結論ですが
生理がとまらないで困っている場合は、産婦人科を受診しましょう。
この記事は「生理に関する症状で困っている」女性向けに書いています。
この記事を読むことで「生理がとまらない場合にどうすればいいか」についてわかります。
生理が始まって、3,4日くらいするといつもは生理の量が少なくなってきますが、
- まったく量が少なくならずに生理が続いていたり
- 量は少なくなるけど、長く生理が続いたり
- 生理が長く続きすぎて、次の生理なのかわからなくなったり
ということがあるかと思います。
とくに生理が8日以上つづく場合を「過長月経」(かちょうげっけい)とよばれます。
今回は、生理がとまらない場合、とくに「過長月経」に関して説明します。
この記事のまとめ
- 生理がとまらない場合は、まずは情報を集めます。普段の生理はどうなのか、それと比べて今回どうなのか、何かきっかけはあるかなど確認します。
- つぎに、検査をおこなって生理がとまらない原因をさがして診断をします。
- 最後に、原因が判明したらその原因に応じて治療をおこないます。また、原因が不明であっても症状を改善するための治療をおこないます。
情報を集める
受診をするときには「生理に関する情報」や「体調の変化に関する情報」を知りたいので、伝えるようにしましょう。
まずは、生理が何日間続いているのか確認します。生理が8日以上つづく場合を「過長月経」(かちょうげっけい)」と呼ばれます。
また、普段の生理周期は何日型なのか、規則的かどうか、量は多いかどうかなど確認します。
そして、原因をさぐるため、何かきっかけになるイベントがないかどうか確認します。たとえば、妊娠の可能性はないかどうか、最近使い始めたくすりがないかどうか、他に体調に変化がないかどうかなど確認します。
また、持病がある場合にはそのコントロール状況を確認したり、周囲の環境の変化があったかどうかなども確認します。
それらの情報を知りたいので、受診をするときには生理にや体調の変化に関する情報を自分の頭の中で整理しておくといいでしょう。
検査をして原因をさぐる
過長月経であった場合、検査をおこなって原因がないかさぐります。
あわせて生理が長く続いて貧血になっていないかも評価します。
婦人科疾患
エコーで、「子宮の病変」がないか確認します。
原因として「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「子宮内膜ポリープ」「子宮頸管ポリープ」などがあります。
エコーではとくに以下の点を確認します。
- 「子宮内膜が厚くないか」
- 「子宮筋腫や腺筋症などの病変がないか」
- 「妊娠の可能性がないか」
- 「卵巣の腫れがないか」(卵巣が腫れている場合、ホルモン産生腫瘍の可能性があります)
子宮内膜が厚い場合は「子宮内膜増殖症」「子宮体がん」などの可能性があるため、子宮内膜の組織の検査をおこないます。
また、出血の原因として「がん」(悪性腫瘍)が隠れていることもあるため、うたがわしい場合は子宮頸がんや子宮体がんの検査などもおこないます。
うたがわしくない場合でも、20歳以上で定期的に子宮頸がん検診をしていないひとには、子宮頸がんの検査をすすめます。
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「なぜ、産婦人科医はやたらと子宮頸がん検診をすすめてくるのか?」
また、腟鏡(クスコ)という器械をもちいて、子宮の入り口や腟内を観察します。出血している部分がどこなのか、ポリープなど出血の原因がないか見て確認します。
妊娠の異常
生理だとおもっていたら、じつは妊娠をしていて「妊娠の異常」にともなう出血だとわかることがあります。とくに、生理がもともと不順であった場合や、生理がズレている場合は妊娠が隠されていることがあります。
うたがわしい場合は、尿で検査できる妊娠検査をおこないます。妊娠の異常の出血原因として「切迫流産」「異所性妊娠」「胞状奇胎」などがあります。
このなかで「切迫流産」の頻度が多いです。
「異所性妊娠」は大量出血から命をおとす可能性があるため、見逃してはいけない疾患です。
「胞状奇胎」は妊娠成立において何かしらエラーによって、子宮内に病変をつくり、そこから出血してくる稀な疾患です。子宮内容除去術をおこなって、治療するとともに、組織の検査をして診断します。
