妊娠中ですがおすそがかゆいです!!【カンジダ腟症】

結論ですが

妊娠中に陰部がかゆい場合には、かかりつけの産婦人科を受診するようにしましょう。

この記事は「妊娠中の女性」に向けて書いています。
妊娠中のさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「妊娠中のカンジダ腟症」についてわかります。

  • 陰部がむずむずかゆい、、
  • 市販の薬を使っても良くならない、、
  • 妊娠中は市販の薬は使いたくない、、
  • かゆみは自然に良くならないし我慢するしかないのか、、

など悩んでいるあなた。

じつは、妊娠すると陰部のかゆみは起こりやすくなります。
今回説明する「カンジダ腟症」に加えて、「陰部のかぶれ」などが起こりやすく、陰部のかゆみにつながるのです。
妊娠中に陰部がかゆい場合には、無理をせずに普段妊婦健診で受診しているかかりつけに相談するようにしましょう。

今回は「妊娠中のカンジダ腟症」について説明していきたいと思います。

この記事のまとめ

  • 妊娠中はカンジダ腟症になりやすいです。
  • カンジダは赤ちゃんへの産道感染の可能性があります。
  • カンジダ腟症の治療は、「腟内洗浄」「抗真菌薬」「かゆみ止め」などが使われます。

妊娠中におすそがかゆい時には

妊娠中におすそがかゆい時には、「陰部のかぶれ」や「カンジダ腟症」が原因のことが多いです。
妊娠をすると様々な体の変化が起こりますが、その中でも「おりもの」の量が増えるからです。おりものの増加によって「陰部のかぶれ」がおこりやすくなり、陰部のかゆみにつながります。
また、妊娠中は「エストロゲン」という女性ホルモンが高い状態になります。すると、カンジダの栄養分である「グリコーゲン」が増加するなど腟内環境が変化し「カンジダ」が増殖しやすい環境になります。さらに妊娠中におりものが増えると陰部がジメジメした環境になりやすく、カビの一種である「カンジダ」は増殖しやすくなり、「カンジダ腟症」になりやすいのです。 

カンジダの赤ちゃんへの影響

妊娠中にカンジダ腟症である場合、経腟分娩するときに産道感染によって赤ちゃんに「カンジダ」が感染する可能性があります。
赤ちゃんにカンジダ感染すると、「鵞口瘡」(がこうそう)とよばれる口腔カンジダになる可能性があります。これは、口の中の「頬の内側」や「舌」「歯ぐき」などに白いカスのようなものが付着します。ミルクかすに似ていますが、ぬぐっても取ることが出来ないです。自然治癒する場合が多いですが、治療には抗真菌薬の口内塗布など行います。

カンジダの検査

「陰部のかゆみ」や「おりもの異常」などの症状があれば、おりものにカンジダが存在していないか検査を行います。
ただし、妊娠中の場合には無症状であっても、赤ちゃんへの感染予防の観点から、分娩予定日近くになったら、産道にカンジダが存在していないか検査を行います。
具体的にいうと、妊娠36週前後くらいに腟内や肛門周囲の粘液を採取して培養検査をおこないます。この時に「カンジダ」と一緒に「GBS」という菌が存在していないか同時に確認することが多いです。これも産道感染を起こし赤ちゃんに感染する可能性があります。
ちなみに「GBS」という菌が赤ちゃんに感染すると「肺炎」「髄膜炎」「敗血症」などを引き起こし、重症化すると神経学的後遺症や死亡に至る可能性があります。産道感染を予防するために、陣痛が来たり、破水が起こって分娩が近くなったら、抗生剤の点滴を使用します。

カンジダ腟症の治療

カンジダの治療は、「腟内洗浄」とカンジダをやっつける作用のある「抗真菌薬」を用います。抗真菌薬は基本的には「腟錠」や「軟膏」を用います。
また、かゆみがひどい場合には、「かゆみ止め」の塗り薬も併用します。
妊娠中でない場合には、検査でカンジダが存在していることがわかっても、とくに症状がなければ治療を行わないことが多いです。

まとめ

・妊娠中はカンジダ腟症になりやすいです。

・カンジダは赤ちゃんへの産道感染の可能性があります。

 ・カンジダ腟症の治療は、「腟内洗浄」「抗真菌薬」「かゆみ止め」などが使われます。

ところで、あなたは「常在菌」(じょうざいきん)という言葉はご存知でしょうか?

字のとおりですが、「常在菌」とは常に存在している菌ということです。
腟内は、ラクトバチルス属で乳酸菌の一種である「デーデルライン桿菌」と呼ばれる菌が常在菌として存在しています。その菌がいるおかげで、他の菌からの感染を防いでくれています。詳しくいうと、乳酸菌が腟上皮のグリコーゲンを利用して乳酸を産生します。すると、腟内は酸性の環境になり、他の菌からの感染を防いでくれているのです。これは「腟内の自浄作用」とよばれます。
ちなみに、常在菌は、腟内以外にも「皮膚表面」や「腸」など体のあらゆる場所の表面(空気と接する場所)に存在しており、悪さをする他の菌からの感染を防ぐなどの重要な働きをしています。

「ヒト」は「菌」との共生によって成り立っているとも言えるでしょう。

この記事によって、「妊娠中のカンジダ腟症」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

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