不妊治療【診療の流れ】

結論ですが

不妊治療は「問診」「診察」「検査」「治療」「生活改善」という流れで診療が行われます。

この記事は「不妊治療」を受けたいヒトに向けて書いています。
産婦人科受診への疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「不妊治療の診療の流れ」についてわかります。

子どもが欲しいです!
自分は妊娠する体なのか心配…
年齢的に早めに妊活しなければ!!

このような悩みや不安にお答えします。

子どもは欲しいけれど、不妊治療を受けるのは勇気がいるかと思います。
当クリニックは、ガッチリと不妊治療を行うまではいかないけれど、自分自身の体の状態を把握したい人や、不妊治療に関して勉強したい人には適していると思います。

反対に、「年齢的に後がないので早く妊娠したい」「今まで不妊治療を試してみたければ全然妊娠しない」ような人には適していないです。
早めに不妊専門のクリニックを受診することをオススメします。

いざ受診したい!
しかし、今まで産婦人科を受診したことがないので疑問や不安でいっぱい!!

このような人は多いです。

「不妊治療」はどのような流れで行われるのか?
どのような診察が行われるか?

これらを知ることで、受診に対する不安が少しでも解消されれば幸いです。

では実際にどのように「不妊治療」が行われるのか?
今回、当クリニックで行う「不妊治療の診療の流れ」を紹介したいと思います。

「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
https://www.miyanosawa-smile-lc.com/

この記事のまとめ

1.問診

不妊期間

「不妊期間」(性交渉しても子どもができない期間)を確認します。

なお、1-2年以上の不妊期間がある状態を「不妊症」といいます。しかし、不妊治療年齢によるタイムリミットがあるため、実際には、1-2年以上の不妊期間を待たずに不妊治療を受ける流れが多いです。

生活環境

「食事」「運動」「睡眠」「嗜好品」(アルコール・喫煙)「夫婦仲」「性交渉の頻度」などを確認します。

とくに「食事」「運動」「睡眠」などの生活習慣は健康のために重要です。また、これから妊娠を予定している場合には「アルコール」や「喫煙」などは控えるようにしましょう。
そしてなにより、子どもは二人の愛の結晶です。これから子どもを授かるにあたって「夫婦仲」や「性交渉の頻度」はとても重要になります。

月経

「初潮年齢」(はじめて月経が来た年齢)「月経周期」「不正出血」「月経量」「月経痛」などの月経に関する情報を確認します。

とくに、「月経周期」が不規則である場合、「ホルモン異常」や「排卵障害」をともなっていることが考えられます。また、血液検査でホルモン値を調べたり、エコーで排卵の状態などを検査します。

妊娠分娩歴

今までに妊娠や分娩したことがあるか確認します。

妊娠したことがある場合は、「妊娠した回数」、また「流産」や「中絶」をしたことがある場合はその回数も含めて書きましょう。
分娩は「経腟分娩」(自然分娩)なのか「帝王切開」なのか書きましょう。

既往歴

今までにかかったことのある病気について確認します。

とくに「入院が必要な病気」や「手術を行った病気」があれば記載しましょう。
婦人科疾患では「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「卵巣腫瘍」などの病気を指摘されたことがあれば合わせて記載するようにしましょう。

2.診察

内診・エコー

内診では、腟口から指を入れて、お腹からも押さえて、子宮や卵巣を挟み込むようにして診察をします。子宮や卵巣が腫れていないか、動きは大丈夫かなどを評価します。

エコーでは、腟口からエコーを入れて検査します。子宮や卵巣が腫れていないかなどを評価します。性交渉経験がない人や、腟口が狭い人の場合には、肛門からエコーを入れたり、お腹の上からエコーを当てたりして対応します。

おりもの検査

おりもの検査では、不妊症の原因となる「クラミジア」「淋菌」などの感染がないか検査します。「クラミジア」や「淋菌」は感染しても無症状なことが多いため、気づかないで感染している場合があります。そのため、無症状でも検査で確認するようにしましょう。

子宮頸がん検診

20歳以上の女性で、子宮頸がん検診を受けていない人は皆さんにすすめています。
子宮頸がん検診では、クスコという器械を使って、「子宮頸部」(子宮の入り口部分)から細胞を採取します。

