結論ですが
子宮体がんの病変の広がりや全身状態などによって、手術ができるかどうか、手術の方法が決まります。
この記事は「病気を指摘された」女性に向けて書いています。
女性特有の病気に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「子宮体がん」についてわかります。
病院を受診して「子宮体がん」と診断された時、いろいろと説明されてよくわからないことが多いかと思います。
とくに「がん」という言葉を聞いて、ショックを受けて頭に入ってこない人は多いです。
さらに、実際に「子宮体がんの手術をおこなう」となったときに、あらかじめ子宮体がんの手術について知識がないと、その場で理解するのは大変だと思います。
今回は「子宮体がんの手術」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 子宮体がんは、病変の広がり具合である「進行期」によって治療方針が決まります。
- 子宮のまわりの組織を摘出する範囲によって「単純子宮全摘出術」「準広汎子宮全摘出術」「広汎子宮全摘出術」などがあります。
- 手術オプションとして「卵巣温存」「神経温存」「リンパ節郭清術の省略」「腹腔鏡手術」などがあります。
子宮体がんの病変の広がりを診断し治療法を決めます。
子宮体がんと診断された場合、病変の広がり具合を診断します。子宮体がんは「子宮体部」から発生して、病変の進行とともにまわりに広がっていきます。
病変の広がり具合を「進行期」とよばれ、「Ⅰ期からⅣ期」まであります。子宮体がんの進行期に応じて治療方針が決まります。
進行期などに応じて治療方針が決まります
子宮体がんは、病変の広がり(進行期)によって治療法は決まります。また、「妊娠の希望」「健康状態」「病変の大きさ」「組織のタイプ」などによって、具体的な治療方針を決めていくことになります。
Ⅰ・Ⅱ期
子宮体がんの病変が局所にとどまっている状態であり、基本的には手術による治療がおこなわれます。子宮体がんの場合、基本的には「子宮全摘出術」以上の手術が必要になります。
ただし、手術が不可能もしくは不適切な場合には、病変に放射線を照射する「放射線治療」や、抗がん剤を使った「化学療法」などの治療が行われます。
Ⅲ・Ⅳ期
がんが子宮の外に広がっている状態であり、病変を完全に摘出することは困難です。
しかし、子宮体がんの場合は、子宮を残した場合にともなう「出血」や「感染」などのリスクがあるため、状況にもよりますが手術可能であれば手術が行われることが多いです。
手術が不可能もしくは不適切な場合には、病変に放射線を照射する「放射線治療」や、抗がん剤を使った「化学療法」などの治療が行われます。全身状態が悪い場合には、治療をおこなわずにそのまま経過をみていくことになることもあります。
子宮全摘出術の範囲
子宮体がん病変が、子宮の下の方の子宮頸部への病変の進行具合によって摘出する範囲も変わります。子宮のまわりの組織を摘出する範囲によって「単純子宮全摘出術」「準広汎子宮全摘出術」「広汎子宮全摘出術」などがあります。
手術オプション
卵巣温存
子宮頸がんの病変が「卵巣」に進行している場合があるため、子宮と一緒に「卵巣」も切除することが多いです。しかし、閉経前に卵巣も一緒に摘出すると「更年期症状」があらわれたり、「骨粗しょう症」や「脂質代謝異常症」になりやすいなどの健康上の影響があります。
条件を満たしており、本人が納得するのであれば、卵巣を残して温存することもあります。
神経温存
広汎子宮全摘出術では、骨盤の深い操作を必要とします。そのときに近くを走る「骨盤神経」を損傷してしまい、「おしっこが出なくなる」「尿意が感じなくなる」などの排尿障害が起こります。それらを回避するために「骨盤神経」損傷をしないようにする「神経温存」が行われます。
リンパ節郭清術の省略
子宮体がんの病変はリンパの流れにのって転移していくことがあります。そのため、子宮体がんの手術では所属リンパ節である「骨盤リンパ節」「傍大動脈リンパ節」などのリンパ節郭清術も行われます。
ただし、リンパ節郭清術をおこなうと、あしがむくんでしまう「リンパ浮腫」などの合併症がおこります。その合併症を回避するために、「リンパ節郭清」を省略する場合があります。
病変から最初に流れてくるリンパ節である「センチネルリンパ節」の生検をおこない、その部分に転移がなければ「リンパ節郭清」を省略するという方法があります。
腹腔鏡手術
子宮体がんの手術は基本的には「開腹」で行われますが、初期の子宮体がんに対する「腹腔鏡手術」があります。
「腹腔鏡手術」であれば、キズが小さくすみ、術後の痛みも少なく、術後の回復が早くなります。術後の仕事への復帰など社会復帰も比較的はやくなります。
妊娠を希望する場合
子宮を摘出すると妊娠することはできなくなるため、子宮を摘出すると妊娠することはできなくなるため、妊娠希望がある初期の子宮体がんでは手術をせずに「ホルモン療法」が行われることがあります。
これは黄体ホルモンである「MPA」という薬を使います。「MPA」の投薬と「子宮内膜全面そうは術」を組み合わせて、治療効果を判定しながら治療をおこないます。
まとめ
子宮体がんは、病変の広がり具合である「進行期」によって治療方針が決まります。
子宮のまわりの組織を摘出する範囲によって「単純子宮全摘出術」「準広汎子宮全摘出術」「広汎子宮全摘出術」などがあります。
手術オプションとして「卵巣温存」「神経温存」「リンパ節郭清術の省略」「腹腔鏡手術」などがあります。
子宮体がんと診断されて、医師のいわれるがままに検査をおこなって、治療がおこなわれて、自分の病状がいまいちよくわからない状態の人が多いです。
自分の病気は自分で理解した上で、治療方針などを決めていくことが大切です。
以前であれば、医師がすべて治療方針など決めていくことが多かったですが、最近では患者さん自分自身で治療方針を選ぶ時代です。
どんな治療法も良い面と悪い面があります。それらをしっかりと理解して、自分自身が納得してから手術ふくめて治療をうけるようにしましょう。
担当医に自分の治療の希望を伝えて、わからない部分は質問するようにしましょう。
この記事によって「子宮体がんの手術」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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