」「おう吐」につながります。
また、がんにともなう痛みをコントロールするときに「オピオイド」という医療用麻薬が使われることがあります。このオピオイドの副作用で「吐き気」や「おう吐」が出ることがあります。

全身倦怠感

「全身倦怠感」がひどくなると食欲も出てこなくなります。
がんが進行すると、「サイトカイン」とよばれる物質が出てきたり、「悪液質」とよばれる状態になったりして、体に対してダメージが加わっている状態となります。すると「全身倦怠感」が出てきて、「食欲低下」につながります。

不安・抑うつ

「不安」や「抑うつ」などで気分が落ち込んでしまうと食欲も出なくなります。
がんという病気にかかってしまい、病状の進行や、治療などによる環境の変化。はたまた、がんの進行にともなう死の自覚などによって「不安」や「抑うつ」につながります。

病状(電解質異常・手術の影響・腎機能障害など)

がんにともなう病状によって食欲が低下することがあります。
たとえば、高カルシウム血症・低ナトリウム血症などの「電解質異常」で食欲が低下します。また、胃を小さくする手術をおこなっている場合は「手術の影響」、腎機能障害がある場合は「腎毒症」によって食欲低下につながります。

食欲低下にはどう対応すればいいですか?

食事を工夫する

食事を工夫することで食欲を改善させることができます。
盛り付けが多かったり、においが強かったり「食欲をなくすような食べ物」は避けるようにして、「自分自身で食べやすいような食べ物を選ぶ」ようにしましょう。
また、嗅覚や味覚の変化で食物の味の感覚がかわり食事が進まないことがあるので「嗅覚や味覚の変化に対応した食事」を調整してもらうようにしましょう。
さらに、少し食べただけで満腹感が出てしまうことがある場合は、「1回あたりの食事量は少量で食事回数を増やす工夫」をしてみましょう。

薬を使う

食欲を改善する効果がある薬があります。「ステロイド」「プロゲステロン」という薬は食欲を改善する効果があります。
ただし、「ステロイド」の効果は数週間しかないこと、感染を助長する可能性などあり使う場合には注意深く観察する必要があります。
「プロゲステロン」は長く使う分にはステロイドよりは適切ですが、副作用の問題もあるため、少量から開始して効果をみて徐々に増量して調整して使います。
また、食事をしてすぐに満腹感が出る場合は消化管の動きを良くする「蠕動亢進薬」を使うことで食欲が改善します。

栄養を補う

どうしても食欲が出なくて栄養をとれない場合は、最低限の栄養を補う必要があります。
飲める場合では、栄養がしっかりと入っている「栄養製剤」を飲んでもらったりします。
どうしても飲めない場合には、通常の点滴や、長期に栄養が必要な場合は太い血管から「中心静脈栄養」を投与します。また、がんの状態によっては点滴によって病状や症状を悪化させてしまうことがあるため、必要最最低限の点滴の量に留めるようにします。

まとめ

「食欲」は人間が食事から栄養をとるために大事な働きをしています。

食欲低下の原因として「吐き気・おう吐」「全身倦怠感」「不安・抑うつ」、「電解質異常」「手術の影響」「腎機能障害」などがあります。

「食事を工夫する」「薬を使う」ことで食欲低下を改善することができます。どうしても食事がとれない場合は「栄養製剤」や「点滴」「中心静脈栄養」などで最低限の栄養を補います。

食事をとるこということは、ただ単純に栄養をとるだけでなく、みんなで集まって食事をしたり、盛り付けを楽しんだり、お祝い事をしたりと、文化的な活動と根付いています。
食欲がなくても、食事の時間は可能であれば家族と集まって会話などを楽しむように過ごしてはいかがでしょうか。

また、食欲が低下すると、生活の質はかなり落ちてしまいますが、「食事をとらなければ死んでしまう」という誤解があります。
終末期の場合は、かならずしも栄養バランスのとれた食事をしっかり摂る必要はないです。

食事にこだわらず、患者自身が好むものを少量でもいいので摂れる範囲で無理をせずに食事をしましょう。

食欲が低下した場合は、どのような病状なのか、食事に対する希望、その人らしさというものが重要です。自分にあった対応を担当医と相談すると良いでしょう。

この記事によって「がんに伴う食欲低下」に対する理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。