手術のキズをきれいに治すには【5つのポイント】

結論ですが

キズをきれいに治すために「患者自身でできること」「医師ができること」があります。

この記事は「手術のキズをきれいに治したい」ひと向けに書いています。
この記事を読むことで「手術のキズをきれいに治すにはどうすればいいか」わかります。

手術によってお腹のキズが目立つ場合、

水着になるのが恥ずかしかったり…
温泉に行くときにタオルで隠しながら…

なんてことも。

婦人科の手術はとくに若い人が多いです。
キズはできるだけキレイになおして目立ちにくくしたいものです。

最近では「腹腔鏡手術」や「ロボット手術」などの低侵襲手術が普及してきており、以前と比べるとキズは小さくなってきています。
しかし、ちいさなキズであっても、キレイになおすことが重要です。

今回は「手術のキズをきれいに治すにはどうすればいいか」について説明していきたいと思います。

この記事のまとめ

  •  キズをきれいになおすためには「患者自身でできること」と「医師ができること」があります。それぞれのポイントを5つに絞って説明していきます。
  • 患者自身でできることとして「持病のコントロール」「体重のコントロール」「喫煙者は禁煙を」「十分な栄養」「キズのセルフケア」があります。
  • 医師ができることとして、「術式を計画する」「キズをデザインする」「除毛する」「感染を予防する」「適切に縫合をする」ことがあります。

患者自身でできること 

  • ①持病のコントロール
  • ②体重のコントロール
  • ③喫煙者は禁煙を
  • ④十分な栄養
  • ⑤キズのセルフケア

持病のコントロール

もともと通院している病気がある場合はしっかりとコントロールすることが重要です。
とくに糖尿病がある場合、コントロールが不良な場合は感染しやすくなります。
また、キズがうまく治るためには十分な血流が必要ですが、血流も不十分になってしまいます。
すると、キズの部分に感染がおこる「創部感染」がおこってしまったり、キズが開いてしまう「創部離開」がおこる可能性が高くなってしまいます。
持病がある場合は、手術にそなえてしっかりとコントロールすることが重要です。

体重のコントロール

やせすぎや肥満の場合には、しっかりと体重コントロールすることが大切です。
とくに肥満で皮下脂肪が厚い場合には、皮膚に溝ができてしまい、キズの部分が不衛生になってしまって「創部感染」につながります。
また、キズに過度な緊張などのダメージが加わりやすく「創部離開」にもつながります。
手術を予定する場合には、できるだけ体重をコントロールすることが重要です。

喫煙者は禁煙を

手術を予定する場合には、喫煙者はかならず「禁煙」しましょう。
たばこの成分には、血管を収縮させるものが含まれています。
キズがうまく治るためには十分な血流が必要です。血流が不十分になると「創部感染」「創部離開」につながります。
キズ以外にも喫煙の影響はでてくるので、手術の予定が決まったらかならず「禁煙」しましょう。

十分な栄養

術後の食事の許可がでたら栄養バランスの良い食事をこころがけましょう。
キズがうまく治るためには十分な血流と血流中に十分な栄養があることが重要です。
基本的には入院中は病院の栄養バランスのとれた食事が出てくるので問題ないですが、退院後は栄養バランスの良い食事を自分自身でこころがけることが大切です。

キズのセルフケア

キズをきれいに治すためにキズの部分を被覆しておくことが重要です。
創傷治癒のために創部を「湿潤環境」にすることが良く、キズの部分を被覆することで実現できます。
また、キズの部分に紫外線や微細な粉塵などダメージが与えられるとキズあとが変色する原因になります。なので、キズの部分を被覆して保護することが大切です。
創部をキレイに治すためのテープ、ケアテープ、シリコン素材のものなどさまざまな被覆材がありますが、自分にあったものを選びましょう。
被覆材の使用目安は術後約3ヶ月程度と言われています。

医師ができること

  • ①術式を計画する
  • ②キズをデザインする
  • ③除毛する
  • ④感染を予防する
  • ⑤適切に縫合をする

術式を計画する

病変へのアプローチをどのようにするか計画をします。
「開腹手術」ではなく、キズがなるべく小さくなるような「腹腔鏡手術」「ロボット手術」でアプローチ可能なのか考えます。
ちなみに婦人科手術では「腟式」のアプローチであればお腹にキズができないので、それが可能か考えます。
あとは、手術自体の「安全性」と天秤にかけて実際の術式を決めていきます。

キズをデザインする

アプローチ方法を決めたら、実際にどの部分にどのような方向にキズをつけて病変にアプローチするか考えます。
「開腹手術」であれば、お腹のキズを横切開にしてできるだけ、キズを下着のラインに隠れるようにすることなど工夫が必要です。

また、キズの方向は、「体の動く方向に対して垂直方向」だとキズがよりキレイに治ります。例えば、腹部であれば腹直筋の動く方向と垂直方向、つまり「ヨコ方向」の切開のキズはよりキレイに治ります。

除毛する

キズの部分に毛があると、毛の刺激によってキズが「肥厚性瘢痕」とよばれる状態になりやすいです。また、毛によって不衛生になってしまい「創部感染」にもつながります。
とくにお腹の手術の場合には、キズが陰毛にかかる場合が多いです。手術前に除毛を行って、それらを予防します。

感染を予防する

キズをきれいに治すためには「創部感染」を予防することが重要です。
手術前にお腹を消毒したり、手術前後に適切な抗生剤を使用したり、術後の創部をケアすることによって「創部感染」を予防します。

適切に縫合をする

創部がキレイに治すためには、適切な縫合法が重要になってきます。
ポイントは「層と層があっていること」「血流が保たれること」「死腔をなくしキズ同士が離にくくすること」です。
縫合する方法はいくつかありますが、「真皮縫合」がこれらポイントを達成しやすく、キズもきれいに治ります。また、「連続縫合」より「単結節縫合」の方が血流維持の面でも有利となります。
皮下組織が厚い人の場合には死腔対策のため「皮下ドレーン」を入れることもあります。
また、キズどうしを離れにくくするために、抜糸が必要な糸を最後にかけることもあります。

まとめ

キズをきれいになおすためには「患者自身でできること」と「医師ができること」があります。それぞれ5つポイントがあります。

患者自身でできることとして「持病のコントロール」「体重のコントロール」「喫煙者は禁煙を」「十分な栄養」「キズのセルフケア」があります。

医師ができることとして、「術式を計画する」「キズをデザインする」「除毛する」「感染を予防する」「適切に縫合をする」ことがあります。

産婦人科手術では若い女性が多いです。
とくにキズを目立ちにくくすることが大切です。

手術を受けたとしても、キズが目立たずわかりにくくなるような人がすこしでも増えることを願っています。