結論ですが
卵巣が腫れており「機能性のう胞」と言われた場合には、基本的には経過をみていきます。
この記事は「病気を指摘された」女性に向けて書いています。
女性特有の病気に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「機能性のう胞」についてわかります。
婦人科の診察で「卵巣が腫れている」と言われることがあるかもしれません。
- 卵巣が腫れているって大丈夫かしら…
- とくに症状がないのに…
- 何か悪いものなのかな…
などと思うかもしれません。
卵巣が腫れる病気はさまざまな種類があります。
その中でも「機能性のう胞」というものがあります。
機能性のう胞は、卵巣が自然に腫れが大きくなったり小さくなったり変化する「卵巣のう胞」のことを言います。
機能性のう胞は、自然に小さくなっていき消えてなくなることが多いのです。
今回「機能性のう胞」について説明していきます。
この記事のまとめ
- 機能性のう胞とは、卵巣が自然に腫れが大きくなったり小さくなったり変化する「卵巣のう胞」のことを言います。
- 機能性のう胞は、基本的に無症状ですが、「急激な腹痛」や「腹部圧迫感」などの症状が起こる場合もあります。
- 機能性のう胞は、基本的に「経過観察」しますが、「対症療法」や「手術」が必要になる場合もあります。
機能性のう胞って何ですか?
機能性のう胞とは
「機能性のう胞」とは、卵巣が自然に腫れが大きくなったり小さくなったり変化する「卵巣のう胞」のことを言います。
卵巣の中に袋ができて腫れることを「卵巣のう胞」とよばれます。
「機能性のう胞」は、「卵巣のう胞」のひとつであり、月経周期などに応じて大きくなったり、小さくなったりします。自然に小さくなることが多く、とくに治療せずに経過をみていく場合が多いです。
卵巣は自然に腫れる
卵巣は月経周期などに応じて自然と大きくなったり小さくなったりします。
そもそも、卵巣は1回の月経サイクルにつき、卵巣の中の「卵胞」から1個の「卵」が排出されます。「卵」が排出された「卵胞」は「黄体」に変化して徐々に小さくなって消えていきます。つまり、卵巣の中の「卵胞」や排卵された後の「黄体」は、月経周期に応じて大きくなったり小さくなったり見えることになります。
卵巣が腫れるとは
卵巣に腫瘍が出来て腫れていることを「卵巣腫瘍」と言います。
「卵巣」は最も腫瘍が出来やすい臓器であると言われています。
「卵」は受精すると赤ちゃんが形成されるくらいなので、「卵巣」にはあらゆる体の構造を形成する能力があるので、さまざまな種類の腫瘍ができます。
卵巣腫瘍は大きく2つに分けられる
卵巣腫瘍は大きく「のう胞性腫瘍」(卵巣のう腫)と「充実性腫瘍」の2つに分けられます。
「のう胞性腫瘍」は、液体や内容物が袋みたいな構造の中に貯まって腫れている状態を言います。今回のテーマである「機能性のう胞」は「のう胞性腫瘍」に当てはまります。
また、「充実性腫瘍」は、かたい腫瘍のかたまりが出来て腫れている状態を言います。
機能性のう胞はどんな種類がありますか?
機能性のう胞には、大きく分けて「卵胞のう胞」と「黄体のう胞」の2つがあります。
卵胞のう胞
「卵胞のう胞」は、卵巣の中の「卵胞」が大きくなって腫れて見えることを言います。
月経サイクルに応じて、「卵」が育っていき、卵巣の中の「卵胞」は大きくなっていきます。「卵胞」が約2cm程度になったときに「排卵」します。その時の「卵胞」が卵巣の中で袋のように腫れて見え「卵胞のう胞」と呼ばれます。
なお、排卵しなかった場合には「未破裂卵胞」として「卵胞のう胞」が残って見られます。
黄体のう胞
「黄体のう胞」は、排卵した後に「黄体」が形成されますが、それが腫れてしまう状態のことを言います。
「卵胞」が大きくなって「排卵」した後は、「黄体」に変化します。黄体の中に液体がたまったり、黄体が出血して中にたまったりすると、「黄体」が腫れてみえ「黄体のう胞」と呼ばれます。
なお、黄体は出血しやすく、性交渉などで「黄体出血」(卵巣出血)を引き起こすことがあります。お腹の中に大量出血をともなう場合があり、緊急手術が必要になることもあります。
機能性のう胞はどんな症状がおこりますか?
