医療機関を受診して、子宮腺筋症と言われた方に向けての記事です。
子宮腺筋症と言われましたが大丈夫ですか?
子宮腺筋症って何ですか?
今後、どうすればいいですか?
このような疑問にお答えします。
子宮筋腫は聞いたことがあるけど、「子宮腺筋症」という言葉を初めて聞く人は多い印象です。
医師から説明を受けても、その場で理解するのも難しいかと思います。
子宮腺筋症は、良性疾患であり、気になる症状があれば治療を行うことが多いです。
無症状であれば基本的には経過観察することが多いですが、急に大きくなる場合では悪性のものが隠れている可能性があり注意が必要です。

では、子宮腺筋症と言われたらどうすればいいですか?
ということで、今回は「子宮腺筋症」について説明していきます。
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子宮腺筋症とは何ですか?

子宮腺筋症は、子宮が腫れる病気
子宮腺筋症は、子宮が腫れてしまう病気です。
子宮内膜に似た成分が、子宮の筋肉の中で増殖して子宮が腫れます。
30代後半から40歳代にかけての女性に多くみとめられます。
また、お産の経験がある方に多くみられます。
子宮腺筋症はどのような症状がありますか?
月経痛

子宮腺筋症の症状として「月経痛」があります。
子宮の壁が厚くなっており、子宮内膜の成分が炎症するため、子宮が収縮するときに痛みが増強されます。
なお、月経痛がひどく日常生活に支障をきたすレベルだと「月経困難症」と診断されます。
過多月経

子宮腺筋症の症状として「過多月経」があります。
子宮腺筋症では、子宮が腫れており、子宮内膜の面積が増えるため、月経量が多くなる「過多月経」をきたします。
過多月経がひどい場合には「鉄欠乏性貧血」になります。
腹部圧迫感

子宮腺筋症の症状として「腹部圧迫感」があります。
子宮腺筋症が大きくなると、お腹の中から圧迫された感じがする「腹部圧迫感」やお腹の中に何かかたまりがある感じがする「腹部腫瘤感」を来します。
妊娠への影響

子宮腺筋症によって「妊娠」に影響する場合があります。
子宮腺筋症は子宮内膜症と合併していることが多く、卵管の通り道が妨げられて「不妊」の原因となる場合があります。
また、妊娠しても子宮がうまく伸展せずに、「流産」や「早産」につながってしまうこともあります。
その他
子宮腺筋症によって「頻尿」「発熱」「腹痛」「腰痛」などの症状が起こる場合もあります。
子宮腺筋症が大きくなると、膀胱が圧迫されて刺激されて、おしっこがしたい感じとなり、尿の回数が多くなる「頻尿」を来します。
また、子宮腺筋症の部位に感染すると「発熱」「下腹部痛」などの症状が出たり、「腰痛」などの症状を来します。
子宮腺筋症はどのような検査がありますか?
内診

子宮腺筋症は「内診」による診察が行われます。
両手を使って、「お腹」からの腹診と「腟口」からの内診指の両方から挟み込むようにして「子宮」や「卵巣」などを診察します。
「子宮」が大きく腫れていないか、「子宮」や「卵巣・卵管」の可動性を確認して癒着を評価したりします。
エコー

子宮腺筋症は「エコー検査」が行われます。
エコー検査で「子宮の大きさ」を評価します。
子宮が腫れていれば、子宮の大きさ・腫れている部位など確認します。
子宮腺筋症をさらに詳しく評価するために「MRI」などさらなる画像検査をおこないます。
「子宮腺筋症」に合併しやすい「子宮筋腫」がないか、悪性腫瘍の可能性がないかなど併せて評価します。
血液検査

子宮腺筋症は「血液検査」が行われる場合もあります。
子宮腺筋症に伴う「過多月経」などによって鉄欠乏性貧血になっているケースもあります。
血液検査で、「Hb」(ヘモグロビン)や「血清鉄」を測定して「貧血」の状態を判断します。
内膜症の状態を評価する「CA125」という腫瘍マーカーも合わせて行う場合もあります。
子宮腺筋症は、どのような治療がありますか?
子宮腺筋症の治療は、病変の大きさや位置、症状(痛み・貧血・圧迫症状など)の程度、今後の子供の希望、悪性疾患の可能性など総合的に判断して行われます。
経過観察

子宮腺筋症では「経過観察」の場合があります。
症状が落ち着いており、明らかに良性の子宮腺筋症と判断した場合は、とくに治療を行なわずに経過観察することが多いです。
定期的に受診していただき、子宮腺筋症を大きさをフォローしたり、症状が悪化したり、新たな症状が出現しないかみていきます。
対症療法

子宮腺筋症の治療として「対症療法」があります。
子宮腺筋症にともなう症状があれば、それを落ち着かせる「対症療法」をおこないます。
たとえば、月経痛や下腹部痛など「痛み」があれば痛み止めで対応します。
また、「貧血」があれば鉄剤による治療や月経量を抑えるための治療を行ったりします。
月経量を抑えるために「漢方」「止血剤」などのくすりを使うこともあります。
ホルモン治療

子宮腺筋症の治療として「ホルモン治療」があります。
「低用量ピル」や「黄体ホルモン(ジエノゲストなど)」「GnRH製剤」などのホルモン剤で治療する場合もあります。
月経痛や過多月経を緩和する効果が期待できます。
また、子宮腺筋症や子宮内膜症の病状が進行するのを抑える効果もあります。
なお、ミレーナという子宮内に挿入する器具を使って治療する場合もあります。
器具から黄体ホルモンが分泌され、子宮に直接作用して、治療効果が発揮します。
手術

子宮腺筋症の治療として「手術」が行われる場合もあります。
子宮腺筋症の病変のみを摘出する「子宮腺筋症核出術」や、根本的治療となる「子宮全摘出術」などがおこなわれます。
「子宮腺筋症核出術」は子供を希望し子宮を残したい場合に行われますが、子宮自体は残るので子宮腺筋症が再発してくる可能性があります。
また、子宮腺筋症の病変分布のタイプによっては、病変を大きく切除して、子宮形成術を要する場合があります。
なお、悪性疾患の可能性が高いようであれば、「子宮全摘出術」以上の治療が行われます。
まとめ
今回は「子宮腺筋症」について説明しました。
症状がなくても、子宮腺筋症だと判明するケースがあります。
良性疾患であり、無症状であれば、経過観察しますが、稀に悪性のものが隠れている可能性があります。
子宮腺筋症の大きさや症状の有無などによって治療方針が決まります。
担当医と相談して、今後の方針について相談するようにしましょう。
この記事によって「子宮腺筋症」について理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

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