結論ですが、
社会経済的状況、地域の社会的・物理的環境、幼少期の成育環境が、健康に影響をあたえます。
この記事は「健康について関心のある」ヒトに向けて書いています。
自身の健康への疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「健康寿命を伸ばすための具体的な行動」がわかります。
突然ですが「健康」とはなんでしょうか?
普段当たり前に使っている「健康」という言葉ですが、
改めて「健康ってなにか」と考えると、その意味は意外と難しいです。
健康は良いこと
年を重ねてもいつまでも健康でいたい
病気にならないで健康でいたい
毎日が健康でいきいきとしていたい
あの人は健康的でいいね
など「健康」にはポジティブな印象があるかとおもいます。
これからは人生100年時代です。
長い人生をよりよく過ごすために「健康」について知ることが大切です。
そして「健康寿命」を伸ばすことがポイントになってきます。
2021年2月19日に、国立高度専門医療研究センター6機関の連携による「健康寿命延伸のための提言」が公開されました。
そこには、エビデンスに基づく「健康に過ごすための具体的な予防行動」が10項目に分けて提言されています。
みなさんが健康に過ごすために役立つ内容であり、順に説明していきたいと思います。
今回は「経済的状況・地域環境・成育環境と健康」について説明していきます。
この記事のまとめ
(健康に影響を与える要因)
1.社会経済的状況が健康に影響をあたえます。
2.地域の社会的・物理的環境が健康に影響をあたえます。
3.幼少期の成育環境が健康に影響をあたえます。
健康寿命延伸の提言とは
健康寿命延伸の提言とは
2021年2月19日に、国立高度専門医療研究センター6機関(※)の連携によって「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」が公開されました。
これは、日本人の健康寿命を伸ばすために必要な「予防行動」について提言されています。
健康寿命を伸ばすためには、「小児」「妊婦」「成人」「高齢者」など年齢や状態に応じて、さまざまな疾患を横断的に予防することが必要です。
しかし、予防について疾患横断的にまとめられたガイドラインや指針は今までなかったため、このような提言がされるに至りました。
健康寿命とは
「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。
出産して産まれてきてから、死亡するまでの期間を「寿命」と言います。
それに対して、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことを「健康寿命」と言います。
単に「寿命」を伸ばすだけでなく、「健康寿命」を伸ばすことが、人生をよりよく過ごすために重要になります。
健康寿命延伸のための10項目
健康寿命を伸ばすための具体的な予防行動などが10項目について提言されています。
いずれも国内外の様々な疫学研究やエビデンスに基づいたものになっております。
疾患横断的に健康を左右する「生活習慣」「生理学的要因」「社会的・物理的環境」について以下の10項目について提言されています。
いずれも、みなさんが日常生活の中で取り組める内容であり、健康に過ごすために是非とも実践して欲しいです。
今回は「経済的状況・地域環境・成育環境と健康」について説明していきたいと思います。
健康に影響を与える要因1.社会経済的状況
社会経済的状況が低いと、「死亡」「循環器疾患」「高血圧」「糖尿病」などの疾患、認知機能低下のリスクが高くなります。さらに、社会経済的状況と「生活習慣」や「健康行動」との間には関連があります。
社会経済的状況と生活習慣病
社会経済的状況が低いと、「高血圧」「糖尿病」「循環器疾患」などの生活習慣病リスクが高くなります。
社会的経済状況が低いと、健康リスクが上がる行動パターンをとる傾向にあることが知られています。具体的にいうと、「喫煙習慣」「不適切な食生活」「多量飲酒」「運動不足」など挙げられます。
また、健診や検診などの受診率は低い傾向にあり、経済的理由から医療機関への受診率は低い傾向にあります。さらに、健康に対する意識も低い傾向があります。
社会経済的状況が低いと、「高血圧」「糖尿病」「循環器疾患」などの生活習慣病リスクが高くなるのです。
社会経済的状況とがん
社会経済的状況が低いと、「がんの罹患率」「がんの死亡率」「進行がんで診断される確率」が高くなります。
社会的経済状況が低いと、「喫煙習慣」「塩分多い食生活」「多量飲酒」「ピロリ菌感染率が高い」傾向にあります。すると、「胃がん」「肝がん」「胆のうがん」などのリスクが上がり、がんの罹患率は高くなります。
さらに、社会的経済状況が低いと、検診受診率が低く、自覚症状から受診までの期間が長い傾向にあり、「進行がん」で診断される確率が高くなり、「がん死亡率」が高い傾向にあります。
社会経済的状況が低いと、「がんの罹患率」「がんの死亡率」「進行がんで診断される確率」が高くなるのです。
社会経済的状況とストレス
社会的経済状況が低いと、慢性的なストレスから、不健康な行動パターンやさまざまな疾患につながります。
社会経済的状況による「健康格差」を説明する重要なものとして、「慢性的な心理社会的ストレス」があります。社会的経済状況が低い状況によるストレスを解消しようと、「喫煙習慣」「不適切な食生活」「多量飲酒」などの不健康な行動につながります。また、慢性的なストレス自体によって、「糖尿病」「高血圧」「胃粘膜障害」「うつ病」「適応障害」などの疾患リスクが上昇します。
