妊娠していますがインフルエンザにかかってしまいました!!

結論ですが
インフルエンザが疑わしい場合は「産婦人科」を受診することをすすめます。

この記事は「妊娠中の女性」に向けて書いています。
妊娠中のさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「妊娠中のインフルエンザ」についてわかります。

最近は一段と寒くなってきましたね。
寒くなって、乾燥してくる、冬が近づくこれからの季節はインフルエンザが徐々に流行ってきます。寒く乾燥した空気は、インフルエンザだけでなく、他の風邪のウイルスも活発化し、風邪もとても流行ってきます。

子供の場合は、保育園・幼稚園・学校などで、友達からうつされてしまったり。
逆に友達にうつしてしまったりして、一気に感染が広がります。
そして、子供からうつされてしまい、風邪やインフルエンザで受診してくる親なども増えてきます。

今回「妊娠中にインフルエンザにかかってしまった場合」について説明していきます。

この記事のまとめ

  • 妊娠している時にインフルエンザにかかってしまうと、「母親自身の症状」だけでなく「妊娠経過」にも影響を与えます。
  • 重症化を予防するため、妊娠中でも「抗インフルエンザ薬」を使うことがすすめられます。
  • まわりにインフルエンザの感染を拡大させないように努めることも大事です。

インフルエンザとは

「インフルエンザ」は主に冬の時期に流行する「インフルエンザウイルス」による感染症です。「発熱」「さむけ」「頭痛」「関節痛」「筋肉痛」などの症状を認めます。
重症化すると、「インフルエンザ肺炎」や「インフルエンザ脳症」など引き起こし、意識障害や場合によっては死に至る事もあります。

妊娠中のインフルエンザによる経過

妊娠している時にインフルエンザにかかってしまうと、母親自身だけでなく妊娠経過にも影響を与えることが知られています。
インフルエンザ感染による炎症によって子宮収縮が誘発され、「流産」や「早産」になるリスクが上昇します。また、「低出生体重児」「胎児死亡」リスクが増加するというデータがあります。
また、妊娠していない人と比較すると妊娠していると、母親自身のインフルエンザによる症状が重症化しやすいです。

どこの科を受診するべきか

インフルエンザが疑わしい場合、どこの科に受診するか悩むかと思います。基本的には妊娠中であるのであれば「内科」ではなく「産婦人科」を受診することをすすめます。
なぜなら、インフルエンザにともない「流産」や「早産」につながるリスクがあるからです。「おなかのハリ」や「腹痛」「性器出血」などの症状を伴う場合は、「流産」や「早産」になりやすい状態かもしれないので、産科的な診察も受けるようにしましょう。
なお、産婦人科を受診する場合は、他の妊婦さんへの感染予防の観点から受診時間をずらすなどの指示を受ける場合が多いです。受診する医療機関に事前に確認するようにしましょう。

インフルエンザの診断

情報確認

インフルエンザによる「発熱」「さむけ」「頭痛」「関節痛」「筋肉痛」などの症状があるか確認します。また、まわりにインフルエンザにかかった人がいないか、その人がいつ発症したか、いつ接触したかなどの情報を集めます。そして、インフルエンザがどの程度疑わしいのか確認します。

検査

綿棒のようなもので、鼻の穴の奥の方から粘液を採取します。そして、その中にインフルエンザウイルスがいるか検査をします。迅速検査があり、すぐに結果がわかります。
ただし、発症から検査まで早すぎると、ウイルス量が少なくて、検出できない可能性があります。発症から12時間以上経過してからの検査がすすめられます。

妊娠中のインフルエンザの治療

治療薬を使うべきか

妊娠中は、発症から48時間以内に「抗インフルエンザ薬」を使用することがすすめられます。

とくに問題がない健康な成人であれば、インフルエンザは、自分の免疫で自然治癒していきます。ですので、リスクのない健康な人への「抗インフルエンザ薬」は必須の治療ではないとされています。
しかし、「抗インフルエンザ薬」を発症から48時間以内に使用することで、発熱期間の短縮・重症化予防する効果があるので、少しでも症状をはやく改善したい場合には使用しても良いかと思います。
「小さな子ども」や「高齢者」「妊婦」などでは、インフルエンザで重症化する可能性があります。インフルエンザの重症化を予防するために「抗インフルエンザ薬」を使うことをすすめます。ただし、実際には薬に伴う副作用の面と照らしあわせて考慮することになります。

治療薬 

インフルエンザの治療薬として、内服薬の「オセルタミビル」(タミフル®)、吸入薬の「ザナミビル」(リレンザ®)などがあります。これらの薬はインフルエンザウイルスの増殖を抑える効果があり、発熱期間を1-2日間短縮し、ウイルス排出量を減少し、重症化を予防する効果があります。
米国疾病予防局(CDC)では、妊娠中および産後2週間以内の人にインフルエンザ症状を認めた場合には、発症48時間以内のこれらの薬の投与が勧められています。
治療薬として他にも、点滴薬の「ペラミビル」(ラピアクタ®)、吸入剤の「ラニナミビル」(イナビル®)、「バロキサビル」(ゾフルーザ®)などがあります。
いずれの薬も妊婦への使用は有益性投与となっていますので、使用するかどうかは担当医と相談するようにしましょう。

治療薬の安全性について

以前「タミフル」に伴う異常行動が報道されたことがありました。最近の研究では、インフルエンザに伴う「熱せん妄」という状態の可能性が高いとされており、タミフルと異常行動との関連性はないとされています。異常行動の報告がされている10歳以上で未成年のインフルエンザ患者の場合は、家庭内で誰か看てくれる人がいて、患者一人にならないよう配慮することが必要です。
また、「ペラミビル」(ラピアクタ®)の添付文書に動物実験で流産早産リスクについて記載があります。「ラニナミビル」(イナビル®)は、112名の妊婦への投与では、妊婦およびその胎児いずれも有害事象はなかったと報告されています。また、「バロキサビル」(ゾフルーザ®)の添付文書に動物実験において高用量投与で流産・頸部過剰肋骨の報告があります。
いずれの薬も妊婦への使用は有益性投与となっていますので、主治医の判断で使用するかどうか判断されることになります。

感染を広げないようにするために

インフルエンザと診断された場合は、他の人にうつすのを予防するという点が大切です。
具体的には、外に出ず、家でしっかりと療養することで他の人にうつすのを予防しましょう。他の人にうつすのを予防するためにも、学校保健安全法には、「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」出席停止するという出席停止期間というのが規定されています。
学校に通っていない成人の場合はとくに規定はないですが、仕事を休む場合はインフルエンザの感染拡大を予防するためにも、それに準じて対応することが多いです。

まとめ

妊娠している時にインフルエンザにかかってしまうと、「母親自身の症状」だけでなく「妊娠経過」にも影響を与えます。

重症化を予防するため、妊娠中でも「抗インフルエンザ薬」を使うことがすすめられます。

まわりにインフルエンザの感染を拡大させないように努めることも大事です。

妊娠中はとくにインフルエンザにかかってしまうと大変です。症状が重症化しやすいことに加えて、下の子どもがある場合は、その世話が出来なくなったり、「流産」や「早産」の徴候がある場合には安静にしなくてはならなかったり、さまざまな生活への影響が出てきます。

そんなインフルエンザにかからないように、予防することが何よりも重要です。
たとえば、「予防接種」や「手洗い」「うがい」「マスク着用」「乾燥予防」「人混みを避ける」などの予防法があります。
妊娠中はとくにインフルエンザにかからないように予防対策をするようにしましょう。

この記事によって「妊娠中のインフルエンザ」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

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