結論ですが
重症患者の見分け方として「症状」「状態」「既往歴」などの情報が重要となります。
この記事は「患者さんの重症度を評価する医療従事者」に向けて書いています。
日々の医療業務に対する疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「重症患者の見分け方」についてわかります。
この患者さんは重症ですか?
このような疑問にお答えします。
毎日のクリニックでの業務をおこなっていると、電話で患者さんをみてくれないかという依頼が来ることがあります。
当院はレディースクリニックなので、もちろん重症患者をみることはできません。
しかし、電話での問い合わせで、重症患者がまぎれて来てしまうことがあります。
当院を受診してから、搬送先を探すことになる場合、患者さんが最適な医療が提供されるのに時間がかかってしまいます。
最悪なケースでは、その時間的遅れのせいで、手遅れになってしまう場合もあります。
では、重症患者を見分けるにはどのようにすればいいのだろう?
今回は「重症患者の見分け方」について説明します。
「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
https://www.miyanosawa-smile-lc.com/
まとめ
重症患者の見分け方1:症状
突然の腹痛
「突然の腹痛」の症状がある場合、重症患者である可能性が高いです。
腹部には、消化器・泌尿器・生殖器・血管などさまざまな臓器があります。
突然の腹痛には、腹部動脈瘤の破裂、卵巣のう胞の破裂・捻転(ねじれること)、異所性妊娠、虫垂の破裂憩室の破裂などの病気が考えられます。
また、腰痛を来すことが多いですが、尿管結石、腎梗塞などの病気も考えられます。
出血多量
出血多量の場合、重症患者である可能性が高いです。
とくに、産婦人科では、月経量が多すぎて、出血多量になっているケースがあります。
重度な貧血で輸血が必要な場合もありますし、緊急的に子宮全摘手術が必要となるケースもあります。
また、異所性妊娠などの妊娠関連の異常で、出血多量になっているケースも考えられます。止血のために緊急手術が必要となるケース、妊娠の継続が困難な状況になる可能性などもあります。
けいれん
けいれんの症状の場合、重症患者である可能性が高いです。
脳の病気の「てんかん」の症状として、けいれんが現れます。
また、脳血管障害や頭部外傷など重篤な病気が発生したときに、けいれんが起こる場合があります。
妊娠中のけいれんでは、妊娠高血圧症候群にともなう「子癇」(しかん)発作などもあります。
重症患者の見分け方2:状態
動けない
動けない状態の場合、重症患者である可能性が高いです。
原因はどうであれ、動けない場合には、自宅に帰すことができないため、入院が必要となります。
腹痛・胸痛などの症状がひどくて動けない場合は、重大な病気が隠れている場合が多いです。エコー、CT、MRIなどの検査で診断をしっかりとつけるとともに、迅速な治療を要する場合が多いです。
食べることができない
食べることができない場合、重症患者である可能性が高いです。
原因はどうであれ、食べることができない場合には、点滴などによって水分や最低限の栄養を補う必要が出てきます。
そうなると、自宅に帰すことができないため、入院が必要となります。
産婦人科では、つわり・悪阻、月経関連症状、迷走神経反射などが多いです。
激しい痛み
激しい痛みの場合、重症患者である可能性が高いです。
原因はどうであれ、激しい痛みがある場合には、痛みを改善しないと自宅で過ごすことが困難です。すみやかに痛みの原因が何なのか診断するとともに、原因を除去する必要があります。
原因がはっきりと分からない場合にも、重大な疾患が隠れていないか経過観察するとともに、痛みをコントロールする必要があります。
重症患者の見分け方3:既往歴
異所性妊娠
既往歴で「異所性妊娠」がある場合、再度、異所性妊娠になっている可能性があります。
一回、異所性妊娠にかかったことのある人は異所性妊娠にかかりやすいです。
クラミジア・淋菌感染などで異所性妊娠になりやすい状態、卵管の繊毛異常などで異所性妊娠を繰り返しやすい方は少なくないです。
ただし、異所性妊娠の手術で、両方の卵管が摘出した場合には、異所性妊娠の可能性は限りなく低くなります。
卵巣腫瘍
既往歴で「卵巣腫瘍」がある場合には、卵巣腫瘍が捻転、破裂などしている可能性があります。
卵巣が腫れているとフォローされている方が、腹痛を訴えている場合には、卵巣腫瘍がねじれてしまっている、破裂している可能性があり、手術による治療が必要となるケースが多いです。
巨大子宮筋腫
既往歴で「子宮筋腫」がある場合には、子宮筋腫が捻転、子宮筋腫による多量出血などの可能性があります。
とくに漿膜下子宮筋腫という、子宮の外側に存在する子宮筋腫の場合、ねじれて痛みを伴うケースがあります。
また、粘膜下子宮筋腫の場合、月経量が多くなり、ずっと出血が持続してしまうケースもあります。
まとめ
今回は「重症患者の見分け方」について説明しました。
なかなか電話だけの情報だけでは、重症かどうか判断がつきにくい場合もあります。
患者さんが重症にも関わらず、必死な思いで何とか受診してくるケースがあったりします。当院は救急対応できないため、すぐにしかるべき医療機関に紹介させて頂きます。
また、一見軽症だけれど、検査をするととんでもない重大な病気が見つかるケースもあります。
なかなか一筋縄ではいかないことが多いです。
この記事によって、「重症患者の見分け方」について理解が深まり、一人でも多くの人に役に立つことを願っています。
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