結論ですが
がんに伴い「しゃっくり」がひどい場合は原因をみつけ症状が和らぐように対応します。
この記事は「がんに伴うしゃっくりで困っている」人に向けて書いています。
がんに伴う症状の悩みが解決できればと思っています
この記事を読むことで「がんに伴うしゃっくり」についてわかります。
「しゃっくり」はがん患者だけでなく、誰もが経験するものと思います。
とくにがんをわずらっている場合は、治療や病状の進行にともなって「しゃっくり」を経験することがあります。
「しゃっくり」は一時的ですぐにおさまることが多いです。
しかし、なかなか「しゃっくり」が止まらない場合は、「しゃっくりを100回すると死んでしまう」という迷信もあり心配になるかと思います。
たしかに「しゃっくり」があまりにも続くと、夜眠れなくなってしまったり、横隔膜の収縮が継続することになり体力を消耗してしまいます。
今回、なかなか止まらないような「がんに伴うしゃっくり」について説明していきます。
この記事のまとめ
- しゃっくりは、肺の下にある「横隔膜の収縮」によって起こります。
- しゃっくりの原因は、「胃の膨満」「横隔膜への刺激」「電解質異常」「薬物」などがあります。
- しゃっくりには、「原因の除去」「くすり」、「咽頭刺激」「前屈姿勢」「息こらえ」などの対応をします。
そもそも「しゃっくり」は何ですか?
しゃっくりは、肺の下にある「横隔膜の収縮」によって起こります。急な吸気と突然の声門の閉鎖が生じて、「ひっく」「ひくっ」などという音がなります。しゃっくりは「吃逆」(きつぎゃく)ともいわれます。
多くは、一時的で数分から数時間程度で収まりますが、ひどくなり持続的になると「不眠」や「衰弱」につながります。まれですが、「しゃっくり」が頑固に続くと自殺につながることもあります。
なぜ「しゃっくり」がおこりますか?
※吃逆の原因
胃の膨満:食道への逆流など
横隔膜への刺激:横隔神経の刺激など
電解質異常:低カリウム血症、低カルシウム血症など
薬物:アルコール、睡眠薬、オピオイドなど
胃の膨満
「しゃっくり」の原因として、「胃が膨らむこと」「食道への逆流」が一番多いです。
早食い・一気飲み・暴飲暴食などで胃が急に膨らむと横隔膜が刺激されて「しゃっくり」がおこります。なお、胃の上側に横隔膜は位置しています。
横隔膜への刺激
横隔膜の上に位置する「肺」の病変、横隔膜の下に位置する「肝臓」「胃」などの病変があって横隔神経が刺激されると「しゃっくり」がおこります。
画像検査などで横隔膜の近くに病変がないか確認します。
電解質異常
血液中の電解質に異常があると、筋肉のけいれんがおこりやすくなります。「しゃっくり」は横隔膜という筋肉のけんれんです。
血液検査で「低カリウム血症」「低カルシウム血症」などの電解質異常がないか確認します。
薬物
「アルコール」「睡眠薬」「オピオイド」などの薬物が「しゃっくり」につながります。
とくに「オピオイド」によって消化管の動きが悪くなり、胃に食物が停滞して胃の膨満につながるため「しゃっくり」が起こります。
「しゃっくり」にはどんな対応をしますか?
※しゃっくりの対応
原因の除去:胃の膨満の除去、電解質の補正、くすりの調整など
くすり:抗けいれん薬、筋弛緩薬、蠕動促進薬など
その他:咽頭刺激、前屈、息こらえ
原因の除去
しゃっくりの原因があればそれを除去します。
たとえば、胃が膨満しているようであれば胃の中の内容物を除去します。電解質異常があれば、点滴などで補正します。
また、原因となる薬物があれば量を調整したり、中止するなどの判断をします。
くすり
しゃっくりは「横隔膜のけいれん」が原因で起こります。「横隔膜のけいれん」をおさえる「抗けいれん薬」「筋弛緩薬」などが使われます。また、胃の膨満を予防するために、消化管の動きを良くする「蠕動促進薬」を使います。
その他
よく手指でのどの奥の方を刺激すると「しゃっくり」が止まるという言い伝えがありますが、のどの刺激である「咽頭刺激」は効果があります。医学的に行うと、カテーテルを鼻の穴から挿入して、咽頭部分を刺激するように往復すると「しゃっくり」が止まります。
また、「小さじ2杯のグラニュー糖」や「グラス2杯のリキュール」を素早く飲むという家庭療法も「咽頭刺激」を期待できます。
また、「前屈」や「膝を胸まで抱えた」姿勢となることで横隔膜の刺激をおさえることができます。
さらに、「息こらえ」や「紙袋をつかって再呼吸」する方法で血液中の炭酸ガスを上昇させてし吃逆反射をおさえることができます。
まとめ
しゃっくりは、肺の下にある「横隔膜の収縮」によって起こります。
しゃっくりの原因は、「胃の膨満」「横隔膜への刺激」「電解質異常」「薬物」などがあります。
しゃっくりには、「原因の除去」「くすり」、「咽頭刺激」「前屈姿勢」「息こらえ」などの対応をします。
「しゃっくりを100回すると死んでしまう」というのは迷信ですが、しゃっくりがひどくなり持続的になると「不眠」や「衰弱」につながります。まれですが、「しゃっくり」が頑固に続くと自殺につながることもあるため、あなどれないです。
「しゃっくり」には「吃逆」(きつぎゃく)という病名がついている通り立派な病気です。
「しゃっくり」がつづいて止まらない場合は、担当医と相談するようにしましょう。ただし、時間外の受診は慎重に判断してください。
この記事によって「がんに伴うしゃっくり」に対する理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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