流産といわれましたがどうすればいいですか?

結論ですが

流産と診断されて自然に流れてこなければ手術などが必要となります。

この記事は「病気を診断された」女性に向けて書いています。
女性特有の病気に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「流産」についてわかります。

妊娠して幸せモードの中、赤ちゃんが残念ながら流れてしまうことがあります。
精神的ショックも大きいものです。
しかも、その流産を何回も繰り返してしまう人も中にはいます。

流産と診断された場合、自然に流れてくる場合もあれば、自然に流れてこない場合もあります。自然に流れてこない場合には手術などが必要となります。
また、自宅で自然に流れてきた場合、お腹が痛かったり出血が多く出て、心配になるかと思います。

流産の頻度は高いですが、精神的なダメージが大きいため、しっかりとした説明をして精神的なサポートをしなければと常々感じます。

今回、「流産」について説明していきます。

この記事のまとめ

  • 流産と診断されたら、自然に流れてくることもありますが、自然に流れてこない場合には手術などが必要になります。
  • みなさんが思っているよりも流産する確率は高いです。
  • 流産をくりかえす場合には不育症が考えられます。

流産とは

流産とは「妊娠22週未満に妊娠が中断すること」をいいます。自然に妊娠の中断にいたることを「自然流産」、人為的に妊娠の中断に至ることを「人工流産」といいます。

流産と診断されたら

流産と診断されたら、自然に流れてくることもありますが、自然に流れてこない場合には手術などが必要になります。
流産となり、お腹の中に赤ちゃんが亡くなったままの状態が続くと、そこに細菌など感染すると「感染症」がおこってしまったり、赤ちゃんの亡くなった成分が母体の血液に混ざってしまい「不整脈」や「血栓症」がおこり命をおとすこともあります。
なので、流産となって自然に流れてこない場合には手術などによって子宮内をきれいにする必要があります。

流産時期によって対応が異なります

流産した時期によって、赤ちゃんの大きさが違うため対応が異なります。
妊娠12週未満の「早期流産」であれば、赤ちゃんは小さいため「手術」によって子宮内をきれいにします。
妊娠12週以降の「後期流産」の場合は、赤ちゃんは大きいため「手術」によって出すことは難しいので、「分娩を誘発」することになります。
つまり、流産時期によって赤ちゃんの大きさが違うため、「手術」もしくは「分娩を誘発」するか対応が異なります。
なお、妊娠12週以降の場合は「死産」の扱いになるので、「埋葬」が必要だったり「死産証明書」の提出などの手続きが必要になります。

意外と高い流産率

自然流産率は「約15%」です。計算すると6回から7回妊娠すると1回は流産を経験することになります。しかも年齢とともに流産率は高くなり、40歳の流産率は「約40%」です。
日々の診察をしていると、流産に出くわす機会は意外と多いです。
皆さんが思っているよりも「流産」となる確率は高いです。

みなさんが流産となって場合…

  • なんで私が流産になるの…!?
  • 心待ちにしていた赤ちゃんなのに…
  • あの時にしたことがいけなかったのではないか…

などとあれこれ思ったり、時には自分を責めたり、とてもショックな出来事になります。
場合によっては、周囲から言われのないことや、ひどいことを言われることもあるようです。僕ら産婦人科医は、流産率が意外と高いことを知っているので、流産はある一定確率で経験してしまうことであることを、本人やパートナーに説明します。
とくにパートナーの役割は重要で、周りからの言葉の攻撃に対して守ってやることが大事だと思います。

流産をくりかえす場合は

流産を繰り返す場合には「不育症」が考えられます。
不育症とは、『妊娠はするが「流産」や「死産」を繰り返して生児が得られないもの』を指します。
流産率を「15%」として計算すると…

  • 流産を2回繰り返す確率は理論上は「0.15×0.15=2.25%」で、実際の頻度は約4.2%です。
  • 流産を3回繰り返す確率は理論上は「0.15×0.15×0.15=0.34%」で、実際の頻度は約0.9%です。

理論上の確率と実際の確率には「ズレ」があるため、何かしらの原因が隠されていることが考えられます。
また、3回流産を繰り返す確率はとても低いため、「偶然の確率で流産が重なった」というより「何かしらの流産の原因がある」のではないかと判断します。
ちなみに流産を2回繰り返すことを「反復流産」、流産を3回以上連続して繰り返すことを「習慣流産」といいます。
また、不育症において流産の回数の明確な規定はないですが、実際には2回以上流産を繰り返す場合は「不育症」として何かしらの介入を行うことが多いです。
流産を繰り返してしまうようであれば、産婦人科医と相談するようにしましょう。

流産をくりかえしてしまいます【不育症】

まとめ

流産と診断されたら、自然に流れてくることもありますが、自然に流れてこない場合には手術などが必要になります。

みなさんが思っているよりも流産する確率は高いです。

流産をくりかえす場合には不育症が考えられます。

流産を経験すると本当にショックだと思います。
しかも、流産となった場合、いつ流れてくるかわからないし、流れてくるときに腹痛や出血が伴うためとても心配になるかと思います。

さらに、流産したことによって、非難されたり、周囲から言われのないことをいわれたりすることもあります。 
一人でも多くの人が、流産に対して理解を深めて欲しいです。
流産を経験した人に対して批判するようなことはあってはならないと思います。

この記事によって「流産」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。