全女性への子宮体がん検診をあまりすすめない【3つの理由】

結論ですが

「子宮体がん検診」は必要があるときに受けるようにしましょう。

この記事は「健康に関心のある」女性向けに書いています。
この記事を読むことで「子宮体がん検診」についてわかります。

自分自身のからだの状態を知るために、定期的に健康診断など受けるかと思います。
その中で婦人科の検診を受けるときに「子宮頸がん検診」は皆さんにすすめられます。しかし、「エコー検査」や「子宮体がん検診」は、オプションで選択することが多いかと思います。
そのときに、オプションの検査を行うかどうか迷うかと思います。

結論をいうと「子宮頸がん検診」と「エコー検査」は是非とも受けるべきです。「子宮体がん検診」は必要があるときに受けるようにしましょう。

今回、「必要があるときに子宮体がん検診を受ける」ということについて説明します。

この記事のまとめ

  • 子宮体がん検診は、子宮の奥の方の「子宮体部」の細胞を採取して検査をおこないます。
  • 子宮体がん検診は「検査精度が不十分」「細胞が十分にとれない場合がある」「痛みをともなう」ため、全女性への検査はすすめられないです。
  • 「不正性器出血など症状がある場合」「子宮内膜が厚い場合」「リスクがある場合」などには子宮体がん検診をすすめます。

子宮体癌がん検診はどんな検査?

子宮は、子宮の入り口に近い「子宮頸部」と子宮の奥の方の「子宮体部」に分かれています。
子宮体がん検診は、子宮の奥の方の「子宮体部」の細胞を採取して検査をおこないます。
具体的にいうと、子宮の入り口から細長い器具を入れて、子宮の奥の方から子宮体部の細胞を採取してきます。そして、採取された細胞に異常ないかどうか顕微鏡でのぞく検査「子宮体部細胞診」が行われます。

全女性への子宮体がん検診をすすめない理由

検査精度が不十分

「子宮体部細胞診」は、感度は90%以上、特異度は84-100%、正診率が70-80%程度で、ぱっと見た感じ良さそうにみえます。
しかし、健康診断で無症状な女性全員に検査を行うとなると、残念ながら十分な検査精度とはいえないです。
「子宮体部細胞診」を用いた「子宮体がん検診」によって死亡率が減少するという判断する適切な証拠がないです。つまり、無症状の女性全員に「子宮体部細胞診」をおこなった場合、その子宮体がん検診の効果は残念ながら科学的に証明されていないです。

細胞が十分にとれない場合がある

子宮の入り口が狭くなっている場合や、子宮内膜が薄くなっている場合には、子宮内膜の細胞を十分に採取することが出来ない場合があります。
そうなると「検体不適正」となってしまい、検査結果を正しく判断できないことになります。

痛みをともなう

子宮体がん検診では、子宮の入り口から細長い器具を入れて、子宮の奥の方から子宮体部の細胞を採取してきます。そのときに「痛み」をともなうことが多いです。
とくに子宮の中が狭くなっている場合や、子宮が傾いている場合には、器具が通過しにくくなり、「痛み」をともないやすいです。また、ごく稀ではありますが、細長い器具によって子宮に穴があいてしまうこともあります。

子宮体がん検診をすすめる場合

先ほど見てきたように、子宮体癌がん検診は、無症状の女性全員に行うような検査ではないです。検査をおこなう人を「全員」でなく「絞る」ことが必要です。
では、どういった場合に子宮体がん検診をすすめるのでしょう。ここでは、子宮体がん検診をすすめる場合について説明します。

不正性器出血など症状がある場合

「不正性器出血」などの子宮体がんが疑われる症状がある場合には、子宮体がん検診をおこないます。とくに閉経後に性器出血をみとめる場合は、子宮体がんを疑って診察します。
また、「月経不順」などの生理の異常がある場合には、通常の生理に不正性器出血が隠れていることがあるため、一度は子宮体がん検診を行うようにしましょう。

子宮内膜が厚い場合

エコー検査で子宮や卵巣の形の異常など検査をします。
そのときに、子宮内膜が厚い場合には「子宮体がん」や前がん病変である「子宮内膜増殖症」などの可能性があります。子宮内膜が厚い場合には、子宮体がん検診を行いましょう。

リスクがある場合

子宮体がんになりやすい因子(リスク因子)として「肥満」「高血圧」「糖尿病」「ホルモン剤(とくにエストロゲン)の長期使用」「一度も出産経験がないこと」「子宮体がんの血縁がいること」などがあります。これら子宮体がんのリスクがある場合には、子宮体がん検診を行いましょう。
また、年齢が50歳以上の女性は、子宮体がんの発見率が高く、潜在的な有病率が高いため、一度子宮体がん検診を受けておくと良いでしょう。

まとめ

子宮体がん検診は、子宮の奥の方の「子宮体部」の細胞を採取して検査をおこないます。

子宮体がん検診は「検査精度が不十分」「細胞が十分にとれない場合がある」「痛みをともなう」ため、全女性への検査はすすめられないです。

「不正性器出血など症状がある場合」「子宮内膜が厚い場合」「リスクがある場合」などには子宮体がん検診をすすめます。

健康診断といえば、無症状だろうが何だろうが全員におこなう検査だと思います。しかし「子宮体がん検診」に関していうと少し考え違ってきます。

自分が本当に必要なのか考えて「子宮体がん検診」を受けるかどうか判断することが大切です。