3.検査

血液検査

血液検査では、月経周期に応じた「ホルモン値」、「甲状腺機能」「糖代謝」などの検査がおこなわれます。一般的な健康状態をみるために「血球算定」「生化学」「血液型」なども検査が行われます。
また、希望があれば、「抗ミュラー管ホルモン」(AMH)という卵巣予備能を調べる検査や、梅毒・B型肝炎・C型肝炎・HIVなどの「感染症」の検査などがおこなわれます。
なお、「ホルモン値」は月経周期に応じておこなわれるので、かならず検査日程を確認するようにしましょう。

尿検査

尿検査では「蛋白尿」「尿糖」「細菌尿」などを検査します。
腎臓や尿路感染などの異常がないか確認します。

精液検査

精液検査では、精液を顕微鏡でのぞいて、「精子の数」「精子の運動率」「精子の形の異常」などないか確認します。

その他

「子宮卵管造影検査」では、精子・卵・受精卵などの通り道である「子宮内腔」や「卵管」が狭くなっていないか、子宮の形の異常がないかなどを確認します。
なお、当院では「子宮卵管造影検査」を行っておらず、希望があれば他院で検査をお願いしています。

4.治療

タイミング療法

妊娠したい場合には、まずは「タイミング療法」を行います。

これは「排卵のタイミング」にあわせて性交渉をおこなう方法です。排卵のタイミングは「基礎体温」「LHサージ」(排卵チェッカー)「子宮頸管粘液」「子宮内膜の厚さ」「卵胞の大きさ」などでわかります。
月経周期に応じて、受診すればエコーで排卵のタイミングを確実に把握することができ、より確実なタイミング指導が可能です。

人工授精

「人工授精」とは、あらかじめ採取された精液を子宮の中に注入する方法です。

排卵のタイミングに合わせて「人工授精」が行われます。「人工授精」では、精液を妊娠しやすいように調整してから行われます。
なお、当院では「人工授精」をおこなう予定ですが準備中です。

排卵誘発

「排卵誘発」は、「排卵障害」がある場合や、妊娠率をより上げたい場合などに行われます。
排卵誘発の方法は、「クロミフェン」「セキソビット」など飲み薬、「hMG」「hCG」「GnRH」などの注射薬を使う方法などがあります。

その他

「体外受精・胚移植」では、採卵した卵子と精子を体外で受精させて(体外受精)、受精卵を培養して、培養された「胚」を子宮の中に移植します(胚移植)。
当院では「体外受精・胚移植」はおこなっておらず、希望される場合は不妊専門のクリニックに紹介しております。

5.生活改善

食事・運動・睡眠

「規則正しい食事」「適度な運動」「適切な睡眠」をこころがけるようにしましょう。

妊娠するときでなく、ご自身の健康のために「食事」「運動」「睡眠」などの生活習慣はとても重要です。
栄養バランスの良い規則正しい食事を心がけましょう。また、「週に150時間」程度の運動する時間を確保するようにしましょう。さらに、十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。

禁煙

喫煙している人はかならず禁煙するようにしましょう。

喫煙は、ご自身の健康だけでなく、副流煙に伴って周りの人、そして妊娠すると赤ちゃんにも影響を与えます。健康のために必ず禁煙するようにしましょう。

節酒

アルコールを摂取している人は、控えるようにしましょう。
妊娠中の安全なアルコール摂取量はわかっていない状況です。
ご自身の健康や将来の妊娠に備えて、アルコール摂取は控えるようにしましょう。

まとめ

今回は「不妊治療の診療の流れ」について説明しました。

妊活をしたいけれど、なかなか一歩ふみだせない!
安心して下さい。あなただけでなく、このような人は多いです。

とくに初めての産婦人科を受診する場合には、わからないことが多すぎて本当に大変だと思います。

悩んでいる時こそ、勇気をもって産婦人科を受診して相談するようにしましょう。
産婦人科は困った人の味方です。

この記事によって「不妊治療の診療の流れ」についての理解が深まり、受診に対する不安が解消し、一人でも多くの人に役立って頂ければ幸いです。