結論ですが
「常在菌」とは、ひとのからだに「常に存在している菌」のことです。
この記事は「健康に関心のある」ひとに向けて書いています。
「常在菌ってよく聞くけどなんだろう?」という疑問が解決できればと思っています
この記事を読むことで「常在菌」についてわかります。
あなたは「細菌」と聞くとどんなイメージを持ちますか?
「細菌」と聞くと、感染して悪さをするというイメージがあるかと思います。
じつは、細菌の中にも「良い菌」「悪い菌」がいます。
また、普段はおとなしい菌でも、「状況によっては悪さをする菌」などもいます。
自然界に存在する菌は無数にあります。
そして、ひとのからだに「常に存在している菌」がいます。
その菌のことを「常在菌」(じょうざいきん)とよばれます。
「常在菌」ってなんだろう?
この疑問にお答えします。
今回は「常在菌」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 常在菌とは、ひとのからだに「常に存在している菌」のことです。
- 皮膚常在菌は、皮膚の感染症やニキビなどの「肌トラブル」と関係しています。
- 口腔内常在菌は、虫歯や歯周病などの「口の中の病気」や「誤嚥性肺炎」と関係しています。
- 腸内細菌は、「便秘」「下痢」「肥満」「アレルギー」、「食中毒」「敗血症」などと関係しています。
- 腟内常在菌の「自浄作用」によって他の菌からの感染を防いでくれていますが、それが崩れると腟内感染症につながります。
常在菌とは
あなたは「常在菌」(じょうざいきん)という言葉はご存知でしょうか?
字のとおりですが、「常在菌」とは、ひとのからだに「常に存在している菌」のことです。
とくに、ひとのからだのうち表面の部分(空気と接する部分)に常在菌は生息します。たとえば、「皮膚」「口腔内」「腸内」「生殖器」なども部分に生息します。
常在菌は、基本的には人の健康に影響を与えず、共生関係にあるものを指します。しかし、免疫力の低下などによって、「日和見感染」(ひよりみかんせん)を起こすこともあります。それと逆に、常在菌が安定して存在することによって、侵入してきた病原菌の繁殖をおさえ、発病を予防する効果もあります。
皮膚常在菌
皮膚の表面には「ブドウ球菌」「アクネ菌」など約200種類、100万個以上の常在菌が存在すると言われています。
「表皮ブドウ球菌」は、皮膚を弱酸性に保ち、「黄色ブドウ球菌」や「アクネ菌」の繁殖や臭いをおさえる働きをしています。
また、「アクネ菌」は皮脂のバリアをつくり、病原体や紫外線などから肌を守っています。
ただし、からだのコンディションが悪く免疫力が低下すると、「表皮ブドウ球菌」は皮膚の感染症の原因に、「アクネ菌」はニキビの原因になります。
肌トラブルの原因は、皮膚の常在菌とかかわりがあるのです。
口腔内常在菌
口の中には「ミュータンス菌」など約700種類・1000億個以上の常在菌が存在すると言われています。
生まれたばかりのときには無菌状態ですが、「口移し」「食器の共有」などによって、親や周囲の人たちの唾液が口の中に入ることによって定着します。
「ミュータンス菌」は「歯垢」(プラーク)となって歯の表面に付着し、「虫歯」や「歯周病」の原因となります。
また、歯みがき習慣がなかったり、加齢とともに咀嚼(そしゃく)が弱くなり唾液の分泌量が少なくなると、口の中の常在菌のバランスが崩れてしまって、虫歯や歯周病など「口の中の病気」につながります。
さらに、口腔ケアが不十分で口の中の衛生状態が悪いと、「誤嚥性肺炎」(ごえんせいはいえん)につながります。とくに高齢者では、命をおとしてしまう可能性があります。
腸内常在菌
腸の中には「大腸菌」「乳酸菌」など約400種類、100兆個以上の常在菌が存在すると言われています。
腸内細菌は、「腸内フローラ」とよばれる細菌のかたまりを作っています。ちなみにフローラとは「お花畑」のことです。
「栄養の供給」「食べ物の消化の手助け」「感染予防」など、ひとが生きる上で重要な役割をしています。
この腸内細菌のバランスが崩れると、「便秘」「下痢」「肥満」「アレルギー」、感染症になると「食中毒」「敗血症」(全身に感染が広がること)などの病気につながります。
腟内常在菌
婦人科領域において、腟内の感染症を扱う場合、「腟内常在菌」が重要な役割をします。
腟内は、ラクトバチルス属で乳酸菌の一種である「デーデルライン桿菌」とよばれる菌が常在菌として存在しています。その菌がいるおかげで、他の菌からの感染を防いでくれています。詳しくいうと、乳酸菌が腟上皮のグリコーゲンを利用して「乳酸」を産生します。すると、腟内は酸性の環境になり、他の菌からの感染を防いでくれているのです。これは「腟内の自浄作用」とよばれます。
免疫力が低下したり、抗生剤の使用などで「腟内常在菌」のバランスが崩れると、「細菌性腟症」「腟カンジダ症」などの感染症につながります。
まとめ
- 常在菌とは、ひとのからだに「常に存在している菌」のことです。
- 皮膚常在菌は、皮膚の感染症やニキビなどの「肌トラブル」と関係しています。
- 口腔内常在菌は、虫歯や歯周病などの「口の中の病気」や「誤嚥性肺炎」と関係しています。
- 腸内細菌は、「便秘」「下痢」「肥満」「アレルギー」、「食中毒」「敗血症」などと関係しています。
- 腟内常在菌の「自浄作用」によって他の菌からの感染を防いでくれていますが、それが崩れると腟内感染症につながります。
これまでみてきたようにヒトのからだには「菌」がとても身近にあります。
そして、古くから生活の中に「菌」があります。
生活の中において…
食品を「醗酵」(はっこう)するのに使われたり、
アルコール飲料をつくるのに使われたり、
「菌」はさまざまな役割をします。
そして、時には「腐敗菌」によって食品が腐ってしまい、食中毒などにつながることもあります。
菌は「良い面」も「悪い面」もあります。
それらをひっくるめて、「ヒト」は「菌」との共生によって成り立っているとも言えるでしょう。
この記事によって「常在菌」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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