基本的に無症状
機能性のう胞は、卵巣が腫れているだけであると、基本的に症状はないです。
さらに、自然に小さくなることが多く、とくに治療せずに経過をみていく場合が多いです。
急激な腹痛
機能性のう胞は基本的に無症状です。
しかし、まれに「機能性のう胞」が捻じれたり、破裂して、急激な腹痛を来たすことがあります。その場合には緊急手術による治療が必要になることもあります。
腹部圧迫感
機能性のう胞は、大きくなりすぎると、下腹部全体的に圧迫される感じが生じます。とくに膀胱が圧迫されると、「頻尿」などの症状が起こります。場所によっては腸が圧迫されて「便秘気味」になることもあります。
機能性のう胞の検査
機能性のう胞では、自然に腫れが大きくなったり小さくなったり変化します。
なので、基本的には経過観察していきます。
ただし、「機能性のう胞」以外の「卵巣のう胞」が隠されている場合があるため、しっかりと診断する必要があります。
内診
両手を使って、「お腹」からの腹診と「腟口」からの内診指の両方から挟み込むようにして「子宮」「卵巣」を診察します。子宮や卵巣の腫れがないか、動きは大丈夫かなど確認します。
画像検査
簡便にできる「エコー検査」で「卵巣の腫れ」や「腹水」などを確認します。月経サイクルに応じて卵巣の腫れの大きさが変わるか何回かみていきます。
経過をみて、「卵巣の腫れ」が小さくならない場合には、「機能性のう胞」以外の可能性も考えられるため、必要に応じて「CT」「MRI」などの画像検査も行います。
血液検査
血液検査で、がんの場合に上昇してくる「腫瘍マーカー」というものを検査します。
「卵巣の腫れ」が小さくならない場合には、「機能性のう胞」以外の可能性も考えられるため、必要に応じて血液検査で「腫瘍マーカー」を測定します。
機能性のう胞はどんな治療をおこないますか?
経過観察
「機能性のう胞」では、自然に腫れが大きくなったり小さくなったり変化します。
なので、基本的には経過観察していきます。機能性のう胞の多くは、自然に小さくなっていき消えてなくなります。
対症療法
「機能性のう胞」でも、のう胞が破裂したり、のう胞の中で出血した場合には「腹痛」が伴うことがあります。痛み止めなど症状を抑えるための対症療法が行われます。
手術
「機能性のう胞」でも、のう胞が捻じれてしまったり、破裂したり、のう胞の中で出血した場合には「腹痛」が伴うことがあります。とくにのう胞が捻じれてしまった場合には、卵巣が壊死(えし)する可能性があるため緊急手術が必要です。
また、「黄体出血」によってお腹の中に大量の出血をともなう場合も、止血するための手術が必要になります。
まとめ
- 機能性のう胞とは、卵巣が自然に腫れが大きくなったり小さくなったり変化する「卵巣のう胞」の一つです。
- 機能性のう胞は、基本的に無症状ですが、「急激な腹痛」や「腹部圧迫感」などの症状が起こる場合もあります。
- 機能性のう胞は、基本的に「経過観察」しますが、「対症療法」や「手術」が必要になる場合もあります。
「卵巣」は神秘的な臓器です。
卵巣から「卵」が排卵されて受精すると胎児が出来ます。
卵巣にはあらゆる体の構造を形成する能力があります。
それゆえに、卵巣腫瘍が出来やすいとも言えます。
そして、さまざまな種類の卵巣腫瘍が出来ます。
卵巣腫瘍は基本的には無症状です。
ふだん婦人科を受診していない人は、「子宮頸がん検診」などの機会に一緒にエコーをおこなうようにしましょう。そして卵巣が腫れていないかも確認してもらうことをオススメします。
この記事によって「機能性のう胞」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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