結論ですが
妊娠中にサプリメントをのむときには用法・用量を守りましょう。
この記事は「妊娠中の女性」に向けて書いています。
この記事を読むことで「妊娠中のサプリメント」についてわかります。
基本的には、1日に必要な栄養素は食事から摂取することが基本になります。妊娠していない場合であっても必要な栄養素を必要十分量とることが重要です。
どうしても食事のみでは不足してしまう栄養素、摂取しにくい栄養素もあります。そういった場合に、サプリメントをうまく活用することが有用です。
今回は「妊娠中にとくに意識したい栄養素とサプリメント」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 「鉄分」は妊娠期間中不足しがちなので積極的に摂取するようにしましょう。
- 「葉酸」は通常の食事では不足しがちです。妊娠する前からサプリメントなど利用して意識的に摂取しましょう。ただし葉酸摂取は1日0.4mgを目標として、通常の場合は1日1mg以上を超えないようにしましょう。
- 「ビタミンA」の過剰摂取に注意しましょう。また「ビタミンB6」はつわりの症状を軽くする効果があります。「ビタミンB1」は不足すると「ウェルニッケ脳症」が起こります。
鉄分
鉄分の摂取量
妊娠期間を通じて、貧血になりやすいです。
とくに「鉄欠乏性貧血」になりやすいため、妊娠期間中は鉄分を積極的に摂取するようにしましょう。
鉄分の1日摂取量の目安は、成人男性で「7.0mg」成人女性で「10.5mg」となっています。
男性よりも女性のほうが鉄摂取量がおおくなっていますが、成人女性には「月経」があるためより多くの鉄分が必要となっているからです。
また、妊娠期間の1日の鉄分摂取量は妊娠初期で「8-9mg」妊娠中期・後期で「21-22mg」産後「8-9mg」となっています。
妊娠初期では、月経はなくなるため鉄必要量は少なくなっています。
妊娠中期・後期になると「鉄欠乏性貧血」になりやすくなります。また、分娩時の出血に備えて鉄必要量は多くなります。
鉄分摂取の注意点
鉄分が効果的に吸収されるには「ビタミンC」が必要です。
また、赤血球が作られるときには「ビタミンB6」「ビタミンB12」「葉酸」が必要になるので、それらの摂取も意識しましょう。
また、紅茶・コーヒー・緑茶に含まれる「タンニン」や、穀物・野菜・果物に含まれる「フィチン」という成分は鉄の吸収を阻害するため摂りすぎに注意が必要です。
鉄欠乏性貧血の検査・治療
妊娠初期や後期に血液検査で「貧血」を確認するところが多く「ヘモグロビン」(Hb)という値をみて貧血を評価します。
「鉄欠乏性貧血」による貧血がおおく「鉄剤」による治療がおこなわれます。
ただ、「鉄剤」は胃に負担がかかるので、飲みにくいひともいます。その場合は、胃薬と一緒に飲んだり、「錠剤」でなく「カプセル」「粉薬」「シロップ」などに剤形を変更したりします。どうしても飲むのが難しいようであれば「注射」もあるので相談した方がいいでしょう。
葉酸
「妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月まで、葉酸を1日0.4mg摂取することで、児の神経管閉鎖障害発症リスクを低くすること」が期待できます。
「神経管閉鎖障害」は、先天的に脳や脊椎が形成されるときに発生する癒合不全のことで、無脳症・脳瘤・二部脊椎などが挙げられます。
葉酸を摂取するときのポイントは「妊娠前から摂取すること」です。
神経管の閉鎖は妊娠6週ころに完成するので、妊娠に気づいてからの葉酸摂取では時期が遅くなります。
また、葉酸は通常の食事では不足しがちな栄養素といわれています。妊娠する前から、サプリメントなど利用して意識的に摂取しましょう。
ただし葉酸の摂りすぎにも注意が必要で、摂取量は「1日1mg」を超えないようにしましょう。
ちなみに、過去に神経管閉鎖障害のある児を妊娠したことのある女性については、「医師の管理下に妊娠前から1日4-5mgの葉酸を摂取すること」で神経管閉鎖障害の発症リスクを低くすることが期待できます。
ただし、葉酸過剰摂取に伴う影響もあるので、必ず医師の管理下におこなうことが重要となります。
ビタミン
ビタミンは「脂溶性ビタミン」(A・D・E・K)と「水溶性ビタミン」(B・C)に分けられます。
水溶性ビタミンは過剰摂取すると尿中に排泄されますが、脂溶性ビタミンは過剰摂取するとと、体内に蓄積する可能性があり注意が必要です。
ビタミンA
とくに脂溶性ビタミンの「ビタミンA」は妊娠初期に過剰摂取すると「胎児形態異常」(赤ちゃんの臓器の形の異常)のリスクがあるため注意が必要です。
「ビタミンA」の耐用上限量は2700(ugRAE)とされております。
とくにレバーには100gあたりビタミンAが17000(ugRAE)含まれており、容易に摂りすぎてしまう可能性があり注意が必要です。
また、マルチビタミンのサプリメントを摂るときには、ビタミンAも一緒に多く摂りすぎてしまう可能性があり注意が必要です。
ビタミンAは不足すると「夜盲症」や「皮膚粘膜障害」「免疫低下」などにつながります。ビタミンAは足りなくても摂りすぎても良くないので、適正量を意識しましょう。
ビタミンB6
「ビタミンB6」はつわりの症状を軽くする効果があります。
つわりの場合、吐き気止めと一緒に処方される場合があります。
ビタミンB1
「ビタミンB1」は不足すると「ウェルニッケ脳症」を引き起こす可能性があります。
重症なつわり(悪阻)で、食事や水分がとれない場合には点滴による治療をします。そのときに「ビタミンB1」なども点滴に混ぜることが多いです。
まとめ
「鉄分」は妊娠期間中不足しがちなので積極的に摂取するようにしましょう。
「葉酸」は通常の食事では不足しがちなので、妊娠する前からサプリメントなど利用して意識的に摂取しましょう。ただし葉酸摂取は1日0.4mgを目標として、通常の場合は1日1mg以上を超えないようにしましょう。
「ビタミンA」の過剰摂取に注意しましょう。また「ビタミンB6」はつわりの症状を軽くする効果があります。「ビタミンB1」は不足すると「ウェルニッケ脳症」が起こります。
必要な栄養は食事から摂取することが原則です。
しかし、食事からはどうしても摂りにくい栄養素や不足しがちな栄養素などもありサプリメントをうまく活用することが大切です。
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