結論ですが
機能性出血とは、器質的な疾患をみとめない子宮からの不正性器出血のことです。
この記事は「月経」や「性器出血」について気になる女性に向けて書いています。
女性特有の症状に関する、疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています
この記事を読むことで「機能性出血」についてわかります。
いつもは月経が順調にきているのに、月経のタイミング以外の時に下着に出血が付着していたら驚いてしまうかと思います。
月経以外の出血を「不正性器出血」や「不正出血」といわれます。
さらに、明らかな見た目の異常「器質的異常」がない場合の出血を「機能性出血」と呼ばれます。
今回は、「機能性出血」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 機能性出血とは「器質的な疾患をみとめない子宮からの不正性器出血」のことです。
- 機能性出血は、「子宮からの出血」であること、「不正性器出血」であること、「器質的な疾患」をみとめないことがポイントです。
- 機能性出血の原因は、女性ホルモンのバランスの乱れがもっとも多いです。
機能性出血とは?
機能性出血とは「器質的な疾患をみとめない子宮からの不正性器出血」のことです。
機能性出血のポイントは3つあります。
第1に「子宮からの出血」であること。
第2に「不正性器出血」であること。
第3に「器質的な疾患」をみとめないこと。
では順にみていきたいと思います。
機能性出血とは1:子宮からの出血
出血の部位を確認する
下着に出血が付着した場合は、まず出血の部位を確認することが大切です。
具体的にいうと、「腟口」から出血をみとめる場合は「性器出血」、「尿道口」(おしっこの出口)から出血をみとめる場合は「血尿」、「肛門」から出血をみとめる場合は「血便」といわれます。
つまり、下着に出血が付着する場合は、「腟口」「尿道口」「肛門」という”3つの穴”のどこから出血しているのか確認することが重要です。
子宮からの出血
機能性出血は子宮からの出血です。
腟口からの出血である「性器出血」の場合は、「子宮」からの出血の場合以外にも、「腟」や「会陰」からの出血の可能性があります。
これは自分で確認するのは難しいため、産婦人科を受診して、どこから出血しているのか確認してもらいましょう。ちなみに「腟鏡」(クスコ)という器械をつかって、腟の中や子宮の入り口を観察して、出血している部分を確認します。
機能性出血とは2:不正性器出血
不正性器出血とは?
不正性器出血とは月経以外の「性器出血」のことを言います。
なお、閉経した後の性器出血も「不正性器出血」に当たります。
また、不正性器出血は、大量の鮮血が出るような場合もあったり、少量の出血が混ざっている場合もあったりします。
機能性出血とは
機能性出血とは「器質的な疾患をみとめない子宮からの不正性器出血」のことです。
くりかえしになりますが、機能性出血は「子宮」からの出血です。
不正性器出血では、「腟」や「会陰」からの出血のこともあるので、機能性出血だと診断するには出血している部位を確認する必要があります。
機能性出血とは3:器質的な疾患をみとめない
器質的疾患とは
器質的疾患とは、見た目でわかるような明らかな疾患のことです。
たとえば、器質的疾患として「妊娠にともなう出血」「外傷による出血」「子宮病変」などが挙げられます。
機能性出血だと診断するためには、これらの「器質的疾患ではないこと」を確認する必要があります。器質的疾患を順にみていきましょう。
妊娠にともなう異常
妊娠にともなう異常によって性器出血が認められます。
とくに自分では月経だと思っていたら、じつは妊娠をしていて「妊娠の異常」にともなう出血だとわかることがあります。とくに、月経がもともと不順な場合や、月経が遅れている場合は妊娠の可能性を念頭に入れます。「切迫流産」「異所性妊娠」などで性器出血を認める場合があります。
外傷による出血
性器の外傷によって性器出血が認められます。
たとえば、「性交渉」「腟内に異物を挿入」「陰部を打撲」などで性器にダメージが加わると、腟や外陰部が裂けてしまい、そこから出血している場合があります。
性器出血のきっかけがあれば、しっかりと担当医に伝えるようにしましょう。
子宮病変
子宮の病変によって性器出血が認められることがあります。
たとえば、「子宮筋腫」「子宮内膜ポリープ」「子宮頸管ポリープ」などが挙げられます。これらは、「エコー」「MRI」などの画像検査で確認します。
また、子宮の内膜が厚い場合は「子宮体がん」の可能性、子宮の入り口からの出血の場合は、「子宮頸がん」の可能性もあります。悪性疾患(がん)の可能性も念頭にいれて検査を行います。
機能性出血の原因は
機能性出血の原因
機能性出血の原因は、女性ホルモンのバランスの乱れがもっとも多いです。
機能性出血は、とくに閉経期に差しかかる「45歳以上の女性」と、月経が安定していない「若年女性」でよくみられます。いずれも女性ホルモンのバランスの乱れやすい年代です。
なお、約90%が「無排卵性」の機能性出血であり、約10%が「排卵性」の機能性出血であると言われています。
無排卵性の機能性出血
排卵がない無排卵の状態だと、「機能性出血」につながります。
卵巣の中の「卵胞」が十分に成熟すると排卵されます。排卵した後、「卵胞」は「黄体」に変化し、「プロゲステロン」が分泌されます。排卵がない状態だと、「卵胞」は「黄体」変わることができず「プロゲステロン」が分泌されないです。すると、子宮内膜を安定化させる「プロゲステロン」が分泌されず、「エストロゲン」によって厚くなる子宮内膜を維持することが出来なくなり、子宮内膜が剥がれて「破綻出血」がおこり、「機能性出血」としてみられます。
排卵性の機能性出血
排卵があっても、黄体が機能しない「黄体機能不全」だと、「機能性出血」につながります。
排卵した後、「卵胞」は「黄体」に変化し、「プロゲステロン」が分泌されます。黄体機能不全だと、黄体から「プロゲステロン」が分泌されないです。すると、子宮内膜を安定化させる「プロゲステロン」が分泌されず、「エストロゲン」によって厚くなる子宮内膜を維持することが出来なくなり、子宮内膜が剥がれて「破綻出血」がおこり、「機能性出血」としてみられます。
まとめ
- 機能性出血とは「器質的な疾患をみとめない子宮からの不正性器出血」のことです。
- 機能性出血は、「子宮からの出血」であること、「不正性器出血」であること、「器質的な疾患」をみとめないことがポイントです。
- 機能性出血の原因は、女性ホルモンのバランスの乱れがもっとも多いです。
月経以外の出血
閉経近い時期での出血
若くて月経が安定していない時期の出血
女性の月経や性器出血に関する悩みは、尽きないかと思います。
このような症状の原因として、今回説明した「機能性出血」が隠れている場合があります。
そして、実は排卵しておらず、妊娠がしにくい状態だと判明する場合もあります。
月経や性器出血など女性特有の症状で何か気になることや心配なことがあれば、勇気をもって産婦人科を受診して相談するようにしましょう。産婦人科は困った人の味方です。
この記事によって「機能性出血」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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