結論ですが
疲労骨折とは、通常では骨折しない軽微な外力が繰り返し加わることによって引き起こる骨折のことです。
この記事は「女性アスリート」に向けて書いています。
女性アスリートのさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「疲労骨折」についてわかります。
- トレーニングが厳しすぎる!
- 走りすぎて足が痛みます!?
- じつは足を骨折してしまった!!
女性アスリートは、健康上の悩みを抱えていることが実は多いです。
そして「疲労骨折」もじつは女性アスリートに多いです。
競技パフォーマンスを上げるために、日々厳しいトレーニングに励んでいる女性アスリート。
そのために「疲労骨折」をおこしてしまうこともあります。
「疲労骨折」をすると、しばらくトレーニングをすることができなくなってしまい、とてもツライかと思います。
競技パフォーマンスを目指していくことは良いことですが、そこには「健康である」ということが前提だと思います。
とくに若い世代のアスリートは、将来の健康状態にも影響あたえる可能性があります。
この記事によって、健康的にスポーツを楽しむことができるような人が増えていったら幸いです
今回は、女性アスリートが陥りやすい健康問題である「疲労骨折」について説明していきます。
この記事のまとめ
- 疲労骨折とは、通常では骨折しない軽微な外力が繰り返し加わることによって引き起こる骨折のことです。
- 男性にくらべて女性アスリートは疲労骨折しやすく、競技レベルにかかわらず疲労骨折がおこります。
- 女性アスリートの3主徴と「疲労骨折」には密接な関係があるため、女性アスリートのヘルスケアがとても重要です。
疲労骨折ってなんですか?
「疲労骨折」とは、通常では骨折しない軽微な外力が繰り返し加わることによって引き起こる骨折のことです。一度の大きな外力によって起こる「骨折」と区別して「疲労骨折」とよばれます。
金属がくりかえし曲げ伸ばされると、金属が折れてしまう「金属疲労」のような状態が骨にも起こるのです。以前は、軍隊の行軍訓練で「中足骨」という足の骨が折れることが有名であり「行軍骨折」ともよばれていました。
疲労骨折が起こりやすい部位
下肢の骨に起こることが多く、「中足骨」(足の骨)、「脛骨」(すねの骨)、「腓骨」(すねの外側の骨)に多くみられます。また、野球などでは「尺骨」(ひじの骨)、ゴルフなどでは「肋骨」に起こることもあります。
疲労骨折が起こりやすい競技
じつは、疲労骨折がおこりやすい競技があります。
産婦人科学会と国立スポーツ科学センターの調査結果によると、競技特性別に疲労骨折の頻度をみると、
「持久系」(陸上長距離など) 26.4%
「審美系」(新体操など) 24.5%
「瞬発系」(競泳など) 21.7%
「球技系」(バスケットボールなど) 16.5%
「体重階級系」(柔道など) 11.3%
「技術系」(アーチェリーなど) 8.7%
と、とくに「持久系」「審美系」の競技で頻度高かったです。
競技レベルに関係なく疲労骨折はおこる
また、疲労骨折は競技レベルが高いアスリートに特有と考えられがちですが、実は競技レベルに関わらずに起こることがわかってます。
産婦人科学会と国立スポーツ科学センターの調査結果によると、競技レベル別に疲労骨折の頻度をみると、
「日本代表レベル」 14.8%
「全国大会レベル」 23.0%
「地方大会レベル」 20.7%
「その他のレベル」 17.5%
と、どの程度の競技レベルでも約15-20%程度でみられます。
「疲労骨折」の予防はトップアスリートだけでなく、すべての競技レベルのアスリートに対して取り組むべき課題となります。
女性アスリートは疲労骨折をおこりやすい
アスリートの疲労骨折の頻度を男女別にみると、海外の報告ですが男性で「1-3%」、女性で「10-12%」と女性アスリートで多くみられています。
なぜ、女性アスリートに疲労骨折がおこりやすいのでしょうか?
その理由として「女性アスリートの3主徴」と関係しています。
では、具体的にみていきましょう。
女性アスリートが疲労骨折をおこりやすい理由
女性アスリートが陥りやすい健康問題として「エネルギー不足」「無月経」「骨粗しょう症」の3つがあり、「女性アスリートの3主徴」と呼ばれています。
「女性アスリートの3主徴」が「疲労骨折」と関わっているのです。
エネルギー不足
正確には「利用可能エネルギー不足」です。「利用可能エネルギー不足」によって「骨の代謝異常」や「無月経」がおこり「疲労骨折」が起こりやすくなります。
具体的に言うと、食事などからとる「摂取エネルギー」から運動による「消費エネルギー」を引いた残りのエネルギーのことを「利用可能エネルギー」とよばれます。この「利用可能エネルギー」は、基礎代謝や日常生活に使うことができるエネルギーにあたります。「利用可能エネルギー」が不足すると、少ないエネルギーを有効活用するために体の中の生命活動の一部を縮小する方向になります。
すると、「骨の代謝異常」や「無月経」がおこり「疲労骨折」が起こりやすくなります。
無月経
無月経にともなって、「エストロゲン」(女性ホルモン)の分泌が低下し、骨量が低下するため「疲労骨折」が起こりやすくなります。
具体的にいうと、女性アスリートにおいて「利用可能エネルギー」が不足すると、脳から分泌される月経を調節しているホルモンが低下し、卵巣からの「エストロゲン」の分泌も低下して「無月経」につながります。
「エストロゲン」は骨の健康には欠かせないホルモンです。「エストロゲン」の分泌が低下するため、骨量などが減ってしまい「疲労骨折」が起こりやすくなります。
骨粗しょう症
骨量が減少し、骨の質が低下し、骨がもろくなり骨折しやすくなった状態のことを「骨粗しょう症」とよばれます。説明するまでもないですが、「骨粗しょう症」になると骨折しやすくなるため「疲労骨折」がおこりやすくなります
繰り返しになりますが、女性アスリートでは「利用可能エネルギー不足」や「無月経」によって「骨粗しょう症」につながります。そして、継続的なトレーニングによって「疲労骨折」が起こってくるのです。
まとめ
- 疲労骨折とは、通常では骨折しない軽微な外力が繰り返し加わることによって引き起こる骨折のことです。
- 男性にくらべて女性アスリートは疲労骨折しやすく、競技レベルにかかわらず疲労骨折がおこります。
- 女性アスリートの3主徴と「疲労骨折」には密接な関係があるため、女性アスリートのヘルスケアがとても重要です。
女性アスリートの場合、競技パフォーマンスの向上のために「厳しいトレーニング」や「食事管理」などが行われます。
アスリートが、生理が来ないのは当たり前だ!
体重が増えては競技成績が落ちる!!
疲労骨折するくらい練習しなければ!?
などと間違った考えの指導者も多いのも事実です。
女性アスリートの「健康」があってこその競技です。
「疲労骨折」などの故障は、からだへの危険信号のサインです。
故障によって、トレーニングできない期間はキツイかと思いますが、
一度自分自身の健康について考え直してみるのもいかがでしょう。
若い世代のアスリートが、長く健康的にスポーツを楽しめるように、スポーツを取り巻く環境がより良いものになることを願います。
また、最終的には自分のからだを守ることができるのは自分自身のみです。
しっかりとした知識をもち、スポーツと健康を両立できれば幸いです。
この記事によって、「疲労骨折」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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