結論ですが
「肥満」も「やせすぎ」もよくないです。妊娠中の体重管理は適正体重を目標にすることが大切です。
この記事は「妊娠している」女性向けに書いています。
この記事を読むことで「妊娠中の体重管理」についてわかります。
妊娠していない時にも、自分の体重を気にする女性は多いかと思います。
とくに食べ過ぎてしまったり、休みの日に家でゴロゴロしてしまい、運動をまったくしなかったりした場合、体重計にのるのがこわくなってしまうかと思います。
妊娠したときには、赤ちゃんが成長するとともに体重も増えていきます。
「体重はどの程度あればいいのか」「どの程度、体重が増えていっていいものなのか」など色々とわからないことが多いかと思います。
今回、「妊娠中の体重管理」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- ①妊娠前の体格を確認する
- ②目標体重をきめる
- ③妊娠中の体重管理をする
妊娠前の体格を確認する
BMIを計算する
体格を評価するために「体重」と「身長」から計算される「BMI」(Body Mass Index)というものが使われます。
これは、「体重(kg)」を「身長(m)」で2回割ることで求められます。
「厚生労働省健やか親子21」(2006年)では妊娠前のBMIは18.5~25.0が「標準体格」とされています。
まだ自分が妊娠する前の状態であれば「標準体格」となる体重を目指すことが重要です。
また、やせすぎ(BMI<18.5)や肥満(BMI>25)の妊婦は、妊娠や分娩経過などにさまざまなリスクが知られているので説明していきます。
やせすぎ(BMI<18.5)のリスク
「やせすぎ」や「栄養不足」の妊婦は「切迫早産」「早産」「胎児発育不全」「低出生体重児」などのリスクが高いです。
また、妊娠中に長期に渡り「低栄養状態」にさらされた発育不全の胎児は、将来の生活習慣病のリスクが上昇するという説「成人病胎児期起源説」があります。
これは、妊娠期間中に十分な栄養が摂取されておらず、栄養不足の状態にさらされた赤ちゃんは、将来の生活習慣病の素因が作られてしまうというものです。
その赤ちゃんが生まれたあとに発育・成長して成人になった時に、「糖尿病」「高血圧」「脂質代謝異常症」などの生活習慣病のリスクが上昇してしまいます。
赤ちゃんの将来のことも考えると、妊娠中の環境はとても重要となります。
肥満妊婦(BMI>25)のリスク
「肥満」や「栄養とりすぎ」の妊婦は、「妊娠糖尿病」「巨大児」「肩甲難産」、「妊娠高血圧症候群」「死産」「胎児機能不全」「児の神経管閉鎖障害」などのリスクが高く、「帝王切開分娩」も多いです。
「妊娠糖尿病」にともなって「巨大児」や「肩甲難産」につながります。
「妊娠高血圧症候群」に関していうと、「胎児機能不全」や「子癇」(しかん)とよばれるけいれん発作を引き起こすことがあります。これらの状態により赤ちゃんを早くお腹から出さなくてはならない状況となってしまい「帝王切開分娩」が多くなります。
また、肥満のため赤ちゃんの通り道である「産道が狭くなる」ため経腟分娩が困難となったり、微弱陣痛なども原因で「帝王切開分娩」が増えます。
目標体重をきめる
妊娠したら、お腹の中の赤ちゃんが大きくなっていき、羊水・胎盤なども育っていきます。すると、妊娠経過とともに体重が増加していきます。
とくに妊娠後期には、赤ちゃんの体重が急に増えてきたり、からだがむくみやすくなるため、体重がとくに増えやすいです。
妊娠の目標体重は、先ほど計算した「妊娠する前のBMI」から計算します。
「妊娠する前のBMI」に応じて体重増加の目標を決めて、目標体重を設定します。妊娠中の体重増加の推奨値は上表のとおりです。
「妊娠前の体重」に「妊娠中の体重増加の推奨値」を加えると、「目標体重」が設定されます。
「栄養不足」も「栄養のとりすぎ」も良くないので「適正な目標体重」を設定することが妊娠中の体重管理する上で重要です。
妊娠中の体重管理をする
妊娠中の体重管理は「食事」と「運動」が中心となります。
「食事」と「運動」を意識して目標体重に向かっていくことが重要です。
食事
食事に関していうと、妊娠期間に応じて必要エネルギー量が変わります。
妊娠時期の応じた食事の必要エネルギーを確認して、その前後におさまるくらいに食事を調整して目標体重に向かっていくことが重要です。
また、「目標体重」を意識するあまり、食事をとる量が極端に少なくなる人もいますが、栄養不足となってしまい、さまざまなリスクが上がることにつながるので注意が必要です。ダイエットはほどほどにして、栄養バランスを整えるようにしましょう。
また、妊娠初期には「つわり」や「悪阻」によってなかなか食事をとることが出来ず、体重が落ちてしまうこともあります。妊娠経過とともに「つわり」はかならず落ち着いてきます。
あせらずに、すくなくとも水分を積極的にとるようにしたり、体調の良いときに食べやすいものを選んでたべることが重要です。
運動
妊娠中も運動することは可能です。
ただし、腹部の圧迫は避ける、コンタクトスポーツなど避けること、医師から安静時指示を受けている場合には運動を控えるなどいくつか注意すべき点もあります。
切迫流産や切迫早産と診断をうけて、安静の指示を受けている場合には、積極的な運動は控えましょう。
また、妊娠37週をこえたら、いつ産まれてもいい妊娠週数になるので、積極的に運動することをすすめます。
運動をするとお腹のハリにつながり、陣痛のきっかけとなることもあります。また、赤ちゃんを産むのは体力が必要です。本格的に分娩がはじまる前にしっかりと運動をして体力をつけておきましょう。
まとめ
妊娠中は、やせ(栄養不足)も肥満(栄養とりすぎ)も、妊娠や分娩におけるリスクが上昇したり、赤ちゃんの将来の生活習慣病の素因となる可能性があります。
妊娠していない時点でのBMIに応じて体重増加の目安を確認し、目標体重を設定します。
妊娠中も「食事」や「運動」を意識して体重管理することが大切です。
妊娠中の体重管理をして、少しでもいい環境で赤ちゃんが育つようになることを願っています。
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