出生前検査は受けたほうがいいですか?【出生前検査】

結論ですが

十分説明をうけて理解したうえで「出生前検査」をうけるか判断しましょう。
出生前検査には「非確定的検査」と「確定的検査」があります。検査内容を理解したうえでどの検査にするか選びましょう。

この記事は妊婦さん向けに書いています。
妊娠中のさまざまな疑問、不安などが解決できればとおもっています。
今回は「出生前検査」を受けるべきか悩んでいる人に対しての記事です。

最近話題の出生前検査についてです。
以前はなかった検査ですが、医療の進歩はすごいもので、この出生前検査を受けようとおもえば誰でも受けられるような時代になっています。
メディアでも取り上げられることが多く、知っている人も多いかと思います。

検査をうける選択肢が増えるということは、いいことのように思えますが、逆に選択肢が増えることで検査をうけるべきかどうするかという悩みも増えることにもなります。

今回は「出生前検査」を受けるべきか悩んでいる人に向けて、検査の基本的なことや、検査を受けるかどうかどのように判断するか説明していきたいと思います。

この記事のまとめ

  • 事前に十分な説明やカウンセリングをうけて、検査に対して理解したうえで「出生前検査」をうけるか決めましょう。
  • 出生前検査には「非確定的検査」と「確定的検査」があります。検査には、妊娠週数や医療機関によって出来る検査が決まっているので事前に確認しましょう。
  • 実際には「非確定的検査」をして結果をみてから「確定的検査」をする人が多いが、はじめから「確定的検査」をうける人もいます。

出生前検査は受けるべきですか?

結論をいうと、

十分な説明やカウンセリングをうけて、検査に対して理解したうえで「出生前検査」をうけるか決めましょう。


まずはじめに、出生前検査をうけたからといってすべての先天性疾患がわかるわけではないということを頭に入れておきましょう。

前提として、産まれてくる赤ちゃんの3-5%程度は何かしらの先天性疾患をもっています。
先天性疾患の主な原因として、「染色体疾患」(約25%)以外にも、「単一遺伝子の変異」(約20%)、「多因子遺伝」(約50%)、「環境催奇形因子」(約5%)などがあります。
染色体疾患のうち、母体年齢が上がるとともに出生児の染色体疾患の発生率が上がるものとして、21トリソミー(21番染色体が3本となる異常でダウン症候群とも言われる)・18トリソミー・13トリソミーなどが知られています。 

重要な点なので繰り返しますが、出生前検査をうけたからといってこれらすべての先天性疾患がわかるわけではありません。
出生前検査でわかるのは、先天性疾患の原因の「染色体疾患のうち一部のみ」です。
つまり、出生前検査で問題なかったとしても、検査ではわからない他の先天性疾患の可能性はあります。

実際に検査する人の中には…

  • 検査で安心したいから念のため出生前検査を行いたいという人がいます。
    →万が一、検査で陽性(異常の可能性もしくは異常あり)と出てしまった場合、安心できない検査結果となってしまうことがあります。
  • 十分な説明をうけずに安易に出生前検査を受ける人もいます。
    →検査結果が出てから、その結果の解釈がよくわからなくなってしまうことが多いです。
  • 当初は全く考えていなかったが、出生前検査の結果を知って中絶を選択する人もいます。

出生前検査は、あくまで妊婦さんが主体となって「検査を受けるかどうか」「検査結果をうけて中絶するかどうか」判断材料となる検査です。
医師が主体となって、「出生前検査をすすめること」や「中絶をすすめること」は決してないです。

出生前検査は命の選別にもつながる検査でもあるので、その検査の重みを十分理解してください。
そして、出生前検査を受ける前に十分な説明・カウンセリングを受け、納得した上で検査を受けてください。

出生前検査にはどんな検査がありますか?

結論をいうと、

出生前検査には、「非確定的検査」と「確定的検査」に分けられます。
また、妊娠週数や医療機関によって出来る検査が決まっているので事前に確認しましょう。

非確定的検査

非確定的検査は、侵襲がないですが、あくまで染色体異常の可能性が確率でわかるのみです。
確定的検査の結果をふまえたうえで確定検査をするかどうかの判断するための検査という位置づけとも言えるでしょう。
非確定的検査には、「NT検査」「母体血清マーカー検査」「NIPT検査」などがあります。

NT検査
NT検査はエコーで胎児の首の後ろのむくみの厚さを測定します。
NT測定値と年齢などの患者情報から染色体異常の確率が計算されます。
妊娠11週から13週までに行います。

母体血清マーカー
母体血清マーカーは母体の血液検査をします。
母体の血液中に含まれている成分を測定して染色体異常の確率や開放性神経管奇形である確率が算出されます。
妊娠15週以降に行います。

NIPT検査
NIPTも母体の血液検査をします。
母体の血液中に含まれる胎児由来の成分を分析します。
結果が陰性であれば99.9%の確率で染色体異常がないということになりますが、陽性だった場合は染色体異常の可能性が高いです。
ただし疑陽性(検査が陽性でも実際には染色体が正常である)の場合もあるので、染色体異常を調べるのに確定的検査が必要です。
妊娠10週以降に行います。

確定的検査 

確定的検査には、「羊水検査」「絨毛検査」があります。
確定的検査を行う場合は、一定確率で流産などの危険性があります。

羊水検査
羊水検査は、お腹から細い針を刺して子宮内の羊水を採取して、羊水中の胎児成分の染色体を検査します。
比較的安全性が高いですが、胎児死亡・流産等が0.3%程度起こるとされています。
妊娠15-16週以降に行います。

絨毛検査
絨毛検査は、お腹から細い針を刺して絨毛組織を採取して、胎児成分の染色体検査をします。
羊水検査と比較して流産頻度は高く、1%程度起こるとされています。
妊娠11週から14週までに行います。

実際、出生前検査はどのようにおこなわれていますか?


結論をいうと

まずは「非確定的検査」をして、結果をみてから「確定的検査」をするか判断する人が多いです。
ただ、検査結果によって中絶をするかどうかの決意があるひとは、はじめから確定的検査をうける人もいます。

非確定的検査の結果は、あくまで染色体異常などの確率が出るのみなので、診断を確定をするために「確定的検査」が必要になります。
なので、実際の流れとしては「非確定的検査」→「確定的検査」となり、確定的検査の結果をふまえて中絶するかどうかの判断をすることになります。

なお、中絶を希望する場合には時間的な制約があるので頭にいれておきましょう。
中絶が可能な時期は「妊娠21週6日まで」とされており、「妊娠22週0日以降」は中絶ができなくなります。
また、出生前検査の結果が出るのが、検査会社や検査の種類にもよりますが「おおよそ1-3週間程度」かかります。
出生前検査の結果をふまえたうえで判断をすることになるので、出生前検査を希望する場合には早めの準備や対応が必要です。

まとめ

事前に十分な説明やカウンセリングをうけて、検査に対して理解したうえで「出生前検査」をうけるか決めましょう。

出生前検査には「非確定的検査」と「確定的検査」があります。検査には、妊娠週数や医療機関によって出来る検査が決まっているので事前に確認しましょう。

実際には「非確定的検査」をして結果をみてから「確定的検査」をする人が多いが、はじめから「確定的検査」をうける人もいます。

繰り返しになりますが、出生前検査は命の選別にもつながる検査でもあるので、その検査の重みを十分理解してください。
そして、出生前検査を受ける前に十分な説明・カウンセリングを受け、納得した上で検査を受けてください。

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