結論ですが
NT検査では、赤ちゃんの首の後ろのむくみを測定する検査のことです。
この記事は妊娠中の女性に向けて書いています。
妊娠中のさまざまな悩み・疑問・不安などが解決できればとおもっています。
今回は「NT検査」を受けるかどうか悩んでいる人に対しての記事です。
妊娠したときに、ネットやまわりから様々な情報が入ってくるかと思います。
そして、赤ちゃんの首の後ろむくみで、赤ちゃんの先天異常がわかるなどの情報も飛び交っています。
自分のこどもは大丈夫かしら…
と不安になって受診するケースも多いです。
今回説明する「NT検査」では赤ちゃんの首の後ろむくみ(NT)を測定します。
しかし、NT検査は万能ではなく、あくまで一部の染色体異常の確率がわかるのみです。
情報が飛躍してしまって「赤ちゃんの首の後ろむくみによって先天異常のすべてがわかる」みたいな誤解も少なくありません。
NT検査はあくまで「非確定的検査」です。それについても説明していきます。
今回は「NT検査」を受けるか悩んでいる人に向けて、検査の基本的なことや、検査の流れなどについて説明してます。
この記事のまとめ
- NT検査は、出生前検査のひとつであり、お腹の中の赤ちゃんの首の後ろのむくみをみる検査です。
- NTを測定することで、「21トリソミー」(ダウン症)・「18トリソミー」・「13トリソミー」などの染色体異常の罹患率を計算することができます。
- NT検査は「非確定的検査」に分類されます。
- NT検査は「妊娠11週0日」から「妊娠13週6日」までの間にできます。
NT検査ってなんですか?
「NT」とは、Nuchal Translucencyの略であり、胎児項部透過像を指します。
NT検査は、出生前検査のひとつであり、お腹の中の赤ちゃんの首の後ろのむくみ(NT)をみる検査です。NTを測定することで、「21トリソミー」(ダウン症)・「18トリソミー」・「13トリソミー」などの染色体異常の罹患率を計算することができます。
NTはすべての赤ちゃんにみられる
首のうしろのむくみ(NT)は、すべての赤ちゃんにみられます。
NTが厚くても赤ちゃんが正常か異常か判別することは出来ません。
「NT」は妊娠初期の限られた時期に正常・異常に関わらず、お腹の中の赤ちゃんにみられる所見なのです。
NT自体が病気というわけではなく、妊娠初期特有の赤ちゃんの生理的な変化なのです。はじめはNTが厚くなっていても、途中で目立たなくなったり、消失することも多いです。
NT検査で何がわかりますか?
NTを測定すると「21トリソミー」(ダウン症)・「18トリソミー」・「13トリソミー」などの染色体異常に罹患している確率を計算することができます。
一般的にNTが厚いと染色体異常の確率も上昇しますが、あくまで「非確定的検査」です。染色体異常の確率しか算出することが出来ません。染色体異常など確定するためには「確定的検査」である羊水検査などが必要になります。
たとえNTが厚くなっていても、染色体異常とは限らず、先天性の心疾患や骨異常などが潜んでいる場合もあります。なお、NTの厚さは赤ちゃんの大きさにも関係するため、赤ちゃんの頭からおしりまでの測定(頭殿長)も重要になります。
確定検査と非確定的検査
NT検査は「非確定的検査」に分類されます。
出生前検査には「非確定的検査」と「確定的検査」に分かれます。
非確定的検査
非確定的検査は、お腹の中の赤ちゃんへの負担がないですが、あくまで染色体異常の可能性が確率でわかるのみです。確定的検査の結果をふまえたうえで確定検査をするかどうかの判断するための検査という位置づけとも言えるでしょう。
非確定的検査には「NT検査」以外にも、「NIPT」(Non Invasive Prenatal Testing)「母体血清マーカー検査」があります。
確定的検査
確定的検査は、一定確率で流産などの危険性がありお腹の中の赤ちゃんへ負担がかかる検査ですが、染色体異常の有無などほぼ100%わかることができます。
確定的検査には「羊水検査」「絨毛検査」などがあります。
実際にNT検査を行いたいです
NT検査はいつできますか?
「妊娠11週0日」から「妊娠13週6日」までの間に施行することができます。
NT検査はどのように行われますか?
エコーの検査をおこないます。
NTは微細な構造であるため測定に時間がかかることもあります。また、赤ちゃんの姿勢によっては測定できないこともあります。
NTだけでなく「鼻骨」「三尖弁血流」「静脈管血流」の測定を組み合わせて行う場合もあります。
費用はどのくらいかかりますか?
医療施設にもよりますが、おおよそ「1万円から2万円」くらいです。
まとめ
- NT検査は、出生前検査のひとつであり、お腹の中の赤ちゃんの首の後ろのむくみをみる検査です。
- NTを測定することで、「21トリソミー」(ダウン症)・「18トリソミー」・「13トリソミー」などの染色体異常の罹患率を計算することができます。
- NT検査は「非確定的検査」に分類されます。
- NT検査は「妊娠11週0日」から「妊娠13週6日」までの間にできます。
出生前検査は以前はなかった検査です。
医療の進歩はすごいもので、この出生前検査を受けようとおもえば誰でも受けられるような時代になっています。
検査をうける選択肢が増えるということは、良いことのように思えますが、逆に選択肢が増えることで検査を受けるべきかどうするかという悩みも増えることにもなります。
また、「NT検査」ふくめ「出生前検査」をうけたからといってすべての先天性疾患がわかるわけではないということを頭に入れておきましょう。
前提として、産まれてくる赤ちゃんの「3-5%程度」は何かしらの先天性疾患をもっています。
出生前検査でわかるものは、先天性疾患の原因の「染色体異常の一部」のみです。
つまり、検査で問題なかったとしても、検査ではわからない他の先天性疾患の可能性はあります。
出生前検査は命の選別にもつながる検査でもあるので、その検査の重みを十分理解してください。
そして、出生前検査を受ける前に十分な説明・カウンセリングを受け、納得した上で検査を受けてください。
この記事によって「NT検査」の理解が深まり、一人でも多くの人の役に立つことを願っています。
コメントを残す