老年期によくある5つの悩み【ヘルスケア】

結論ですが

老年期には、女性ホルモンが分泌されなかったり、からだの機能の低下などから様々な悩みが起こります。

この記事は「健康に関心のある人」に向けて書いています。
ヘルスケアに関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「老年期の悩み」についてわかります。

卵巣からの女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が終わると、更年期の症状は徐々に安定していきます。「更年期」は閉経する平均年齢である「約50歳」のおおよそ前後5年間の期間です。「更年期」を過ぎた後の時期を「老年期」とよばれます。

「思春期」→「性成熟期」→「更年期」→「老年期」とつながっています。

女性ホルモンの分泌がされなくなると、さまざまな体への影響がおこり、さまざまな病気につながります。また、加齢にともない体の機能が低下していくため、様々な悩みが起こります。

今回は「老年期の悩み」について説明していきたいと思います。

この記事のまとめ

おしっこの悩み

加齢とともに、トイレが近くのなる「頻尿」や、「尿もれ」などのおしっこの症状がおこりやすくなります。
これは、年齢とともにおしっこを濃くする能力が低下するために尿の回数が増えてしまい「頻尿」となります。また、「膀胱炎」や「骨盤底筋」の筋力低下などが原因で頻尿となります。なお、夜もおしっこで起きてしまう「夜間頻尿」になると睡眠障害にもつながってしまいます。

「骨盤底筋」の筋力低下などによって、おしっこを我慢することができなくなり「尿もれ」(尿失禁)につながります。
せき・くしゃみなどの刺激がきっかけになっておしっこがもれてしまう「腹圧性尿失禁」、
おしっこしたいと感じてから、トイレに行くまで我慢できずに尿漏れをおこす「切迫性尿失禁」などがあります。

骨盤臓器脱の悩み

二足歩行の人間は、「膀胱」「子宮」「腸」などの臓器がさがってこないように「骨盤底筋」や「靱帯」などによって骨盤の底の部分が支えられています。
年齢とともに「骨盤底筋」の筋力が低下すると、「膀胱」「子宮」「腸」などの骨盤の中におさまっている臓器が下がってきて「骨盤臓器脱」がおこります。
「子宮が下がってくる感じ」、「尿もれ」「頻尿」「尿意切迫感」などのおしっこの症状、便を我慢できなくなる「便失禁」などの症状がおこります。

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性交渉の悩み

閉経した後、女性ホルモンが減少すると、さまざまな体への影響がおこります。
その中でも皮膚などに影響して、皮膚の萎縮がおこります。そのため、老年期には「萎縮性腟症」といった病気につながります。「萎縮性腟症」では、「腟の乾燥」「かゆみ」「痛み」「性器出血」などの症状がおこります。
「萎縮性腟症」や「腟分泌液の減少」から、性交時に痛みが生じ、「性交障害」につながります。

ロコモの悩み

年齢とともに、筋肉や関節などの運動器の機能は低下していきます。運動機能の低下によっておこる様々な症状を「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)とよばれます。
とくに運動習慣がないと、加齢によって「筋力低下」が著しくなります。
また、老年期には関節の痛みも出やすくなり、「関節痛」や「関節症」によって、体を動かすのがしんどくなってしまいます。
すると、「運動しなくなる」→「筋力低下」→「運動しなくなる」→…の悪循環に陥ります。
また、「筋力低下」から「転倒」(転んでしまうこと)につながります。転倒によって、太ももの骨を骨折してしまうと「寝たきり生活」にまっしぐらです。
なお、寝たきりの原因の第一位は「脳梗塞」や「脳出血」などの脳の血管の病気です。他にも「認知症」や「高齢による衰弱」「関節の病気」などが原因で寝たきりとなります。

認知機能の悩み

年齢とともに「認知機能」は低下していきます。
認知機能は、ものごとを記憶する、言葉をあつかう、計算する、問題を解決するため考えるなどの頭の働きのことをいいます。
認知機能が低下すると、「記憶力の低下」、「判断力の低下」、ものごとを行う「遂行力の低下」などがみられます。また、重度になると、家事・入浴・着替えなどの日常生活を送ることが難しくなり、コミュニケーションがとることが困難になり、「暴言・暴力」「徘徊」「不潔行為」などの行動がみられます。
さらに重度になると、歩く、飲み込むなどの行動ができなくなり、死につながります。

まとめ

今回説明したのは老年期の悩みのうちのほんの一部です。

  • 仕事を引退した後の生活で悩まされたり、
  • さまざまな病気がみつかて健康上のことで悩まされたり、
  • 夫が仕事を引退し家庭にいる時間が増えることで悩まされたり、

たくさんの悩みと付き合うことになります。

産婦人科医として、老年期であっても、より健康的で、症状をうまくコントロールして、よりよい生活が送れるようにしっかりと支えられる存在でありたいです。
そして、その人のおかれている家庭環境などの状況をトータルで理解した上でサポートしたいと思います。

この記事によって「老年期の悩み」に対する理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

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