結論ですが
子宮頸がんは「子宮頸部に悪性腫瘍ができる状態」のことです。
この記事は「健康に関心のある」女性に向けて書いています。
女性特有の病気に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「子宮頸がん」についてわかります。
たとえば
- お腹が痛い、、
- 生理以外の出血がある、、
- 生理が不規則でバラバラ、、
などの症状があった場合、もしかして自分は子宮のがんかもしれない!?と心配になるかもしれません。
子宮のがんといっても、「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分かれています。
そんな心配な「子宮のがん」のうち、今回は「子宮頸がん」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 子宮頸がんは「子宮頸部に悪性腫瘍ができる状態」のことです。
- 子宮頸がんは「細胞診」「コルポスコピー・組織診」「内診・直腸診」「画像検査」(エコー・CT・MRIなど)の検査がおこなわれます。
- 子宮頸がんは「手術」「放射線治療」「化学療法」などの治療法があります。「進行期」や「妊娠の希望」「健康状態」「病変の大きさ」「組織のタイプ」などによって治療方針が決まります。
子宮頸がんはどんな病気ですか?
子宮頸がんは、「子宮頸部に悪性腫瘍ができる状態」のことです。
子宮には「子宮頸部」(子宮の下の部分)と「子宮体部」(子宮の上の部分)の2つの部位に分かれます。そのうち「子宮頸部」に悪性腫瘍ができる状態が「子宮頸がん」です。
子宮頸がんのほとんどは「HPV」(ヒトパピローマウイルス)というウイルス感染が原因です。「HPV」感染が持続することによって、「子宮頸部異形成」という前がん病変を経て、「子宮頸がん」に進行します。
子宮頸がんはどんな症状がおこりますか?
早期には自覚症状がほとんどないことが多いですが、症状として多いのが「不正性器出血」(月経以外の性器出血のこと)です。子宮頸部が出血しやすい状態になるので、性交渉などで刺激されると擦れて出血します。
他にも「おりもの異常」や、病変が進行すると「下腹部痛」「腰痛」「背部痛」などの症状が起こります。
子宮頸がんはどんな検査をおこないますか?
細胞診
子宮の入り口の部分を擦って細胞を採取します。そして細胞を顕微鏡で拡大して「がん細胞」が存在するか確認します。
コルポスコピー・組織診
子宮の入り口の部分を「コルポスコピー」という拡大鏡を使って病変が疑わしい部分がないか確認します。そして、病変が疑わしい部分の組織の一部を採取します。
その組織を顕微鏡で拡大して「がん組織」が存在するか、「組織のタイプ」は何なのか確認します。
内診・直腸診
腟口から指を挿入して「内診」を行います。「膀胱」や「直腸」「腟壁」など子宮のまわりに病変が進行していないか確認します。また、肛門から指を挿入して「直腸診」を行います。子宮の後ろ側の直腸などに病変が進行していないかも確認します。
画像検査
エコーやMRI・CTなどの画像検査を行います。
エコーはその場ですぐにでき、子宮頸がんの病変の「大きさ」などを確認します。
MRIでは、子宮頸がんの病変の大きさに加えて、「膀胱」や「直腸」などの子宮のまわりの臓器に病変が進行していないか、骨盤内の「リンパ節」に病変が進行していないか等を確認します。
CTでは、「肺」や「肝臓」などの臓器に遠隔転移がないか、骨盤内や大動脈まわりの「リンパ節」に病変が進行していないか等も確認します。
子宮頸がんはどんな治療をおこないますか?
子宮頸がんは、病変の広がり(進行期)によって治療法は決まります。また、「妊娠の希望」「健康状態」「病変の大きさ」「組織のタイプ」などによって、具体的な治療方針を決めていくことになります。
手術
子宮頸がんの場合、基本的には「子宮全摘出術」以上の手術が必要になります。
進行期によって子宮のまわりの摘出する範囲も変わり、「単純子宮全摘出術」「準広汎子宮全摘出術」「広汎子宮全摘出術」などがあります。また、子宮摘出と一緒に所属リンパ節である「骨盤リンパ節」「傍大動脈リンパ節」の郭清術も行われることがあります。
あわせて「卵巣」も切除することが多いですが、条件によっては残すことも出来る場合があります。
子宮を摘出すると妊娠することはできなくなるため、妊娠希望がある初期の子宮頸がんでは「広汎子宮頸部摘出術」(トラケレクトミー)という子宮を温存する手術が行われたり、「円錐切除術」だけ行っておいて妊娠・出産が終了したら「子宮全摘出術」に移行するということもあります。
放射線治療
放射線治療は、病変に放射線を照射することで治療する方法です。
子宮頸がんでは、体外から放射線照射をする「外照射」と、子宮の中から放射線を照射する「腔内照射」があります。
放射線照射の方法はがんの種類や進行期によって異なります。
化学療法
化学療法は、抗がん剤を使って「がん病変」を治療する方法です。
場合によっては、「抗がん剤」に加えて「分子標的薬」という種類の薬も併用することがあります。また、放射線治療の効果を高めるために化学療法を併用する「CCRT」(同時化学放射線治療)なども行われます。
子宮頸がんになりやすい人は?
子宮頸がんは、若い人に多いのが特徴で「30歳-40歳代」という若い世代に好発します。なお、進行がんは60歳以上に多いです。
「性活動性が高い」「出産回数が多い」などの場合、HPVへの感染機会が高くなるため「子宮頸がん」になりやすくなります。また「喫煙」「経口避妊薬(ピル)の使用」なども子宮頸がんのリスク因子となります。
子宮頸がんを予防するためには?
「HPVワクチン」と「定期的な子宮頸がん検診」で子宮頸がんを予防することができます。
HPVワクチン
子宮頸がんのほとんどは「HPV」というウイルス感染が原因であり、「HPVワクチン」によって根本原因を絶つことができます。
ただし、HPVにはいくつか型があるのですが、すべてをカバーできていないため「HPVワクチン」だけでなく「定期的な子宮頸がん検診」を組み合わせる必要があります。
定期的な子宮頸がん検診
「定期的な子宮頸がん検診」をおこなうことによって、「子宮頸がん」だけでなく「子宮頸部異形成」(子宮頸がんの前がん病変)を見つけることができます。
前がん病変である「子宮頸部異形成」を早期発見・早期治療することによって「子宮頸がん」予防につながります。
まとめ
子宮頸がんは「子宮頸部に悪性腫瘍ができる状態」のことです。
子宮頸がんは「細胞診」「コルポスコピー・組織診」「内診・直腸診」「画像検査」(エコー・CT・MRIなど)の検査がおこなわれます。
子宮頸がんは「手術」「放射線治療」「化学療法」などの治療法があります。「進行期」や「妊娠の希望」「健康状態」「病変の大きさ」「組織のタイプ」などによって治療方針が決まります。
婦人科の受診は、ためらわれる人が多いかと思います。
女性のデリケートな部位の診察になるので、受診のハードルは高いかと思います。
ただし、がんの場合には気がついたときには手遅れになってしまうこともあります。
気になる症状があるときには、勇気をもって婦人科を受診しましょう。
婦人科は困った人の味方です。
この記事によって「子宮頸がん」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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