「子宮頸がん」の手術を受けるとおしっこが出なくなりますか?【合併症】

がんについて 婦人科の病気

結論ですが

子宮頸がんの手術によって「排尿障害」などの合併症がおこる可能性があります。

この記事は「病気を指摘された」女性に向けて書いています。
女性特有の病気に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「子宮頸がんの術後合併症」についてわかります。

病院を受診して「子宮頸がん」と診断された時、いろいろと説明されてよくわからないことが多いかと思います。
とくに「がん」という言葉を聞いて、ショックを受けて頭に入ってこない人は多いです。

さらに、実際に「子宮頸がんの手術をおこなうかどうか」となったときに、あらかじめ子宮頸がんの手術について知識がないと、その場で理解するのは大変だと思います。
うわさやネットでさまざまな情報があふれていて、子宮頸がんの手術後の後遺症の体験談などを知る機会があるかと思います。ただ、漠然と手術後の後遺症はおそろしいなという印象を持つ人は多いです。

今回は「子宮頸がんの術後合併症」は具体的にどのようなものがあるかについて説明します。

この記事のまとめ

  • 手術には、病変を治療するという「良い面」と手術にともなう合併症という「悪い面」もあり、それらを天秤にかけて実際におこなうか判断します。
  • 子宮頸がんの手術によって「排尿障害・排便障害」「リンパ浮腫」「エストロゲン欠落症状」「性交障害」などの合併症がおこる可能性があります。
  • 「排尿障害・排便障害」「リンパ浮腫」「エストロゲン欠落症状」「性交障害」などの合併症に対応して、少しでも「生活の質」を高めることが大切です。

子宮頸がんの手術に伴う合併症

手術には、病変を治療するという「良い面」がありますが、手術にともなう合併症という「悪い面」もあります。手術ふくめて医療行為をおこなう場合は、この「良い面」と「悪い面」を天秤にかけて実際におこなうか判断します。
ここでは、子宮頸がんの手術を受けると起こる可能性が高い「排尿障害・排便障害」「リンパ浮腫」「エストロゲン欠落症状」「性交障害」などの合併症について説明していきます。

排尿障害・排便障害

排尿障害・排便障害はなぜおこる?

子宮頸がんの手術は、病変の大きさや広がり具合(進行期)によって子宮のまわりの摘出する範囲も変わります。とくに「広汎子宮全摘出術」の場合は、排尿や排便をつかさどっている「骨盤内臓神経」を損傷してしまう可能性があります。
おしっこが出ない・おしっこがたまっても尿意を感じないなどの「排尿障害」や、便を出しにくい・便秘などの「排便障害」がおこります。

排尿障害・排便障害への対応

「排尿障害」がおこると、定期的に自分でおしっこの管を入れて排尿する「自己導尿」が必要になることがあります。
また、「排便障害」では下剤を調整して対応したり、術後の「腸閉塞」(イレウス)の可能性がないか検査したりします。

リンパ浮腫

リンパ浮腫はなぜおこる?

子宮頸がんの病変はリンパの流れに乗って転移していくことがあります。そのため、広汎子宮摘出術では所属リンパ節である「骨盤リンパ節」や「傍大動脈リンパ節」などのリンパ節郭清術も行われます。
リンパ節郭清術をおこなうと、リンパ液の流れが妨げられて、あしに水分が貯まってしまい、あしがむくむ等の「リンパ浮腫」がおこります。

リンパ浮腫への対応

リンパ浮腫がひどくなると、あしのむくみに伴いあしが痛くなり動かしにくくなったりします。少しでも症状がやわらぐように「あしの圧迫・挙上」や「リンパマッサージ」「スキンケア」などで対応します。

更年期症状

更年期症状はなぜおこる?

子宮頸がんの病変が「卵巣」に進行している場合があるため、基本的には子宮と一緒に「卵巣」も切除します。閉経前に左右2つとも卵巣を摘出すると、卵巣から分泌されている女性ホルモンである「エストロゲン」が低下します。
「エストロゲン」が低下すると、顔がほてる・イライラしやすくなるなどの「更年期症状」があらわれたり、将来的に「骨粗しょう症」や「脂質代謝異常症」になりやすいなどの健康上の影響があります。

更年期症状への対応

顔がほてる・イライラしやすくなるなどの更年期症状がひどい場合には、女性ホルモンを薬で補う「ホルモン補充療法」、症状をやわらげる「漢方薬」などが使われます。

性交障害

そもそも、術後に性行為をしてもいいですか?

子宮頸がんの手術を受けた後であっても性行為をすることは可能です。
ただし、手術直後に性行為をすると、腟の縫合部から出血したり、感染を起こしたり、縫合部がほつれて穴が空いてしまうことがあります。
なかなか聞きにくいことだと思いますが、いつ頃から性行為をしてよいか担当医にかならず確認するようにしましょう。

性交障害はなぜおこる?

子宮頸がんの手術を受けた後であっても性行為をすることは可能です。
しかし、手術の影響によって、腟が短くなっていたり、腟分泌液が少なく乾燥しやすかったり、神経損傷の影響で感じにくくなったりします。それらによって、性行為に前向きに臨めなくなったり「性交障害」となることもあります。

性交障害への対応

性行為はパートナーとの関係性が一番大事です。
性行為のときに、腟が乾燥している時には潤滑ゼリーを使用したりする工夫なども大事ですが、パートナーと話し合い協力し合ったりして、お互いが満足できる性行為のかたちを見つけ出すことも大事です。
なかなか聞きにくいことだと思いますが、必要であれば担当医に相談するようにしましょう。

まとめ

手術には、病変を治療するという「良い面」と手術にともなう合併症という「悪い面」もあり、それらを天秤にかけて実際におこなうか判断します。

子宮頸がんの手術によって「排尿障害・排便障害」「リンパ浮腫」「エストロゲン欠落症状」「性交障害」などの合併症がおこる可能性があります。

「排尿障害・排便障害」「リンパ浮腫」「エストロゲン欠落症状」「性交障害」などの合併症に対応して、少しでも「生活の質」を高めることが大切です。

子宮頸がんの手術を受けるときに、合併症の説明を受けると、手術自体おこなうのがこわくなってしまうかと思います。
しかし、子宮頸がんが進行してしまった場合は、さまざまな症状が起こってきたり、手術で摘出できない状態になったり、場合によっては命を落とす可能性があります。

自分の命があって、生きているということは何よりも大切だと思います。
手術が可能ということは、基本的には根治可能な状態ともいえます。
がんに対する治療方針は、さまざまな考えがありますが、基本的には病変が摘出ができる手術可能な時期に治療をおこなうべきだと思います。

術後合併症はこわいかと思いますが、「術後合併症が少なくなるような手術方法」をおこなっている施設もありますし、「術後合併症への対応」に力を入れている施設もあります。
「子宮頸がんの術後合併症」に対する理解や取り組みも少しずつ向上しています。

この記事によって「子宮頸がんの術後合併症」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。