血液のかたまりやすさの異常
「血液のかたまりやすさの異常」が生理が止まらない原因となっていることがあります。血液検査をして、「血液のかたまりやすさ」「血液をかためる成分の異常」などを評価します。
原因として、稀ではありますが「白血病」「先天性血液疾患」「自己免疫疾患」などがわかることあります。
ホルモン異常
女性ホルモンの「エストロゲン」や「プロゲステロン」が規則的に変化をすることで、規則的に生理が来ています。それらが乱れた場合に生理が長くつづくことになります。
「エストロゲン」「プロゲステロン」や、それらを調整しているホルモンの値を血液検査で調べます。
貧血の確認
原因ではないですが、生理が長くなり出血量がおおくなると「貧血」をきたします。血液検査をして、「ヘモグロビン」(Hb)という値などをみて評価します。
成人女性の場合、だいたいの目安ですが「ヘモグロビン」が11以下の場合を「貧血」と判断します。
原因におうじて治療をする
過長月経の明らかな原因がわかれば、その治療を優先することになります。たとえば、以下のような治療があります。
- 子宮ポリープをみとめた場合はポリープ摘出術をおこなう
- 異所性妊娠の場合は、手術などの治療をおこなう
- がんがみつかってしまった場合は、さらに追加の検査をおこない組織型や病変の広がりなどを評価してがんに対する治療を検討する
明らかな原因がみつからない場合は、過長月経の症状を落ち着かせることを目標に対応していきます。
生理をおさえる方法として、止血剤、ピルなどの「くすり」をつかう方法、子宮内膜掻把術、子宮摘出術などの「手術」などがあります。
まずはからだへの負担が比較的すくない「くすり」を使用することが多いです。それでも効果がなければ最終的に子宮を摘出する手術を選択するというながれになります。また、生理がずっとつづいて、生理の量も多すぎて、はやめに止めたい場合は、「子宮内膜掻把術」「子宮摘出術」などの「手術」を緊急でおこなうことがあります。
ピル
「エストロゲン」と「プロゲステロン」というホルモンの成分をふくむくすりであるピルをつかうことがあります。
ピルにはいくつか種類がありますが「中等量ピル」というものを使います。この中等量ピルをつかって、厚くなった子宮内膜をはがして、生理の出血をおさえます。
つまり、中等量ピルを飲んでいる間は生理がとまります。そして、飲み終わった2-3日後くらいに厚くなった子宮内膜がはがれて生理がきます。すると、生理がだらだら続いていたものが止まります。
止血剤
生理の出血を少なくする効果があり、比較的副作用のすくない「トラネキサム散」というくすりを使います。
手術
生理は、厚くなった子宮内膜がはがれ落ちてきて起こります。
エコー検査で子宮内膜が厚いことを確認した場合、生理がずっと続いて量がおおく早めに止めたいときには、厚くなった子宮内膜を掻爬(そうは)する「子宮内膜掻把術」がおこなわれます。
また、最終手段ですが、生理をおこす根本的原因である子宮をとる方法「子宮を摘出する手術」をえらぶことがあります。これは、もう子供は十分にいて子宮はいらないから摘出したい場合や、閉経が近くなって生理がみだれてきて早く生理の症状から開放されたい場合などに選ばれます。
「症状の重症度」「ライフステージ」「こどもの希望」など考慮して治療方針をきめます。とくに、手術にはからだへの負担がかかるのと、手術リスクがつきものなので、しっかりと担当医と相談することが大切です。
まとめ
生理がとまらない場合は、まずは情報を集めます。普段の生理はどうなのか、それと比べて今回どうなのか、何かきっかけはあるかなど確認します。
つぎに、検査をおこなって生理がとまらない原因をさがして診断をします。
最後に、原因が判明したらその原因に応じて治療をおこないます。また、原因が不明であっても症状を改善するための治療をおこないます。症状の重症度、ライフステージなどによって治療法を相談します。
生理がとまらない場合は、原因を探るとともに、貧血などになっていないか検査を受けましょう。
是非とも我慢しないで、婦人科を受診して診察を受けるようにしましょう。
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