更年期によくある5つの悩み【ヘルスケア】

結論ですが

更年期には、「からだの不調」や「環境の変化」などから様々な悩みが起こります。

この記事は「健康に関心のある人」に向けて書いています。
ヘルスケアに関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「更年期の悩み」についてわかります。

日本人の「閉経」の年齢は、平均で50歳であり、「閉経」の前後約5年間を「更年期」とよばれています。更年期には、女性ホルモンである「エストロゲン」が低下することで、多彩な「更年期症状」がおこります。
また、「更年期」の時期にはさまざまな「環境の変化」も原因で体調をくずしやすいです。

たとえば

  • 子供が就職などして自立したり、
  • 親の健康状態が悪化したり
  • さらに健康状態が悪くなり介護問題が出てきたり

など、さまざまなライフイベントを経験する時期になります。
つまり、更年期には「エストロゲンの低下による更年期の症状」にくわえて「環境の変化」も原因で体調をくずしやすいです。

今回は「更年期の悩み」について説明していきたいと思います。

この記事のまとめ

更年期障害の悩み

更年期症状

日本人の「閉経」の年齢は、平均で50歳であり、「閉経」の前後約5年間を「更年期」とよばれています。更年期には、女性ホルモンである「エストロゲン」が低下することで、多彩な「更年期症状」がおこります。
たとえば、「hot flush」(のぼせ、ほてり、発汗など)・手足の冷え・動悸などの「自律神経症状」、怒りやすい・抑うつ感・焦燥感・不眠など「精神神経症状」、腰痛・関節痛・肩こりなど「運動器症状」、吐き気・食欲不振など「消化器症状」、「その他」に疲労しやすい、頭痛、めまい、排尿障害、外陰部違和感、性交痛など様々あります。

骨や血管への影響

エストロゲンは「骨」や「血管」の健康にも影響しています。
エストロゲンの低下によって「骨量」が低下し「骨粗しょう症」となってしまいます。
健康な人であれば大丈夫なダメージでも、骨粗しょう症では骨折してしまうことがおこります。最悪、転んでしまうだけで「寝たきり」の状態につながることもあります。
また、エストロゲンは「血管」の健康にも影響しています。エストロゲンは、血管の弾力性を保つ作用や、コレステロールを下げる効果もあります。
エストロゲンが低下すると、血管が詰まったり、破れてしまうことにつながります。

健康への悩み

将来の健康のため、健康診断が行われます。その結果で自分自身の健康状態と向き合うことになるでしょう。
働いている人であれば、職場で毎年健診がおこなわれているかもしれません。働いていない人であれば、自治体などから健診の案内が届いて自分で受けにいくことでしょう。
更年期は将来健康に過ごせるかの「過渡期」ともいわれております。
将来の病気について現実的に考えるようにしましょう。そして、より病気になりにくい状態にするために、定期的に健康診断を受けて、そこでの指示などに従うようにしましょう。

メタボ健診

正式には「特定健診・特定保健指導」であり、いわゆる「メタボ健診」として知られています。「高血圧」や「糖尿病」などの生活習慣病や、「腹囲」「肥満」「喫煙習慣」などの有無から、将来の健康リスクを推定して、リスクに応じて保健指導を受けることになります。
40歳から74歳までが対象であり、更年期の時期にはすでにメタボ健診を受けているかと思います。

がん検診

がん診療の基本は「早期発見」・早期治療」です。「がん検診」では、がんを早期に見つけることが目的です。
「がん検診」にはさまざまな種類がありますが、効果が科学的に証明されているものは実は限られています。

科学的に効果が証明されているガン検診として、
「胃がん」「大腸がん」「肺がん」「乳がん」「子宮頚がん」の5つです。
推奨年齢になったら、これらの5つの「がん検診」を受けておくと良いでしょう。
ちなみに「子宮頸がん」の推奨年齢は20歳以上となっています。20歳以上のすべての女性は、是非とも子宮頸がん検診を受けましょう!

仕事の悩み

女性の社会進出にともなって、職場でも重要な立場になる人も多いかと思います。
とくに40歳後半から50歳にかけての時期は、スキル・経験が蓄積しているため、責任が多くなる管理職などの立場なる人も多いかと思います。
それに不随する人間関係に悩まされたり、休みを取りにくかったり、場合によっては部署の異動・転勤など悩みは尽きないと思います。

家庭の悩み


こどもの独立

現在は晩婚化により、子どもを産む年齢が高くなっています。
仮に「30歳」で子どもを産んだと仮定すると、自分が「50歳」になったときに子どもは「20歳」を迎えることになります。すると、40歳後半から50歳にかけての時期に、子どもの大学への進学や、就職などが重なることになります。
親元を離れて一人暮らしすることになって子どもがいなくなる生活になると、「寂しさ」や「空虚感」などを感じることになります。

介護問題

40歳後半から50歳にかけての時期にさしかかると、親の健康状態が心配になってきます。早ければ、親の介護問題がはじまることになります。病院への通院のサポートや、在宅での介護となると、時間的にも体力的にもとても負担がかかります。
また、親の健康上の問題を自分にうつしあわせ、自分の将来の健康のことに対する不安が掻き立てられたり、「人生のはかなさ」なども考えるきっかけにもなります。

嗜好品の悩み

「アルコール」や「喫煙」などの嗜好品との付き合い方で悩むこともあります。
職場でのストレスから、つい飲みすぎてしまって、まわりに迷惑をかけてしまったり。
寝る前に飲むくせがついてしまい、アルコールがないと眠れなくなって睡眠障害になってしまったり。
日本の女性は喫煙率は低いですが、「喫煙習慣」がついてしまった人は、まわりの人からの「禁煙圧力」から、ストレスを抱えることになります。
禁煙の大切さは自覚しているが、禁煙を成功させるのはとても大変です。
その葛藤や、うまく禁煙できないことにより大変なストレスとなるのです。

まとめ

今回説明したのは更年期の悩みのうちのほんの一部です。

更年期になると、

  • 更年期症状による症状で悩まされたり、
  • 仕事や家庭の環境の変化で悩まされたり、
  • 将来の健康上の不安から悩まされたり、

たくさんの悩みと付き合うことになります。

産婦人科医としては、とくに「更年期症状」「健康への悩み」に対してしっかりと支えられる存在でありたいです。
そして、その人のおかれている仕事や家庭環境などの状況をトータルで理解した上でサポートしたいと思います。

この記事によって「更年期の悩み」に対する理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。