AIDのリスク【5つ】

結論ですが、

AIDには、「近親婚」「遺伝病の発現」「生みの親・育ての親」「出自を知る権利」「精子ドナー」に関するリスクがあります。

この記事は「こどもが欲しい」と思っているヒトに向けて書いています。
婦人科受診に関する疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「AIDのリスク」についてわかります。

AIDにはどのようなリスクがありますか?

このような疑問にお答えします。

ここ最近、晩婚化の影響を受け、妊娠・出産する年齢が高くなってきております。

加齢に伴って妊娠率は低下するという事実があるため、

「自分は妊娠する体なのだろうか…」と心配して「不妊症」に関して相談する人は多いです。

不妊治療を行う流れで、「人工授精」「AID」という言葉を目にするかと思います。

現在の日本で「AID」を行っている施設は少ないですが、海外の精子バンクを利用して個人的にAIDを行っている人もいます。
さらに、選択的シングルマザーや同性どうしのカップルで、どうしても子どもが欲しい人でにおいて「AID」をおこなうケースもあります。

こどもを授かるために「AID」が効果的な場面はありますが、そこにはさまざまなリスクもあります。

今回は、「AIDのリスク」について説明したいと思います。

「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
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この記事のまとめ

AIDとは

「AID」とは、「Artifical Insemination with Donor’s semen」の略です。
「Donor’s semen」とあるように、「AID」では夫以外の「男性ドナーの精液」を使用して、「人工授精」が行われます。
人工授精とは、排卵のタイミングに合わせて、夫の精液を調整したものを子宮の中に注入する方法です。

とくに「無精子症」など男性不妊で自然妊娠が望めない場合に「AID」が行われることがあります。

「AID」には、倫理的・生物学的・社会的リスクがあるため、現在の日本ではあまり普及していないです。

では「AIDのリスク」についてみていきましょう。

AIDのリスク1:近親婚の増加

AIDによって「近親婚」が増加します。

AIDによって、一人のドナー(精子を提供する人)による子どもが増えると、そのドナーから生まれた者どうしが結婚してしまう「近親婚」が増加することになります。
とくに「AID」ではドナーが特定されないように匿名にしている場合が多く、知らないうちに近親婚となってしまうリスクがあります。

つまり、AIDによって「近親婚」が増加するリスクがあるのです。

AIDのリスク2:遺伝病の発現増加

AIDによって「遺伝病の発現」が増加します。

くりかえしですが、AIDによって「近親婚」が増加するリスクがあります。
「近親婚」が増加すると、今まで潜在化されていた遺伝病が発現してしまうリスクがあります。
生物学的に血縁が近いものどうしでは、両親が保有する「劣性遺伝子」が子に伝わって発現する可能性が高く、先天性疾患などが起こりやすくなります。

つまり、AIDによって近親婚が増えると、「遺伝病の発現」が増加するリスクがあるのです。

AIDのリスク3:生みの親・育ての親

AIDによって出生した子どもは「生みの父親」と「育ての父親」が別になります。

AIDでは、精子を提供するドナーが「生みの父親」(生物学的な父親)となります。そして、ドナー提供を受けた母親のパートナーが「育ての父親」になります。

パートナーがいなくても子どもが欲しい「選択的シングルマザー」のケースでは、「育ての父親」がいなくなります。
さらに、AIDで妊娠した後に離婚してしまった場合でも「育ての父親」がいなくなることになります。
また、女性どうしの「同性カップル」では、パートナーが「生物学的な女性」が「育ての親」となるケースもあります。

つまり、AIDによって出生した子どもは「生みの父親」と「育ての父親」が別になる場合や、「育ての父親」がいないケースなどがあるのです。

AIDのリスク4:出自を知る権利

AIDによって出生した子どもの「出自を知る権利」が侵されてしまう可能性があります。

AIDでは、精子を提供するドナーの情報が特定されないようにしていることが多いです。
そのため、AIDで出生した子どもが大きくなった時に、「育ての親」でなく「生みの親」が誰なのかわからない場合がほとんどです。
すると、自分の出生に関する真実を知らないまま過ごすことになってしまいます。

とくに、「育ての父親」がいないケースだと、物心ついたときに、「誰が生みの父親なのか?」と疑問に思うことになるでしょう。

つまり、AIDによって「出自を知る権利」が侵されてしまうリスクがあるのです。

AIDのリスク5:精子ドナーのリスク

AIDでは、精子を提供するドナーにもリスクがあります。

AIDでは、精子を提供するドナーの情報が特定されないようにしていることが多いです。
しかし、AIDによる出生児の「出自を知る権利」が認められている流れがあるため、ドナー情報を開示する必要が出ています。
育ての親で何かしらのトラブルがあったときに、「精液を提供したドナー」に対して養育する義務が発生する可能性があります。

そうしたリスクから、日本国内では「精液を提供するドナーの数」が大きく減っています。

たしかに、積極的にドナーが精液を提供して、たくさんの子どもが生まれた時に、そのすべての子どもを養育しなければならないとなったら、時間も手間も半端なく負担がかかることになりますね。

日本国内では、このようなケースに対する法整備が不十分なため、「精液を提供したドナー」にかかるリスクは、はかりしれないものになります。

AIDでは、精子を提供するドナーにもリスクがあるのです。

まとめ

今回は「AIDのリスク」について説明しました。

今の時代、こどもはとても貴重です。

こどもがいないと、将来の日本が衰退してしまいます。
こどもが欲しいと思っている人をクリニックをあげて全力でサポートしたいと思います。

妊娠するための手段として「AID」が効果的な場面もありますが、AIDにはさまざまなリスク(生物学的にも、倫理的にも、社会的にも)があります。

とくに社会的なリスクに対しては法整備が欠かせません。
善意ある精子提供者に社会的なリスクがかかっては「AID」を安心して行うことは出来ません。

さまざまな意見がある「AID」ですが、そのリスクを理解・納得したうえで、受けたい人に対しても安心して受けられる体制も求められています。

この記事によって、「AIDのリスク」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

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