結論ですが
妊娠中も安全に使えるおすすめの漢方薬があります。
この記事は「妊娠中の女性」に向けて書いています。
妊娠中のさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「妊娠中の漢方薬」についてわかります。
妊娠中はさまざまな症状で悩まされることが多いです。
たとえば、
- つわりで吐き気がひどかったり
- お腹が痛くなったり
- 脚がつってしまったり
- 便秘になってしまったり
- 痔になってしまったり
じつは、妊娠中のこれらの症状は漢方薬で改善させることが期待できます。
妊娠中にくすりを飲むこと自体ためらう人もいるかもしれませんが、
妊娠中にも安全に飲める薬はありますし、今回紹介する漢方薬も安全に飲むことができます。むしろ、何もしないで症状を我慢する方が、かえって良くないこともあるかと思います。
今回は、「妊娠中の症状におすすめの漢方薬」を5つに絞って説明していきます。
この記事のまとめ
- 妊娠経過が安定するために「当帰芍薬散」がおすすめです。
- 「つわり」や「悪阻」に対して「五苓散」がおすすめです。
- 「こむら返り」や「突発痛」に対して「芍薬甘草湯」がおすすめです。
- 「便秘」に対して「大建中湯」がおすすめです。
- 「痔」に対して「乙字湯」がおすすめです。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
妊娠経過が安定するために、「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)がおすすめです。
「当帰芍薬散」は、古来より「安胎薬」(お腹の中の赤ちゃんを安定させておく薬)として知られています。「当帰芍薬散」の「子宮の血流改善効果」や「むくみの改善効果」により、「胎児発育不全」「妊娠高血圧症候群」の発症予防効果が期待できる。
また、「芍薬」という生薬が含まれているため、「腹痛」だけでなく「頭痛」「腰痛」など妊娠中のさまざまな痛みにも対応可能です。さらに、利尿作用もあるため、「めまい」「立ちくらみ」にも効果があります。
さらに、「切迫流産」「切迫早産」にも効果が期待できます。
「当帰芍薬散」は、まさに「安胎薬」であり妊娠中の万能薬です。
五苓散(ごれいさん)
妊娠初期の「つわり」や「悪阻」(おそ)に対して、「五苓散」(ごれいさん)がおすすめです。
「五苓散」は「水」のバランスを整える作用があります。余分な水は引いて、足りない水は補う作用があります。つわりによる脱水の改善効果が見込めます。
また、熱による「水逆」(水を一気に吐いてしまう嘔吐のこと)を治す働きがあり、吐き気を止める効果もあります。
「五苓散」1-2回分を少量のお湯に溶かし、冷やしたスプーンでゆっくりと飲むことがコツです。食前もしくは食前にあたる時間に内服するようにします。
つわりで吐き気がひどいときに漢方薬を飲むのは大変かと思いますが、「五苓散」は口の中に入れば効果があるので、吐いてしまっても構わないです。
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
「こむら返り」や「突発痛」に対して、「芍薬甘草湯」(しゃくやくかんぞうとう)がおすすめです。
「芍薬甘草湯」は、筋肉の虚血による痛みをやわらげる効果があります。
妊娠中であれば、ふくらはぎがつってしまう「こむら返り」に効果的です。また、妊娠中に突発する「尿管結石」や「腰痛」「腹痛」「頭痛(天気に関係ない)」などの痛みにも有効です。
さらに、子宮の収縮による痛みをやわらげる作用があり、「切迫流産」「切迫早産」に対しても効果が期待できます。
痛みが起こった時に、「芍薬甘草湯」5gを屯用して使います。ただし、「芍薬甘草湯」を使いすぎると低カリウム血症などの副作用の危険性があるため注意が必要です。
大建中湯(だいけんちゅうとう)
妊娠中の「便秘」に対して、「大建中湯」(だいけんちゅうとう)がおすすめです。
妊娠中はホルモン環境の変化によって腸の動きが悪くなることに加えて、子宮の圧迫によって「便秘症」になりやすいです。便をやわらかくする作用のある「酸化マグネシウム」を最初に使うことが多いです。効果がいまいちの場合に、腸の動きをうながす作用のある「大建中湯」を使うと効果が期待できます。「お腹のハル感じ」や「腹痛」の改善効果もあります。
「大建中湯」15gを3回に分けて食前に内服(2包を1日3回内服)します。
乙字湯(おつじとう)
妊娠中の「痔」に対して、「乙字湯」(おつじとう)がおすすめです。
妊娠中は便秘になりやすく、排便するのに時間がかかってしまったり、便が硬くなることから「痔」になりやすいです。また、妊娠にともなって血流は増えて、大きくなった子宮の圧迫をうけて、血液が心臓に戻ってくる静脈の血液の流れが悪くなってしまいます。肛門のまわりの静脈の血液の流れも悪くなり「痔」になりやすいです。
「痔」に対して「注入軟膏」や「座薬」が使われますが、お腹が大きくなると使いにくくなります。そんなときに「乙字湯」の内服がおすすめです。
「乙字湯」は、「血」の流れを良くして、うっ血をとることで腫れをおさえる効果があります。「痔」に対して効果的であり、「痔からの出血」「肛門痛」「硬便」なども改善する効果があります。
ちなみに「乙字湯」には妊婦に慎重投与である「大黄」という生薬が含まれているが、実際には妊娠経過に影響がなく安全性に関して問題ないと考えられます。
まとめ
- 妊娠経過が安定するために「当帰芍薬散」がおすすめです。
- 「つわり」や「悪阻」に対して「五苓散」がおすすめです。
- 「こむら返り」や「突発痛」に対して「芍薬甘草湯」がおすすめです。
- 「便秘」に対して「大建中湯」がおすすめです。
- 「痔」に対して「乙字湯」がおすすめです。
妊娠をした場合、くすりを使うことを必要以上に恐れてしまう人もいます。
とくに漢方薬は妊娠中に使ってもいいかどうかわからず、使用をためらう場合が多いかと思います。
もちろん必要のないくすりは使わないことは大切ですが、必要なくすりは我慢しないでしっかり使うことも大事です。
担当医と相談して、症状をやわらげて妊娠中もより快適に過ごせるように、漢方薬を活用してみてはいかがでしょう。
この記事によって「妊娠中の症状におすすめの漢方薬」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
コメントを残す