結論ですが
妊娠中に「ヘルペス感染」といわれた場合には、しっかりとヘルペスの治療をおこなうこと、赤ちゃんへのヘルペス感染を予防することが大切です。
この記事は「妊娠中の女性」に向けて書いています。
妊娠中のさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「妊娠中のヘルペス感染」についてわかります。
妊娠する前からヘルペスにかかったことがあって、妊娠して免疫力が低下したときにヘルペスの症状があらわれる人が多いです。
また、妊娠のため性行為をしたときにパートナーからヘルペスをうつされたということもあります。
今までにヘルペスにかかったことがある人であれば再発型になるので比較的症状は軽いですが、初めての感染だった場合症状が重度になることが多いです。
また、発症したときの妊娠時期に応じて治療方針が異なります。赤ちゃんへの影響を考慮して治療をすることになるためです。
今回は「妊娠中のヘルペス感染」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- ヘルペス感染は、「単純ヘルペスウイルス(1型,2型)」による感染であり、主に性行為によって性器や口唇などに感染をおこします。
- 妊娠中の検査で「ヘルペス感染」といわれた場合には、しっかりとヘルペスの治療をおこなうこと、赤ちゃんへのヘルペス感染を予防することが重要です。
- 性器ヘルペスの病変が認める妊娠時期によって対応は異なります。とくに分娩時期が近いときに病変を認める場合は経腟分娩による「産道感染」を予防するために帝王切開での分娩がすすめられます。
ヘルペス感染はどんな病気ですか?
ヘルペス感染は、単純ヘルペスウイルス(1型,2型)とよばれるウイルスによる感染です。主に性行為によって性器や口唇などに感染をおこし「性器ヘルペス」や「口唇ヘルペス」となります。初めて感染した後は、ヘルペスウイルスは神経に潜伏感染します。そして、免疫力が低下したときにヘルペスウイルスは活性化し再発を繰り返します。
性器ヘルペスはどんな症状があらわれますか?
女性の場合は性行為をした2-10日後あたりから発症します。外陰部に「みずぶくれ」や「浅い潰瘍」などの病変がみられます。
また、外陰部に痛みをともない、歩くときやおしっこするときに刺激で痛むため、歩行や排尿が困難になることもあります。「38度以上の発熱」や、「リンパ節(そけい部)の腫れ・痛み」など認められます。
妊娠中に性器ヘルペスといわれたら…
妊娠中の検査で「性器ヘルペス」といわれた場合には、しっかりとヘルペスの治療をおこなうこと、赤ちゃんへのヘルペス感染を予防することが重要です。
具体的にヘルペス感染の治療、ヘルペス感染の赤ちゃんへの影響、赤ちゃんへの感染を予防するためについて説明していきます。
ヘルペス感染はどんな治療をおこないますか?
抗ウイルス薬で治療をします
ヘルペスウイルスをやっつける抗ウイルス薬を使って治療します。「バラシクロビル」「アシクロビル」などの薬が使われます。
軽症であれば飲み薬や塗り薬で外来で治療していくことが多いですが、症状が重度の場合は、入院した上で抗生剤の点滴薬で治療することになります。
再発を繰り返す場合は
ヘルペスウイルスは一度感染したら神経に潜伏感染します。免疫が低下すると再活性化して再発を繰り返します。
再発を何度も繰り返す場合は、再発を予防するために無症状でも抗ウイルス薬を定期的に飲んでもらうことがあります。
ヘルペス感染の赤ちゃんへの影響
単純ヘルペスウイルスが赤ちゃんに感染して生後28日までに発症すると「新生児ヘルペス」とよばれ、さまざまな症状がおこります。
皮膚・目・口に「水疱」が形成したり、「発熱」「けいれん」「哺乳不良」「不活発性」などが起こる可能性があります。場合によっては、「肝不全」「呼吸障害」まで進展し多臓器不全で死亡することもあります。死亡まで至らなくても、「神経学的な後遺症」を残すこともあります。
赤ちゃんへの感染を予防するために
どのように赤ちゃんに感染するか?
母親から赤ちゃんにヘルペス感染するのは、経腟分娩をするときの「産道感染」が多いです。他にも、胎盤を通じて感染する「胎盤感染」を起こしたり、赤ちゃんが産まれた後の接触で「水平感染」を起こすなどの報告があります。
残念ながら帝王切開での赤ちゃんへの感染を完全に防ぐことは難しいといわれています。
妊娠時期に応じた対応
性器ヘルペスの病変が認める妊娠時期によって対応は違います。
妊娠初期であれば「アシクロビル軟膏」による治療と、病変を刺激してしまわなように性交を控えてもらいます。
妊娠中期・後期では「アシクロビル」や「バラシクロビル」の飲み薬や点滴による治療を行います。
分娩時期が近い場合は…
- 分娩目的に入院した時(陣痛・破水など)に性器ヘルペス病変を認める、あるいは強く疑われる場合
- 初感染初発発症から1ヶ月以内に分娩となる可能性が高い場合
- 再発または非感染初発で発症から1週間以内に分娩となる可能性が高い場合
これらの場合では、経腟分娩による「産道感染」を予防するために帝王切開での分娩がすすめられます。
性器ヘルペスを何回も再発する場合は
また、性器ヘルペスを何回も再発する人は、妊娠中に病変がなくても、妊娠36週以降から分娩するまで「アシクロビル」を投与すると帝王切開率が下がったという報告があり、再発予防として行われることがあります。
再発型ではウイルス量は比較的少なく、児への感染率は低いとされていますが、「新生児ヘルペス」になった時の重大さを考慮すると何かしら対応をした方が良いと考えられます。
まとめ
ヘルペス感染は、「単純ヘルペスウイルス(1型,2型)」による感染であり、主に性行為によって性器や口唇などに感染をおこします。
妊娠中の検査で「ヘルペス感染」といわれた場合には、しっかりとヘルペスの治療をおこなうこと、赤ちゃんへのヘルペス感染を予防することが重要です。
性器ヘルペスの病変が認める妊娠時期によって対応は異なります。とくに分娩時期が近いときに病変を認める場合は経腟分娩による「産道感染」を予防するために帝王切開での分娩がすすめられます。
妊娠中にヘルペス感染した場合「どこからうつされたのだろう」「なぜ感染しているだろう」とか思いを巡らせる人が多いです。
しかし、ヘルペス感染が判明した以上、しっかりと向き合って、お腹の中の赤ちゃんのためにもしっかりと治療をしていきましょう。
この記事によって「妊娠中のヘルペス感染」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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