結論ですが
産後に発熱をみとめた場合には、産婦人科受診をすすめます。
この記事は、「お産を終えた女性」向けに書いています。
産後のさまざまな疑問、不安などが解決できればとおもっています。
この記事を読むことで「産後の発熱」についてわかります。
ただでさえ産後は体力が落ちています。
さらに夜も授乳のため何回も起きなくてはならず寝不足だったり、慣れない育児で悪戦苦闘したりと、産後のコンディションは良くないことが多いです。
そんなタイミングで発熱して具合がわるくなると、育児ふくめてかなりしんどい状況になるかとおもいます。
今回は「産後の発熱」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- ①そもそも産後の発熱とは
- ②産後の発熱はまずこの3つをかんがえる。
- ③産後にたまたま発熱をきたす病気がおこっている可能性をかんがえる
そもそも産後の発熱とは
産後の発熱とは
そもそも産後の発熱とは体温何度以上でしょうか?
ちなみに産後の発熱は「産褥熱」(さんじょくねつ)といいますが、これは「産褥熱=子宮内膜炎」という狭い意味でも使われます。
産褥熱の定義ですが、「産後24時間以降から産後10日以内まで」の期間に2日間以上「38度以上の発熱」が続くことをいいます。
つまり、38度以上の発熱が2日間以上つづくようであれば、産婦人科の受診を相談しましょう。
産後の体温のはかりかた
いつも体温はどこで測っていますか?
体温を測る部分は「耳」「口の中」「おでこ」などいくつかありますが、おそらく多くの人は「わきのした」で測っているかとおもいます。
産後は乳腺が熱をもつことが多いので「わきのした」で体温を測ると高い値が出てしまいます。産後に体温を測るときは「わきのした」の代わりに「ひじ」にはさんでおこないます。
産後の「わきのした」で体温をはかると高い値が出るので注意が必要です。
産後の発熱はまずこの3つをかんがえる。
産後に発熱した場合には、まずは頻度の多いものからかんがえます。
それは、「子宮内膜炎」「乳腺炎」「尿路感染症」の3つです。
子宮内膜炎
「発熱」のほかに「お腹の痛み」「悪露の悪臭」などの症状がある場合には「子宮内膜炎」をうたがいます。
子宮内膜炎は産後発熱の原因として一番おおいです。そのため、「産褥熱=子宮内膜炎」という狭い意味でも使われます。
子宮内に「悪露」(おろ)や「胎盤の一部」「赤ちゃんを包んでいる膜の一部」などたまっていると、そこに細菌感染をおこして産後の発熱をきたします。
かつて、「産褥熱」は妊産婦死亡原因として多かったですが、抗生物質の普及とともに死亡数は大きく減少しました。適切な管理をしないと敗血症から死に至る可能性があるので重要疾患の一つと言われています。
診察で子宮内に残存物がたまっていれば除去したり、「抗生物質」や「子宮収縮薬」を使って治療します。
乳腺炎
「発熱」のほかに「乳房の痛み」「腫れ」「発赤」などの症状がある場合には「乳腺炎」をうたがいます。
乳腺炎は、母乳の流れが悪く乳腺の炎症が起こされる「うっ滞性乳腺炎」と、細菌感染による「化膿性乳腺炎」があります。
うっ滞性乳腺炎では、「乳房マッサージ」「授乳」「搾乳」などおこない、母乳のながれを良くします。葛根湯という漢方を使用すると母乳の出が良くなることもあります。母乳が詰まりやすい食事を避けるように指導されることもありますが、効果は賛否両論あります。
うっ滞性乳腺炎に細菌感染が起こり「化膿性乳腺炎」に進展することがあります。その場合は抗生物質も併用します。
尿路感染症
「発熱」のほかに「排尿時痛」などの症状がある場合には「尿路感染症」をうたがいます。
尿路感染症は、おしっこの通り道である「腎盂」「尿管」「膀胱」などに細菌が感染して起こります。
赤ちゃんの出口である「腟口」とおしっこの出口である「尿道口」が近いために産後に尿路感染症がおこることが多いです。
尿検査で、尿の色や混濁していないか確認したり、白血球・細菌がないか確認します。尿路感染症の治療は抗生物質を使用します。
ちなみに、化膿性乳腺炎や尿路感染症でつかわれる一般的な抗生物質は、授乳に影響ないものなので授乳中も安全に使うことが出来ます。
産後の発熱をきたす偶発疾患
産後の発熱では、頻度のおおい「子宮内膜炎」「乳腺炎」「尿路感染症」の3つを基本的にかんがえます。しかし、それらの可能性がひくい場合には、産後にたまたま発熱をきたす病気がおこっている可能性もかんがえます。
たとえば、「発熱」のほかに「せき」「鼻水」「のどの痛み」などの感冒症状がある場合には「急性上気道炎」(いわゆる風邪)をかんがえます。とくに冬の流行時期であれば「インフルエンザ」の可能性も考えます。
また、のどの痛みメインの「溶連菌感染」、血液のかたまりのできる「血栓症」、くすりにともなう「薬剤熱」など発熱をきたす病気はさまざまあります。
まとめ
産褥熱は「産後24時間以降から産後10日以内まで」の期間に2日間以上「38度以上の発熱」が続くことをいいます。産後は「わきのした」でなく「ひじ」で体温をはかりましょう。
産後の発熱は、まず頻度のおおい「子宮内膜炎」「乳腺炎」「尿路感染症」の3つをかんがえます。
産後にたまたま発熱をきたす病気がおこっている可能性もかんがえます。
産後のコンディションが良くない状態に発熱するとかなりしんどいと思います。
我慢せずに産婦人科を受診しましょう。
産後も体調を整えて育児に向き合えるひとが一人でも増えることを願っています。
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