結論ですが
妊娠中に「生肉」を食べた場合には、トキソプラズマ感染の可能性があります。
この記事は「妊娠中の女性」に向けて書いています。
この記事を読むことで「トキソプラズマ感染」についてわかります。
妊娠中はよく「生もの」は食べないようにいわれるかと思います。
「生肉」であれば今回のトキソプラズマ感染の可能性があるのと、「生チーズ」であればリステリア菌に感染する可能性、「生たまご」であればサルモネラ菌の感染による食中毒になる可能性などがあります。
妊娠中は「生もの」は避けて、十分加熱調理されたものを食べるようこころがけましょう。
妊娠中に感染した場合、赤ちゃんに重大な影響をおよぼすものが知られています。それぞれ頭文字をとって「TORCH症候群」と呼ばれています。
今回はそのうち、「トキソプラズマ感染」について説明していきたいとおもいます。
この記事のまとめ
- 妊娠中に生肉を食べてしまった場合はトキソプラズマに感染する可能性があり、赤ちゃんに「先天性トキソプラズマ症」を起こすことがあります。「先天性トキソプラズマ症」は重度な場合は死亡してしまう可能性があるのと、生存しても神経学的後遺症を残すことがあります。
- トキソプラズマ各抗体の検査をして、妊娠中のトキソプラズマ感染か判断します。胎盤を通じた赤ちゃんへの感染予防のために「アセチルスピラマイシン」もしくは「スピラマイシン」を使用します。赤ちゃんへの感染が確認された場合には、「ピリメタミン」「スルファジアジン」を使用します。
- 感染を予防するために、妊娠中は「動物肉は十分加熱するようにすること」「ネコに注意すること」「土いじりを避けること」をこころがけましょう。
なぜ「生肉」に注意するべきなの?
加熱が不十分な生肉には、今回説明する「トキソプラズマ」や、食中毒の原因となる「サルモネラ菌」などさまざまな感染症を引き起こす可能性があります。
妊娠していない時でももちろん注意すべきですが、妊娠中の場合は胎盤を通じて赤ちゃんに影響を与えてしまう可能性もあるためとくに注意が必要です。トキソプラズマ感染によって「先天性トキソプラズマ症」が生じる可能性があります。
先天性トキソプラズマ症とは?
妊娠中にトキソプラズマに感染すると、トキソプラズマは胎盤を通じて移行して赤ちゃんにも感染してしまいます。感染が成立すると赤ちゃんに「先天性トキソプラズマ症」という先天異常が生じる可能性があります。
赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症にかかった場合、眼や脳・皮膚などに症状がおよびます。症状が重度な場合には死亡してしまう可能性や、生存しても神経学的後遺症をのこすことがあります。
「生肉」を食べてしまった場合はどうすればいいのか?
生肉を食べてしまった場合は、腹痛・下痢・吐き気・おう吐などの食中毒症状に注意が必要です。
また、トキソプラズマ感染は症状が軽度で気が付かないことが多いです。トキソプラズマ感染が疑わしい場合には、担当医とトキソプラズマ感染の検査を相談しましょう。
トキソプラズマの検査は?
妊婦の血液検査でトキソプラズマの検査します。
トキソプラズマに感染したときに抗体というものが作られますが、その抗体を検査します。抗体のうち「IgG」「IgM」というものを検査します。一度の検査だとわからない場合があり、その場合には時期をあけて再検査します。
また、トキソプラズマの感染時期を推定するのに「IgG avidity」というものを検査します。「IgG avidity」が低いと最近の感染の可能性が高く、妊娠中に感染した可能性を考えます。
トキソプラズマ感染の可能性がある場合は?
妊娠中のトキソプラズマ感染を考えられる場合は、胎盤を通じた赤ちゃんへの感染を防ぐという視点が大事です。
胎盤を通じた赤ちゃんへの感染予防のために、「アセチルスピラマイシン」もしくは「スピラマイシン」というくすりを使用します。
また、赤ちゃんへの感染が確認された場合には、赤ちゃんへの治療という視点が大事です。「ピリメタミン」と「スルファジアジン」というくすりを使用します。葉酸合成を阻害する作用もあるので、治療中は葉酸も補充します。
トキソプラズマに感染しないために
トキソプラズマは原虫であり、動物肉・ネコの糞・土壌などにいます。
「加熱が不十分な動物肉」、「ネコの糞」を触ったり、ガーデニングや砂遊びなどで「土いじり」をした場合に感染する可能性があります。
感染を予防するために、妊娠中は「動物肉はじゅうぶん加熱すること」「ネコに注意すること」「土いじりを避けること」をこころがけましょう。
もし、すでにネコを飼っている場合は、ネコを「外飼いにしないこと」「エサに生肉をあたえないこと」「ネコのトイレそうじは毎日キレイにすること」が重要です。
できれば、ネコのトイレそうじは妊婦さんはおこなわないようにしましょう。
妊婦自身がそうじをおこなう場合も、てぶくろ・メガネ・マスクなど装着して感染予防するとともに、そうじの後はしっかりと手洗いをしましょう。
まとめ
妊娠中に生肉を食べてしまった場合はトキソプラズマに感染する可能性があり、赤ちゃんに「先天性トキソプラズマ症」を起こすことがあります。「先天性トキソプラズマ症」は重度な場合は死亡してしまう可能性があるのと、生存しても神経学的後遺症を残すことがあります。
トキソプラズマ各抗体の検査をして、妊娠中のトキソプラズマ感染か判断します。胎盤を通じた赤ちゃんへの感染予防のために「アセチルスピラマイシン」もしくは「スピラマイシン」を使用します。赤ちゃんへの感染が確認された場合には、「ピリメタミン」「スルファジアジン」を使用します。
感染を予防するために、妊娠中は「動物肉は十分加熱するようにすること」「ネコに注意すること」「土いじりを避けること」をこころがけましょう。
妊娠中は生活の制限や注意すべきことがたくさんあって、大変かと思います。
お腹の中の赤ちゃんがすこしでも良い環境で育つように、意識することが大切です。しかし、とても大変でストレスをためてしまうこともあります。
パートナーや家族ふくめ周りのサポートをうまく使って妊娠生活をうまく乗り越えていきましょう。
一人でも多くのお腹の赤ちゃんが健康に安全に産まれくることを願っています。
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