結論ですが
妊娠中にお腹が痛い場合には、かかりつけに受診を相談しましょう。
この記事は妊婦さん向けに書いています。
妊娠中のさまざまな疑問、不安などが解決できればとおもっています。
この記事を読むことで「妊娠中の腹痛」についてわかります。
お腹が痛い場合、どうすればいいのか判断に迷う場合があるかと思います。
すごく痛みが強すぎて我慢できない場合には、痛みをなんとかして欲しいのですぐに受診することが多いので大丈夫です。
しかし、痛みが微妙で受診するほどではなかったりする場合には、受診をするべきかどうか判断に迷うかと思います。
痛みの程度だったり、痛み以外の症状(頭痛、出血、破水感)などによって、早めに受診するべきなのか、自宅で様子をみてもいいものなのか判断されます。
妊娠中にお腹が痛い場合には、必ずかかりつけに受診をするべきかどうかも含めて相談するようにしましょう。
とくに「すぐに受診するべきか」「受診するとしたらどこの医療機関を受診するべきか」「家で様子をみて大丈夫なのか」など確認するようにしましょう。
今回は、「妊娠中期や後期にお腹が痛い場合どうすればいいのか」について説明していきます。
この記事のまとめ
- 妊娠中にお腹が痛い場合にはかかりつけに受診を相談しましょう。
- 妊娠中の腹痛の原因として、母児ともに命を落とす可能性がある見逃してはいけない病気が隠されていることがあります。
- 腹痛の原因をみつけるために「視診」「触診」「エコー」「モニター」「腟鏡診」「尿検査」「血液検査」などの検査をおこないます。
腹痛の原因はどのようなものがありますか?
妊娠中の腹痛の原因として、命を落とす可能性があり見逃してはいけない病気が隠されていることがあります。とくに「常位胎盤早期剥離」「子宮破裂」は母児ともに命を落とす可能性があります。
また、妊娠中にたまたま腹痛を来す病気にかかってしまった可能性もあります。
たとえば、婦人科疾患では「卵巣腫瘍茎捻転」「卵巣腫瘍破裂」「子宮筋腫」などあります。また、「虫垂炎」「憩室炎」「尿路結石」などの病気がおこってしまうこともあります。
常位胎盤早期剥離
常位胎盤早期剥離はおそろしい病気です。これは、お腹の中の赤ちゃんが出てくる前に胎盤が剥がれてしまう状態です。
胎盤は、母親から赤ちゃんに酸素や栄養を与える重要な臓器です。これが剥がれてしまうと、赤ちゃんは具合悪くなってしまい、最悪死亡してしまうことがあります。「常位胎盤早期剥離」を疑ったら赤ちゃんを早めに出す必要があります。
子宮破裂
子宮が裂けてしまう病気です。過去に子宮の手術をしたことがある人に起こりやすいです。
多くは陣痛が来た時に、子宮が陣痛に耐えられず裂けてしまって起こります。
「大量出血」や「赤ちゃんの具合が悪く」なる可能性があり、母児ともに命を落としうるこわい病気です。「子宮破裂」を疑ったら帝王切開で赤ちゃんを早めに出すとともに、修復可能であれば子宮の裂けた部分を修復する必要があります。場合によっては、子宮全摘出術が必要になることもあります。
切迫流産・切迫早産
赤ちゃんが早め(妊娠37週未満)に出てきてしまう可能性が高い状態のことを「切迫流産」「切迫早産」といいます。とくに妊娠22週未満を「切迫流産」、妊娠22週以降を「切迫早産」と呼ばれます。
「お腹のハル感じ」や「腹痛」「出血」などの症状をともなうことがあります。安静やハリ止めのくすりを使って治療します。
HELLP症候群
「妊娠高血圧症候群」という病気にともなうことが多いです。
とくに上腹部である「みぞおち」のあたりが痛みます。他にも「妊娠高血圧症候群」によって「血圧上昇」「頭痛」「目の前がチカチカする」などの症状があったり、血液検査で「肝障害」「溶血性貧血」「血小板低下」など認めます。
けいれん発作、血圧上昇によって脳出血、赤ちゃんの具合が悪くなる可能性があり、「HELLP症候群」を疑ったら赤ちゃんを早めに出す必要があります。
婦人科疾患
「卵巣腫瘍」や「子宮筋腫」など卵巣や子宮が腫れている場合、腹痛の原因になることがあります。
卵巣腫瘍がねじれたり(卵巣腫瘍茎捻転)、破裂すると激しい腹痛を来します。緊急手術が必要な場合があります。
また、もともと子宮筋腫がある場合、妊娠による体の変化のため子宮筋腫が炎症・変性して痛くなることがあります。また、筋腫の形によっては捻じれてしまたり、感染することによって痛くなることもあります。抗生剤による治療または緊急手術が必要な場合があります。
その他
妊娠中にたまたま腹痛をきたす病気がおこってしまう可能性も考えておく必要があります。妊娠する女性の年齢をかんがえると、腹痛の原因として「虫垂炎」「憩室炎」「尿路結石」などが比較的おおいです。
みつかった場合は、外科や泌尿器科と連携して診察や治療をすることになります。
腹痛があるときにどのような検査をしますか?
視診・触診
まずは、お腹をみて、触ったりしてどこが痛むのか確認します。
押して痛むのか、離したときに痛むのか、押したときにお腹に力が入るのかなど評価します。
エコー
腟口からエコーの器械を挿入したり、お腹の上からエコーを当てて検査します。
とくに「子宮の入り口の長さ」「胎盤の位置」「胎盤が剥がれていないか」「赤ちゃんの元気さ具合」「羊水の量」「子宮や卵巣・卵管など腫れていないか」などを評価します。
モニター
お腹にモニターをつけて、「赤ちゃんの心拍」と「子宮の収縮」をみます。
赤ちゃんが元気かどうか、子宮の収縮や陣痛やお腹のハリなどを評価します。
腟鏡診
「腟鏡」(クスコ)という器械を用いて、腟内や子宮の入り口付近を観察します。
破水や出血の有無などを確認します。
尿検査
蛋白尿や血尿の有無などを確認します。
血液検査
炎症反応・肝機能・血液の固まりやすさなどを評価します。
まとめ
妊娠中にお腹が痛い場合にはかかりつけに受診を相談しましょう。
妊娠中の腹痛の原因として、母児ともに命を落とす可能性がある見逃してはいけない病気が隠されていることがあります。
腹痛の原因をみつけるために「視診」「触診」「エコー」「モニター」「腟鏡診」「尿検査」「血液検査」などの検査をおこないます。
妊娠中期や後期にお腹が痛い場合には、母児ともに命をおとす可能性のある病気がかくれていることがあります。必ず、かかりつけに連絡して受診に関して相談しましょう。
そして、自分とお腹の中の赤ちゃんを守るために、指示をしっかりと守るようにしましょう。
妊娠中はなにが起こってもおかしくないです。
ただでさえ、妊娠中は生活するのもしんどかったり、食事など様々な気を付けなければならないことが多かったりと、ストレスがかかります。
パートナーや家族などまわりの人の手助けを受けて妊娠を乗り越えていきましょう。
一人でも多くの人が、安全に妊娠・分娩をむかえることが出来ることを願っています。
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