結論ですが
ブライダルチェックは「問診」「基本検査」「追加検査」「その他」という流れで診療が行われます。
この記事は「ブライダルチェックを希望する」女性に向けて書いています。
産婦人科受診への疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「ブライダルチェックの診療の流れ」についてわかります。
ブライダルチェックをしたいですがどうすればいいですか?
このような疑問にお答えします。
あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、
「ブライダルチェック」とは、結婚して妊娠・出産するにあたって、健康状態が大丈夫なのか確認する検査のことです。
妊娠するにあたって…
お腹の中の赤ちゃんに影響を与える病気がないか
赤ちゃんやパートナーへ感染するような病気がないか
妊娠や出産に影響を与えるような病気がないか
確認するために「ブライダルチェック」が行われます。
医療機関によって、検査項目はさまざまであり、呼び方もいろいろあって「プレママチェック」「プレママ健診」などと呼ばれているものがあります。
では、「ブライダルチェック」ではどのような検査が行われるのか?
当クリニックで行う「ブライダルチェックの診療の流れ」を紹介したいと思います。
「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
https://www.miyanosawa-smile-lc.com/
この記事のまとめ
1.問診
月経
「初潮年齢」(はじめて月経が来た年齢)「月経周期」「不正出血」「月経量」「月経痛」などの月経に関する情報を確認します。
妊娠分娩歴
今までに妊娠や分娩したことがあるか確認します。
妊娠したことがある場合は、「妊娠した回数」、また「流産」や「中絶」をしたことがある場合はその回数も含めて書きましょう。
分娩は「経腟分娩」(自然分娩)なのか「帝王切開」なのか書きましょう。
既往歴
今までにかかったことのある病気について確認します。
とくに「入院が必要な病気」や「手術を行った病気」があれば記載しましょう。
婦人科疾患では「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「卵巣腫瘍」などの病気を指摘されたことがあれば合わせて記載するようにしましょう。
生活状況
「食事」「運動」「睡眠」「嗜好品」(アルコール・喫煙)などを確認します。
とくに「食事」「運動」「睡眠」などの生活習慣は健康のために重要です。また、これから妊娠を予定している場合には「アルコール」や「喫煙」などは控えるようにしましょう。
2.基本検査
血液検査
血液検査では、「血球算定」「肝機能」「腎機能」「電解質」「脂質」「血液型」「風疹抗体価」など検査します。
「血球算定」では、免疫に関係する「白血球」、貧血の値に関係する「赤血球」「ヘモグロビン」、血液のかたまり具合に関係する「血小板」などを確認します。また、「肝臓」や「腎臓」の機能異常がないか確認したり、ナトリウム・カリウムなどのミネラル分である「電解質」に異常がないか確認します。
「脂質」では、コレステロールや中性脂肪など測定し「脂質異常症」でないか確認します。
「血液型」では、とくに「A型」「B型」「AB型」「O型」の4つの型がある「ABO式血液型」と、「Rh(+)」「Rh(-)」のいずれか確認します。
「風疹抗体価」の検査では、風疹へのかかりやすさや、風疹に現在かかっている可能性があるか分かります。「風疹抗体」が少ない場合には、妊娠する前に「風疹ワクチン」の接種をすすめます。
尿検査
「尿検査」では、尿中に「蛋白」や「糖」「潜血」がないか確認します。
「蛋白尿」が陽性の場合は、「腎臓の異常」の可能性があります。「尿糖」が陽性の場合は、「糖尿病」の可能性があります。
「潜血」が陽性の場合には、「腎臓の病気」や「おしっこの通り道」に出血をきたす病変が隠れている可能性があります。
「尿検査の異常」がある場合には、妊娠する前にしっかりと専門医の診察を受けましょう。
腟分泌物
「腟分泌物検査」では、おりものを採取して「クラミジア」「淋菌」「一般細菌」など感染がないか検査がおこなわれます。
とくに「クラミジア」や「淋菌」では、「不妊症」につながることもあります。
「クラミジア」「淋菌」だと判明したら、しっかりと治療するとともに、パートナーも検査を受けることをすすめます。
子宮頚がん検診
「子宮頸がん検診」では、子宮の入り口の細胞を採取して検査します。
定期的な子宮頚がん検診によって、子宮頚がんは予防することができます。
20歳以上の全ての女性は子宮頚がん検診を受けるようにしましょう。
エコー
「エコー検査」では、子宮や卵巣が腫れていないか検査します。
基本的には、腟口からエコーを挿入する「経腟エコー」で検査がおこなわれます。
とくに「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「子宮内膜症」「卵巣腫瘍」などの可能性がないか検査します。
3.追加検査
甲状腺機能
「甲状腺ホルモン」や「甲状腺ホルモンを分泌させるホルモン」を検査します。
「甲状腺機能異常」があると、「無月経」「月経不順」などの症状につながる場合や、なかなか妊娠しない「不妊症」や、流産を繰り返してしまう「不育症」などにつながる可能性があります。
感染症
感染症検査では、お腹の中の赤ちゃんに母子感染する可能性や性交渉によってパートナーに感染する可能性がある「梅毒」「B型肝炎」「C型肝炎」「HIV」などが検査されます。
なお、母親から赤ちゃんの感染するルートは、胎盤を通じてお腹の中の赤ちゃんに感染する「胎盤感染」、お産のときに感染する「産道感染」、授乳するときに感染する「母乳感染」などがあります。
AMH
「AMH」は血液検査でわかる卵巣予備能の検査です。
卵巣の中にどのくらい卵子が存在しているかの指標となる検査です。
ただし、AMHの値と妊娠率には相関がありません。AMHの値によって、妊娠を急いだ方がいいか、不妊治療がいつまで出来るかの目安となります。
精液検査
男性側への検査です。
精液検査では、精液を顕微鏡でのぞいて、「精子の数」「精子の運動率」「精子の形の異常」などないか確認します。
4.その他
身長・体重
「身長」と「体重」を測定し、「体格」を確認します。
「身長」と「体重」から「BMI」を計算し、「やせ」なのか「肥満」なのか判断します。
「やせ」や「肥満」は状態によっては、不妊症の原因となったり、妊娠・分娩経過に影響を与える可能性があります。
腹囲
「腹囲」を測定し、「メタボリック症候群」の可能性がないか確認します。
女性の場合、腹囲が90cm以上だと「内臓脂肪過多」と判定されます。
血圧
血圧計で、血圧を測定します。
血圧が高い場合には「高血圧」の可能性があります。
「高血圧」の可能性がある場合には、妊娠する前にしっかりと専門医の診察を受けましょう。
まとめ
今回は「ブライダルチェックの診療の流れ」について説明しました。
結婚して、今後の妊娠出産を考えた場合、ご自身の健康状態をしっかりと確認することをオススメします。
今まで産婦人科を受診したことのない人は、受診したいけれど、不安でいっぱいかと思います。
勇気をもって産婦人科を受診して相談するようにしましょう。
産婦人科は困った人の味方です。
この記事によって「ブライダルチェックの診療の流れ」についての理解が深まり、受診に対する不安が解消し、一人でも多くの人に役立って頂ければ幸いです。
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