社会的経済状況が低いと、慢性的なストレスから、不健康な行動パターンやさまざまな疾患につながるのです。
健康に影響を与える要因2.地域の社会的・物理的環境
居住地の社会的環境と死亡リスクには関連があります。
また、「食生活の質」や「身体活動」は、地域の建造環境や社会的環境の影響を受けます。
自然環境の健康への影響
自然環境の変化によって、さまざまな健康への影響があります。
たとえば、地球規模でみると、「オゾン層の破壊」「環境資源の枯渇」「酸性雨」「地球温暖化」などが問題として挙がっています。
オゾン層の破壊にともない、紫外線の被曝量が増えて、「皮膚がん」や「白内障」などのリスクが増加します。さらに、有害紫外線が自動車や工場の排ガスに当たると「光化学スモッグ」が発生し、「目」「皮膚」「のど」などの粘膜障害や、重症例では意識障害を引き起こす場合があります。
自然環境の変化によって、さまざまな健康への影響があるのです。
地域環境の健康への影響
住んでいる地域によって「食生活」や「行動パターン」は変わり、さまざまな健康への影響があります。
たとえば、日本とアメリカでは食生活も違えば、文化も違うし、教育レベルも違うし、行動パターンも違ってきます。近年は日本も肉を中心とした食生活になってきており「食の欧米化」と言われており、「大腸がん」の罹患率が増加していることが有名です。
さらに同じ日本の中でも、北海道と東北地方では違うし、関東地方や九州・四国地方でも違います。寒い東北地方では、冬の間は「漬け物」などの保存食を食べる傾向にあり、塩分の摂りすぎによって「高血圧」患者が多いことが有名です。
住んでいる地域によって「食生活」や「行動パターン」は変わり、さまざまな健康への影響があるのです。
健康に影響を与える要因3.幼少期の成育環境
幼少期の社会的環境は、生涯にわたって健康への影響を及ぼします。
子どもの貧困
子どもの貧困によって、子どもへのさまざまな健康への影響があります。
日本の子どもの相対的貧困率は17%程度と言われており、約6人に1人は相対的貧困にあたる計算になります。世界的にみると高い値であり、増加傾向にあります。
子どもの貧困によって、「休日に朝食を食べない」「医療機関への受診を控える」「任意の予防接種を控える」「虫歯の割合が高い」「受動喫煙率が高い」傾向にあることが知られています。また、「食生活」や「教育環境」にも影響をあたえ、大人になった後にも健康状態への影響をあたえ、学力の格差につながり就労や将来の経済状況にも影響をおよぼします。
子どもの貧困によって、子どもへのさまざまな健康への影響があるのです。
子どもの社会的孤立
子どもの社会的孤立によって、子どもへのさまざまな影響があります。
以前とくらべると、日本社会全体的に地域における「つながり」が疎遠になっております。
ご近所付き合いが少なく、子どもを見守ってくれる大人の数が減っています。また、核家族化の影響や、離婚数の上昇などの影響から、家庭内における子どもと一緒に住む大人の数も減ってきています。
人との関り合いが減っていることで、基本的な読み書き話す能力、考える力、コミュニケーション能力、好奇心などのさまざまな能力が低い傾向になります。そのことが、教育レベルや健康に関して影響を与えます。
子どもの社会的孤立によって、子どもへのさまざまな影響があります。
いじめ・不登校・虐待など
子どものいじめ・不登校・虐待などの問題によって、子どもへのさまざまな影響があります。
近年日本では「いじめ」や「不登校」「ひきこもり」などは増えている。学校における「いじめ」や「不登校」によって、ますます子どもの社会的孤立は深まってしまいます。
さらに、健全なコミュニケーション能力を獲得するのが難しくなり、将来的に人間関係や就労などにおいて影響を与え続けるようになります。
また、「虐待」や「暴力」によって、子どもは心身ともにキズつくことになります。家庭内においては、健全な信頼関係や安心感を築くことが難しくなります。さらに、「虐待」や「暴力」がひどい状態になると、子どもが亡くなってしまう場合もあります。
子どものいじめ・不登校・虐待などの問題によって、子どもへのさまざまな影響があるのです。
まとめ
(健康に影響を与える要因)
1.社会経済的状況が健康に影響をあたえます。
2.地域の社会的・物理的環境が健康に影響をあたえます。
3.幼少期の成育環境が健康に影響をあたえます。
みなさんにとって「健康」というものがとても大切です。
しかし、普段の忙しい日常の中で、「自分のからだ」や「健康」について意識する機会はそう多くはないかと思います。
病気をしたときに、はじめて今まで「健康」で過ごせたことがありがたいを感じるようになる人が多いです。そして、病気をしたときには手遅れになっていることもあります。
「健康」である今、健康について考えておくことが必要なのです。
「健康」であることが、「仕事」「家事」「育児」「介護」「遊び」などすべての活動をおこなう上で前提となります。
「健康」であることが、何よりも大切なのです。
人生100年時代です!
長い人生をよりよく生きるために、「健康」について改めて考えてみてはいかがでしょう。
この記事によって、「経済的状況・地域環境・成育環境と健康」についての理解が深まり、一人でも多くの人が健康的に日々の生活を送ることを願っています。
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