「16・18」とは?【婦人科医が戦うウイルス】 

結論ですが

16・18とは「HPV」(ヒトパピローマウイルス)の型のことであり、「子宮頸がん」のハイリスクです。

この記事は「健康に関心のある」女性に向けて書いています。
女性特有の病気に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「HPVというウイルス」についてわかります。

子宮頸がんのほとんどは、「HPV」というウイルス感染が原因です。

HPVにはいくつか型がありますが、「16型」「18型」はとくに子宮頸がんのリスクが高いです。

今回は、子宮頸がんの原因となる「HPVというウイルス」について説明していきたいとおもいます。

この記事のまとめ

HPVとは?

HPVとは

「HPV」とは、Human Palilloma Virus(ヒトパピローマウイルス)の略称で、日本語で「ヒト乳頭腫ウイルス」と言います。
感染すると、乳頭のように盛り上がった「いぼ」みたいなできものが形成されることから、この名前がついています。

HPVは「ありふれたウイルス」

「HPV」は身近に存在しているウイルスであり、いつでもどこにでもある「ありふれたウイルス」として知られています。「HPV」に接する機会も高く、我々の生活にとても馴染み深いウイルスです。

HPVは様々な型がある

「HPV」は様々な型があり、100種類以上のタイプが知られています。
その中でも悪性腫瘍と関係がある「ハイリスク」のもの、尖圭コンジローマなど良性腫瘍と関係がある「ローリスク」のものがあります。

HPVのほとんどが自然排除される

「HPV」は「ありふれたウイルス」であり感染しても、そのほとんどはご自身の免疫反応によって自然排除されます。しかし、「HPV」が自然排除されなかった場合は、持続感染することになり、「いぼのようなできもの」が形成されます。つまり、HPVが持続感染した部位に「良性腫瘍」や「悪性腫瘍」(がん)などの腫瘍が形成されることになります。

HPVによる疾患

「HPV」の持続感染によって、腫瘍が形成されます。「HPV」の型(タイプ)によって、形成される病変が異なります。
たとえば、「HPV16・18・31・52・58型」などのハイリスク型のHPV感染によって「子宮頸がん」、「HPV6・11」では「尖圭コンジローマ」、「HPV2・4」では「尋常性疣贅」(じんじょうせいゆうぜい)、「HPV3・10」では「青年性扁平疣贅」などが形成されます。また、ハイリスク型のHPV感染によって「外陰がん」「咽頭がん」などの原因にもなります。

HPVと子宮頸がん

子宮頸がんのほとんどがHPVが原因

子宮頸がんのほとんどは「HPV」による感染が原因です。
性交渉などによって「HPV」が子宮の入り口近い部分(子宮頸部)に感染します。多くは自分の免疫で自然排除されますが、感染が持続します。「HPV」が持続感染すると、「異形成」という前がん病変を経て、「微小浸潤がん」以上に進行します。すると「子宮頸がん」と呼ばれる状態になります。

HPVワクチンで子宮頸がんを予防できる

子宮頸がんの予防接種として知られている「HPVワクチン」によって、子宮頸がんを予防することできます。
HPVワクチンはHPVの感染自体を予防することで、「子宮頸がん」や前がん病変である「異形成」の発生を防ぐことができます。

HPVワクチンの種類

現在、日本で接種できるHPVワクチンは「2価ワクチン」(HPV16・18型の感染予防)と「4価ワクチン」(HPV 6・11・16・18型の感染予防)、そして最近登場した「9価ワクチン」(HPV6・11・16・18・31・33・45・52・58型の感染予防)があります。
「HPV 6型・11型」はがん発生には関与しませんが、「HPV16型・18型」は子宮頸がんになるリスクが非常に高く、日本における子宮頸がん症例の「約60%」で検出されています。
単純計算ですが、日本においてHPVワクチンを接種すると、子宮頸がんの「約60%」が減ることになります。

「定期的ながん検診」でさらなる予防効果を

定期的ながん検診で、「異形成」(前がん病変)の早期発見・早期治療をして子宮頸がんを予防します。

子宮頸部(子宮の入り口に近い部分)にHPVが持続感染すると「異形成」(前がん病変)を経て、「微小浸潤がん」以上の「子宮頚がん」となります。

HPVの感染から子宮頚がんになるまでは、数年から十数年かかると言われています。
「定期的な子宮頸がん検診」によって「異形成」と呼ばれる前がん病変のうちに見つけることが出来れば「円錐切除術」や「レーザー蒸散術」などの比較的小さな治療で済むことができ、「早期発見」「早期治療」することが可能です。

「HPVワクチン」と「定期的がん検診」で子宮頸がんのない世界を

「HPVワクチン」と「定期的な子宮頸がん検診」を組み合わせることで、子宮頸がんのほとんどを予防することができます。

「HPVワクチン」によって、HPV感染を防ぐことが可能です。さらに「定期的ながん検診」で、「異形成」(前がん病変)の早期発見・早期治療をして子宮頸がんを予防できます。「HPVワクチン」と「定期的な子宮頸がん検診」を組み合わせることで、子宮頸がんのない世界は実現することができます。
正しい知識と行動によって子宮頸がんを予防していきましょう。

まとめ

日本において、「子宮頸がん」は若い女性で増えています。
とくに20代・30代での増加が著しいです。

一方、「HPVワクチン」が普及している先進国のほとんどは子宮頸がんが減っています。

日本は、「HPVワクチン」の普及が遅れている状況です。

子宮頸がんは、「HPVワクチン」と「定期的ながん検診」によって予防できます。
すべての女性が正しい知識をもって行動すれば、「子宮頸がん」のない世界は実現することができます。

産婦人科の受診はハードルが高いと思いますが、正しい知識と行動によって子宮頸がんを予防することができます。
ご自身の健康を守れるのは自分自身のみです。

この記事によって「HPV」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
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